第9章 ちびドラゴン 015 〜 雪音ちゃん、ドラゴンも下僕にする!①〜
私はため息をつきながら魔法で氷のバケツを作り、風の魔法で手首をバッサリ切ってバケツにドバドバと血を垂らしていった。さっきドラゴンの血をいっぱい飲んだからか、大量の血が身体から出ていっても貧血状態にならないのはありがたかった。
「キュ〜♪」と嬉しそうに鳴いたスカーレットちゃんがバケツの血を飲もうとするのをドラゴンさんが翼で邪魔をする!
「キュッ!? キューー! キューー!」ママ!? つばさじゃまー! どけてよー!
「まずはママが試します! 約定がきちんとなされるのか確認してからじゃないと駄目!」
「キュウウウ!! キューー!!」やーだーー! ママずるいー!
スカーレットちゃんがドラゴンさんの翼を両前脚でポカポカ叩いている! ドラゴンさんはスカーレットちゃんに構わず、宙に浮かんでいる私の血の入った氷のバケツをパクッと飲み込んでしまった! ゴクンッ! すると、ドラゴンさんの身体が赤く光った!
うん、災厄の魔物であるドラゴンさんを私の眷属にするのに成功しちゃったみたいだね。あとで神様に怒られないかなぁ?
「グルルゥ。これで我にも回復魔法が使えるようになるのか?」
「ちょっと待ってね?」
私はドラゴンさんの頭の上に手を置いて、ドラゴンさんが回復魔法を使えるように強く、それは強く願った! これで、もしドラゴンさんが回復魔法使えなかったら何されるか分かんないからね! 神様にめーいっぱい祈ったよ!
「これで回復魔法が使えるようになったと思うよ? ( 多分だけど…… )」
「グルルルゥ。本当だろうな?」
「キュッキュウ? キュッキュウ?」ほんとー? ほんとー?
「じゃあ、試しにドラゴンさんの身体に穴開けるから自分で治してみてよ」
「どうして我が自分の身体を傷付けねばならぬのだ! ガルルルゥ!」
「えー、だって私が私の身体を傷付けて、それをドラゴンさんに治してもらおうとしてもさ、仮にドラゴンさんが回復魔法を使えるようになっていなくても、ドラゴンさんが回復魔法を使おうとしたタイミングで私が自分で回復魔法を使っちゃえば、ドラゴンさんには区別つかないんじゃない?」
「グルルゥ。魔法を発動すれば魔力の流れで分かるであろう?」
「ドラゴンさんって膨大な魔力持ってるよね? そこからごく少量の魔力が流れたとして、ドラゴンさんはそれを感知できるの? 私も膨大な魔力を持ってるから分かるんだけど、よっぽどの大魔法使わない限り、魔力を持ってかれてるって感じがしないんだけど?」
「ぐぬぬ。確かにお前の言う通りだ」
「あ、あと、お前って言うの止めてくれるかな? あなたは一応私の下僕になったんだから、これからはお前じゃなくて雪音って言って欲しいかな」
「ぬぬぬ。仕方あるまい。では、雪音。我が手に傷をつけるのだ。グルルゥ」
ドラゴンさんがイヤイヤ手を私の前に差し出して来た。あんなに強いドラゴンさんでも痛いのには慣れてないんだね? 私はドラゴンさんの手に自分の手の平を当て痛覚無効の魔法を掛けてから、超高圧で水を打ち出しドラゴンさんの手に風穴を開けてあげた。
「痛くなかったでしょ? じゃあ、私、ここから離れるから自分で魔法を使って空いた傷口を塞いでみてよ。治れ! とか ハイヒール! とか叫ぶか念じるかすれば回復魔法が発動するから!」
そう言って私は急いでその場を離れた!
「グルアッ!? わ、我の手に穴が空いているではないかぁあああ!? な、なのに痛くないとは一体どういう!?」
「キュッキュウ! キュッキュウ!」ママー、回復まほー早くつかってー! 早く早くー!
ちなみに私は離れる前にギャザー・ブラッドの魔法を使っておいたので、ドラゴンさんの手の傷口から垂れ落ちる血をこっそり海面近くで集めていたりする。だって、せっかくの美味しい血を海に垂れ流しとか、もったいないじゃない?
「グルルルゥ。本当に我にも回復魔法が使えるのであろうな? あの吸血鬼の小娘、我を謀っておったら、ただでは済まさんからな? グルルルルルゥ。治れ!」
ドラゴンが怪我をしていない方の手を穴の空いてる手に翳し、魔法を発動する言葉を唱えるとオレンジ色の光がドラゴンの傷付いた手を包み込み、手に空いた穴が徐々に塞がれていった!
「おぉ! まさか我が回復魔法を使える日が来ようとは! グゥワォオーーーーン♪」
「キュッキュウ♪ キュッキュウ♪」すごい、すごーい♪
◇◆◇
あっ、ドラゴンさんが翼をバサバサさせて嬉しそうに鳴いてるね? 再度戦う羽目にならなくて良かったよぉ〜。はぁ〜。じゃあ、あとはスカーレットちゃんが回復魔法を使えるようにしてあげないとね?
ただ、私の血を飲ませて成長が止まっちゃったりしちゃうとスカーレットちゃんも悲しむし、あのドラゴンさんに何されるか分かんないから、ミアちゃんに青い雷が使えるようになる腕輪を作ってあげたように、スカーレットちゃんに回復魔法が使えるアクセサリーを作ってあげれば良いかな?
どんなアクセサリーが良いかな? やっぱ首輪かな? さっき付けてたの似合ってたし♪
とゆー訳で、私は風の魔法で手首を切って血を流し、ギャザー・ブラッドで血を集めながら首輪を形作っていく。首輪の部分は金色で中央の大きくて丸い宝石はやっぱ赤だよね! うん、できた♪ あとはコレに回復魔法が使えるようになる魔法を付与して完成! 早速スカーレットちゃんに渡しに行こうっと!
私はまずドラゴンさんの真下の海面に移動して、ドラゴンさんの手から垂れ落ちてできた血の球体を氷漬けにして天上界の倉庫にさり気なく回収してから上昇し、ドラゴンさん達の前へと移動した!
「どう? 回復魔法はちゃんと使えたかな?」
「グルルゥ。お前の言う通り」
「雪音!」
「ぬう?」
「お前じゃなくて雪音! さっき言ったよね?」
「グルルルゥ。雪音の言った通り、回復魔法を発動することができた。礼を言おう。我の名はプラーミャ・カタストロフ。特別にプラーミャと呼ぶことを雪音に許してやろう」
ドラゴンさんは冷静を装っているようだけど、尻尾フリフリで翼もバサバサさせている!
「プラーミャ、これからよろしくね?」
私は笑顔で挨拶をしたのにプラーミャは素っ気ない。むぅー、下僕になったのにご主人様を敬ってくれないよぉー!
「キューウ? キューウ?」わたしのはー? わたしのはー?
スカーレットちゃんが私の周りをグルグル飛び回って血を催促してくる。
「はいはい。スカーレットちゃんには私の血で作った首輪をあげるね?」
私は首輪をスカーレットちゃんに嵌めてあげた!
「外したい時は、外そうと思って手を伸ばせば自分の意思で自由に外せるから! あと、それ付けたまま人間形態になってもドラゴン形態になっても自動で大きさ変わるから、いちいち外さなくて良いんだよ。凄いでしょ?」
「キュ〜ウ? キュッキューー!」なんでくびわー? わたしもお姉ちゃんの血をのみたーい!
「私の血を飲んじゃうとママみたいに大きいドラゴンになれなくなっちゃうけど、それでも良いの?」
「キュッ!? キュッキュー」えー!? それはやだー。
「グルルゥ。スカーレット、吸血鬼の下僕になるということはそういうことです。諦めなさい」
「キュ〜。キュウ、キュウキュウ♪」はーい。お姉ちゃん、くびわありがとー♪
「どういたしまして、ってスカーレットちゃん、くすぐったいから顔舐めないでぇ〜」
私はスカーレットちゃんを捕まえて胸の前に移動させて抱っこした。
「雪音、スカーレットの今後のことを考えての配慮、感謝する。グルルルゥ」
「んー、小さいスカーレットちゃんも可愛いくて良いんだけど、本人の意思を無視して成長を止めちゃうようなことはイヤだからね。気にしなくて良いよ?」
「そうか。それで、雪音は我を下僕にして何を望む? 向こうの人間の町を火の海に変えてくれば良いのか? グルルルゥ」
「そんなこと望まないよ!? 何言ってんのよ!」
「グルゥ? 雪音は魔族であろう? 魔族の領土を拡大したいのではないのか?」
「私、はぐれ魔族みたいなものだし、しばらくあそこの人間の町を拠点にしようとは思ってるけど、この世界のいろんな所を旅してみたいから、あそこの町にずーっと住むって訳でもないし、領土拡大とかどうでも良いよ?」
「ふむ、そう言えば雪音は吸血鬼だから人間を殺しては血が吸えぬものな! グルグルグルゥ」
「別に人間の血を吸うためにあそこの町を守ろうとした訳じゃないからね!?」
「グルルゥ。それで雪音はそなたの下僕になった我に何を望むのだ?」
「聞いてないし……。特にないよ? 強いて挙げるなら、たま〜にあなたの血を飲ませてくれると嬉しいかな?」
「我の力を用いれば世界の覇者になることも可能かもしれぬのだぞ? グルルルゥ」




