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第5章 パジルーンという村での出来事 012 〜おいたした人には罰を与えましょう!③〜

「あのさー、私さっき守り神様を倒したって言ったよね? そんな人間に単なる村人達が勝てるとでも思ってるの? なのに、何? 私を殺す? じゃあ、あなた達が私の代わりに死ねばいい」


 足元から(ひざ)まで凍らされた村人達が表情をさらに悪くする。そして凍っていく村人達が、


 さっき言ったのは嘘だ! ガヤガヤ。村長に騙されたんだ! ガヤガヤ。周りにつられただけなんだ許してくれぇ! ガヤガヤ。旅人なんてどうせ魔物に殺されるんだから村の役に立って死ぬ方がいいじゃない! ガヤガヤ。死にたくない死にたくない! ガヤガヤ。だから私は旅人を()(にえ)にするのに最初は反対だったのに! ガヤガヤ。


 とか、好き勝手なことばっかり言っていた。コイツらクズばっかりで人間嫌いになりそうだよ。


「こ、この化け物がーーー!!」


 村長が私のことを化け物と言う。


「あなたの方こそ、人の皮を被った化け物じゃないのかな? 村の娘を助けた旅人に眠り薬を盛って、()(にえ)として魔物に差し出しちゃうんだもんネー。恩を(あだ)で返すような奴に化け物呼ばわりされたくないよ」


 そう言って私は周りを見渡しながら大声で言う。


「とりあえず私の代わりに、氷漬けになったあなた達を()(にえ)として、後で白い大蛇の所へ連れて行ってあげるよ。()(にえ)を捧げれば、白い大蛇が村を守ってくれるんでしょ? 良かったじゃない。あなた達がこの村を存続させるってゆー大役を(にな)えるのよ?」


 ガヤガヤ。なんだって! 守り神様はご存命なのか!? ガヤガヤ。お、俺が()(にえ)? う、嘘だー。ガヤガヤ。あの旅人は守り神様を殺していなかったの? ガヤガヤ。


「き、貴様、何を言っておるのだ。貴様はさっき守り神様を殺したと言ったではないか!」

「殺したとは言ってないね。倒したって言ったんだよ?」


 ラピが前に出て来て村長と向き合う。


「村長様、雪音様は守り神ワイトスネイカ様をお倒しになりましたが、その命をお奪いになってはいないのですー」

「なっ!?」


「雪音様は、雪音様を丸のみして消化しようとなさったワイトスネイカ様をその慈悲深い心でもって、お許しになったのですー。どうしてお許しになったのか、村長様はお分かりになりますかー?」

「化け物の考えなぞ分かるはずなかろう!」


 村長の体は腰の所まで凍って来ている。


「雪音様はワイトスネイカ様に、こうおっしゃいました。あなたを殺してしまうと、村を守るために()(にえ)になった娘達の悲壮な想いが無駄になってしまう。過去に犠牲になった娘達の 村を守るという想いを無駄にしないためにも、あなたを殺しはしない。その代わり、この村を今まで通り守れ! そのように雪音様はおっしゃっておりました」

「つまり、守り神様は生きておられるということか?」


「はい、ご健在ですよー?」


 ガヤガヤ。()(にえ)はイヤだーー! なんで男の俺が()(にえ)に!? ガヤガヤ。う、嘘よ、なんで私が()(にえ)にー! ガヤガヤ。我らの村の守り神様が生きておられた! 良かった、本当に良かった! ガヤガヤ。ヤベェ、ヤベェよー、凍る! 凍っちまうよーー! ガヤガヤ。


 あ〜、()(にえ)巫女(みこ)って言われるぐらいだから、そうなんだろうなとは思ってたけど、村の祭事において、男の()(にえ)はいなかったみたいだね。それで、村の娘に役目を押し付けて、自分は安心して のうのうと暮らしてたと! ホンットに最悪だね、この村は!


「貴様ーー! なぜ、わざわざ誤解を招くような言い回しをしたのじゃーーー!」

「この後に及んで、まだ私に謝罪の一言も出せないの? ホント(あき)れた人だね。これで村長だって言うんだから。あっ、そうそう、この()(にえ)の衣裳なんだけど、白い大蛇に聞いたら、こんな肌が透けて見える衣裳を頼んだ覚えはないんだって! 一体誰の趣味なんだろうね?」


 ガヤガヤ。えっ、あの衣裳って守り神様が決めたんじゃなかったの? ガヤガヤ。あー、やっぱり! そーだと思ったのよねー。ガヤガヤ。じゃあ、誰があの煽情的(せんじょうてき)な衣裳を!? ガヤガヤ。


「う、嘘じゃ。そ、それは守り神様が決めたのじゃ!」

「ふーん。そうゆーこと言っちゃうんだー」


 私は指をパチンッと鳴らし、村長だけ早く凍るようにしたので、村長は首まで一気に凍ってしまった。


「ま、待ってくれ。衣裳は、その衣裳は、村の男達に、村の娘の立派に成長した体を目に焼き付けて、村の娘のことを忘れないで欲しいと思ってじゃなー」


「ギルティ!! 忘れさせないだけなら、こんな衣裳じゃなくても良かったでしょ! 凍ってしまえーーー!!!」


 村長は氷の彫像と化した。


「雪音ちゃん……」


 ラピが私をジト目で見てくる。


「あ、後で氷を解除するから大丈夫ダヨ? それにあのままでも死にはしないから!」


 と小声でラピに伝える。そして、周りからはこんな声が聞こえてくる。


 ガヤガヤ。ホント男って馬鹿ね! ガヤガヤ。村長さいってー! ガヤガヤ。やべえぞ、村長が凍っちまったぞ。ガヤガヤ。イヤだー俺は氷の彫像になんてなりたくねーー! ガヤガヤ。凍っちまう、凍っちまうよー、誰か助けてくれぇーー! ガヤガヤ。


 凍っていくヤツらは、せいぜい絶望すると良いよ? あはっ♪


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