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いつまでも可愛くしてると思うなよ!  作者: みまり
いいかげんにしないと怒るからね!
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アリスリーゼ……⑤

「皇女様だって?」


 ルータミナの思わぬ発言に周囲にいた人々が案の定、動揺し始める。


「でも、皇女様は帝都にいるはずだろ」


「じゃあ、どうして北方大神殿ここに?」


「ああ、やっぱりあの高貴な美しさは皇女様だったんだ!」


「確かに普通の人とは違う雰囲気があるなぁ」


 不味い……せっかく内密で訪れたのにバレバレになる。

 オレは青くなるが、言った当人のルータミナは皆と感動を共有できて嬉しそうだ。

 悪気がない分、始末に負えない。


 困り果てていると後ろからクレイが、すっと前に出る。


「恐れいりますが、神殿長様。よろしいでしょうか?」


「あら、貴方はどなたですか?」


「私はクレイと申します。帝都より帝国参事会議長ケルヴィン内政官の親書をレイモンド代理統治官にお届けする任を仰せつかっている者でございます」


「まあ、帝都から。それでは貴方も皇女様とご一緒に……」


「神殿長様! 無礼を承知で言わせていただきますが、神殿長様が『皇女』とお呼びになっているこの者は『皇女』ではありません」


「な、……では何者だと言うのです」


 水を差されて神殿長は眉を顰める。


「護衛役のリデル……私の妻でございます」


 え? えええ~っ!


 思わず変な声を上げそうになって必死に飲み込む。


「貴方の奥さん?」


「はい、私には過ぎた嫁でございますが、間違いありません。この美貌ゆえ皇女様に間違えられることがよくあるのですが、恐れ多いことです」


「ほ、本当ですか?」


 疑わしい目でオレを見るルータミアに、こくこくと頷いて見せる。


「でも、先ほど確かにロニーナ様の娘と……」


「たまたま母親が同じ名なのです」


 く、苦しい。さっき、間違いなくロニーナ皇妃殿下って言ったからなぁ。

 でも、前半部分を聞いていた人は少ないだろうから、無理やり押し通せるか?


 ルータミナは真偽を疑うようにオレとクレイを鋭い目付きで見つめる。オレは目を伏せてしまうが、クレイは目を逸らさずルータミナの視線を真っ向から受けて立っていた。 

 オレには長く感じられたが、一瞬の間の後、クレイの一歩も引かない視線に納得したのか、ルータミナは表情を和らげる。


「どうやら、わたくしの早とちりだったようですね。人違いして、ごめんなさい。皇女殿下に夫がいるわけがありませんものね」


 ルータミナの謝罪の一言で、クレイがふうっと息を吐き、周囲に集まった人々も、


「なんだ、神殿長様の勘違いか」


「そうだよ、皇女様がここに居られる筈ないじゃないか」


「驚いて損した」


「でも、美しいことに変わりないよ」


「あの娘……人妻なのか。ちくしょう、羨ましい!」


 思い思いのことを言いながら、見物人達は解散していく。

 それを見送ってから、ルータミナは意味深な顔付きでオレ達に言った。


「どこか落ち着ける場所で、詳しくお話しましょう」



 拒否できそうにない雰囲気のルータミナ神殿長の申し出を受け、オレ達は内密で話の出来る部屋に移動することになった。

 とにかく人目のある中央廊下では悪目立ちが過ぎる。これ以上、あらぬ噂を立てられるのは勘弁してもらいたかった。


「待ってください、リデル」


 先を歩くルータミナの後をオレが急いで付いて行こうとすると、今まで黙っていたヒューが声をかける。

 どうやら、有名人であるヒューは自分が口を出すと、かえって騒ぎが大きくなると思い、ずっと自重し黙っていてくれたようだ。


「もしかして体調が悪いのではないですか? 顔が真っ赤ですよ」


 う、うるさい……わかってるって、それぐらい。だから、クレイに顔を見られないように先を急いでるんだよ。

 とは言えないので、「ごめん、大丈夫だから」と言って赤くなった顔が見えないように顔を伏せる。


「なら、良いのですが……」


 オレからは見えないけど、ヒューは心配そうに、クレイは笑いを堪えているのがわかる。


 くそ~、バレバレかよ。

 大体、お前がいけないんだぞ、突然あんなこと言うから。

 言うに事欠いて……つ、妻だなんて。


 べ、別に嬉しくも何ともないんだからな。ああっ、もう思い出しただけで……。


「本当に大丈夫ですか、さらに赤くなりましたよ。熱でもあるのではないですか?」


 ヒュー……その性格、ホント直した方がいいと思うぞ。 




 オレの顔の火照りが何とか治まったころ、ルータミナの案内で小ぢんまりした部屋に通される。高位神官用の談話室らしく、秘密の話をするのに打ってつけの場所だ。


「…………という理由でこちらに赴いたんだ」


 オレはアリスリーゼ行きの真意を伝え、ルータミナの協力を仰ぐつもりだった。


「つまり、端的に言えば、帝国に皇女殿下が帰還したというのに皇女直轄領アリスリーゼは頑なに帰属しようとしない。そればかりか、皇女殿下本人がアリスリーゼに来れば(来れないに決まってるが)、諸手を挙げて従おう……というレイモンドの嫌味な社交辞令を真に受けて、遠路はるばるここまでやってきたと言うのですか?」


「そ、そうなるかな……」


 ルータミナの身も蓋もない言い方に、オレの言葉はだんだん小さくなる。


「馬鹿ですか……?」


 思わず、ぼそりと言ってしまったルータミナは一瞬「しまった」という顔をして青ざめたが、すぐに開き直って言い募った。


「そ、そうではありませんか。どこの世界に一番重要な人物を危険な道中に送り出すなどと……」


 ごもっともです、ルータミナさん。


周りでインフルエンザが再び猛威を奮っています。

前回はB型で、今回はA型です。

隣の席の人が罹って金曜日に休んだので、私も時間の問題かも(>_<)

何となく身体の節々が痛いし、頭も痛いです。

もし、寝込んだら、お休みするかもしれませんので、ご承知おきくださいね。

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