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装備を一新しようっ!

 マンシーが仲間になり、俺達は四人パーティーになった。


 冒険者ギルド推奨のパーティー編成が四人となっている為、これはこれで好都合だ。


 まぁ、メンバーが揃いも揃って性格がおかしいのは置いといて。


 マンシーが加入してから、翌日、俺達はデガールの中心部、商業街に来ていた。


 無限ゼンマイ採取に加え、昨日の遺跡調査の報酬金で小金持ちになることが出来た。


 なので、俺は前々からやりたかった目的を果たす為にやってきたのだが。


 「ひえぇ……人間がそこら中にうじゃうじゃと……」


 マンシーが普段の数倍顔色を悪くし、ブルブルと身体を震わす。


 「大丈夫?マンシーちゃん?はいっ!」


 マンシーに手を差し伸べるティナ。


 「あの、これは……?」


 「えっとねー、人と手を繋ぐと落ちつくんだよっ!だから、はいっ!」


 ティナらしい可憐な笑みで手を浮かべて手を差し出し、マンシーはそれを恐る恐るだが握り返した。


 「えへへー、どう?」


 「ひひっこれなら……大丈夫そう……」


 仲良く手を繋ぎ俺の少し前の歩く二人、それを見てなんだか微笑ましく思い、口角が緩んだ。


 「マスター、残念そうな顔をしていますね、ティナさんと手を繋ぐのはマスターのポジションだったのに」


 「うるせぇよ、別に羨ましがってないし」


 「そんなに手を繋ぎたいなら私と繋ぎますか?」


 「えっ?」


 不意にそんな事を言われて胸の鼓動が速くなる。


 普段はツンデレどころかツンしかない、ゴム娘がこんなこといってくるなんて。


 少しは俺に惚れているとか……そんなことがあるかも。


 「じゃ、じゃあ仕方ないから繋いでやっても」


 「いえ、今のは冗談です」


 分かってたよ、ちくしょう。



 そんなやり取りがありながらも俺達は目的地に辿り着く。


 「うわぁ……お洋服がいっぱいだぁ……っ!」


 ティナが店内に入ってそんな感想を呟いた。


 俺がやりたかったことは、そう、俺達パーティーの装備の一新である。


 金も入ったことだし、この先のクエスト、更には冒険で流石に私服で挑むには厳しくなるだろう。


 そう思って、メンバー全員分の装備を一新しようと考えた。


 「ほら、好きなの選べよ、あっと言っても洋服選びに来た訳じゃないんだからな。」


 俺が一声かけるとティナがマンシーの手を引き、蜘蛛の子が散るように服を選びにいった。


 残ったのは俺とゴム娘二人、ゴム娘は神妙そうな顔で何か考えているようで。


 「マスター、私に装備は必要でしょうか?」


 「あっ?えぇっとそうだな……」


 ゴム娘は容姿さえそんじょそこらの女とは違う美貌を持っているがそれでもゴーレムなのだ。


 ゴーレムは元来、服など着ないし、生まれつき頑丈なので装備など必要ない。


 「じゃあ、俺が適当に選んでやるよ。お前もそのお古の服装じゃ嫌だろ?」


 「いえ、別に私はこのままでも結構なのですが」


 「いいから、俺に任せろって」


 俺は何処か納得のいっていないゴム娘をその場に残し、服を探しに行く。


 実は前々からゴム娘に着て欲しい、服装があったのだ。


 この辺りのスペースにありそうだが……あったっ!これだっ!


 「おーい、ゴム娘、これなんかどうだ?」


 俺が持ってきたのは貴族など金持ちに使えるメイドが着ている所謂メイド服という奴だ。


 思い出してみて欲しい、俺がゴム娘を召喚したのは何でもこなせるメイドゴーレムとして召喚したのだ。


 今は単なる毒舌少女だが雰囲気だけでもメイドさん気分を味わいたいじゃあないか。


 そんな思惑を知らないゴム娘は俺が持ってきた衣装と俺の顔を交互に見て。


 「全く、マスターはどんだけ性欲に忠実なのですか、本当に汚らわしいですね」


 まるで生ゴミを見るような視線で俺を見つめるゴム娘。


 ったく、なんて言われ様だ、別にいいじゃあないか、メイド服なんて男のロマンだぞ?


 と、強気にはゴム娘に言えないのでそっと店頭に戻そうとすると。


 「ですが、マスターが着ろと命令するならば仕方ありませんね。……それに、マスターから初めて貰ったプレゼントですし」


 「いや、いいよ。お前が嫌なら」


 「はぁ……これだからマスターは意気地なしだとか甲斐性なしだとかモブ顔だとか言われるんですよ」


 「おいっ!最後のは余計だろっ!」


 「ほら、今日は特別にマスターの我儘に付き合ってあげるので、それでいいです」


 「ああ、そうなの?」


 女の子の気持ちと言うのは分からないな。


 「二人とも見て見てーっ!」


 俺とゴム娘が一悶着あったところでティナが声をかけてくる。


 すると、ティナに手を引かれて知らない女の子がやってきた。


 純白のドレスに身を包み、透き通ると言うか、少し不健康そうな顔色をしているが、長い黒髪が綺麗な美人さんだ。


 「おい、ティナ、人様に迷惑をかけちゃ駄目だろ誰だよ、その美人の方は」


 「へっ?誰ってマンシーちゃんだけど」


 「へっ?まじっ?」


 確かによく見るとマンシーの面影はあるが……。


 「ふひひ、私、そんなに美人かなぁ……」


 あ、この笑い声は確かにマンシーだ。


 服に一つでこんなに変わるとは、やっぱり女の子は分からない。


 「すげぇ似合ってるけどさ、俺達は舞踏会に行く訳じゃねぇんだ。もっと冒険者らしい格好にしろ」


 「ちぇ、折角似合ってたのに……」


 ティナが舌打ちをし、マンシーを再び連れて店内に姿を消した。


 「俺も早く、決めないとな。おっこの鎧とかカッコいいじゃん。どうだゴム娘、似合うか?」


 俺は鋼で出来ている鎧の胴体だけを被りゴム娘に見せる。


 「ぷっお似合いだと思います」


 「おい、今笑っただろ……聞こえてんぞ」


 まぁ俺だって自分が甲冑なんかきて冒険だなんて似合うとは思ってないけど。


 俺は魔法使いだし、ローブとかそっちの方を探そう。



 かれこれ、装備選びに一時間費やし、俺達は各々自分の好みの服を買った。


 俺が買ったのは茶色のローブに動きやすそうなジーンズ、そして頑丈な皮で出来たブーツだ。


 ゴム娘は結局、メイド服を購入、早速着ている……思ったより似合うな。


 そして、ティナとマンシーは。


 「あれ?お前ら買わなかったのか?」


 二人は店に入る前と同じ格好をしていた。


 「あたしはお洋服ならお家にいっぱい持ってるしね。別にいいかなーって」


 成る程、流石貴族の娘は言う事が違うな。


 「わ、私もこの格好の方が落ち着くし……」


 「そうか、ならいいんだが」


 さて、こうして装備も一新したことだし、今日もクエストを受けようと思う。


 何か、不思議と気分が高まるな、新しい装備を買ったからだろうか。


 「ようし、そんじゃ今日もクエスト頑張ろうぜっ!」


 俺が拳を空高く掲げ、他の三人もそれに合わせる形で拳を揚げる……その時だった。



 『緊急クエスト発令っ!街の冒険者達は今すぐ冒険者ギルドに集まって下さいっ!』



 街のスピーカーから受付嬢の緊迫した声が聞こえてくる。


 一体、何が起こったんだ?


 一抹の不安を抱えながらも俺達は冒険者ギルドへと足を運ぶのであった。

ティナ「そういえばゴム娘ちゃん、服可愛くなったよねっ!」


ミスト「メイド服だぜ?どうよ?」


ティナ「うんっ!お家にいるメイドさんみたいですっごく可愛いよっ!」


ミスト「家にメイドさんね、このボンボンが」

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