エピローグ
「申し訳ありません。皇女暗殺に失敗しました」
黒を基調とした祭壇の前にひれ伏した男が頭を床にこすり付けて謝罪する。
(もとよりそれは想定内のことだ。失敗したということは、本物の皇女と考えて差し支えあるまい)
どこからともなく年老いた男のしゃがれ声が殷殷と響く。
「それでは、今度こそロニーナ皇妃の忘れ形見なのですね」
(その可能性は高いと言えよう。長い時を待った甲斐があったいうものだ。イクスの報告に誤りはなかったということか)
「僭越ながら、あやつめを信用するのはどうかと思われますが……」
(あれはあれで使い道はある。お主が気にせずとも良い)
「はっ」
(それにしても、これで全ての駒がそろった。あの折には、あの男にはまんまとしてやられたが、今度はそうはいかぬ。お主にも期待しておるぞ)
「は、御意のままに」
(いよいよ復活の時が来る……アリシアよ、待っておるがよい)
くぐもった笑い声が暗い祭壇の間に響き続け、信奉者の男は歓喜の表情を浮かべた。
第二部完
作者のみまりです。
ご愛読いただき、ありがとうございました。
何とか第二部完結です。
え、全然完結してないって?
い、一応完結なんです、ごめんなさい!
それにしても、今回は第一部より長くなるとは予想していましたが、まさかこんなに長くなるとは思いもしませんでした。
改めて自分の見込みの甘さを痛感しています。
いろいろと至らない点も多かったにもかかわらず、たくさんの方に読んでいただき、本当に感謝しています。
ありがとうございました。
しばらく休養したら、第三部……でなく新作を書こうと思っています。
「いつ可」シリーズについては少し時間を置き、構想を練ってから書きたいなと考えています。でも、突然書きたくなったら、急に始めるかもしれません。
その時は、よろしくお願いします。
平成26年8月7日 月見里みまり