第5章 パジルーンという村での出来事 011 〜おいたした人には罰を与えましょう!②〜
あっ、エロじじーが出てきた! ついでに周りの家からも、さっきの音は何事だ!? と人がゾロゾロと村長の家に集まって来る。
ガヤガヤ。見ろ、村長の家が燃えてるぞ! ガヤガヤ。おい、あそこにいるのって生け贄の巫女じゃないか!? なんでまだここにいるんだ! ガヤガヤ。
「はっ!? お、お主はーーー! な、なぜここにいるんじゃ!? お主は村の女共に着替えさせて守り神様の所へと運ばせたはず! ラピ、お前もじゃ! お役目はどうしたのじゃ!!」
あっ、私の着替えは女性がやってくれたんだね。良かった良かった。エロじじーに着替えさせられたんじゃなくてネ!! さて、お仕置きの時間だよ?
「随分勝手なことを言ってくれるじゃない。ねー、村長さん。この村って旅人を守り神様とやらに生け贄として差し出してるんだってネー。聞いたわよ、その守り神様とやらに」
と村人達に聞こえるように大声で言ってあげる。
ガヤガヤ。村長様が旅人を守り神様に差し出したらしいぞ。嘘だろ? ガヤガヤ。いや、あの娘が嘘を言ってるに違ぇねぇ! ガヤガヤ。
「う、嘘だ! そんなこと、この村ではやっておらん!!」
「えー、ついさっき私に向かって、お主は村の女共に着替えさせて守り神様の所へ運ばせたはずって言ってたじゃん? 耄碌しちゃったの? 私、村長さんに薬盛られて気づいたら魔物のお腹の中だったんだよね〜」
とこれも大声で言ってあげる。村人達に聞こえるように!
「う、嘘じゃ、わ、儂は眠り薬など盛っておらん!」
「私は薬を盛られたって言ったけど、眠り薬とは言ってないんだけどな〜?」と大声で、以下略!
ガヤガヤ。村長が旅人に眠り薬を盛ったってマジか? ガヤガヤ。村長様がそんなことするはずねえべさ。ガヤガヤ。でも、あの喋っている子、生け贄の巫女の衣裳を着てるぞ! ガヤガヤ。きっと村のためだったのよ、村長様は悪くないわ! ガヤガヤ。あの子、魔物のお腹の中にいたって言ってるのにどうしてここにいるの!? ガヤガヤ。
「く、薬を盛るといったら、そういうもんは大抵は眠り薬のことじゃ。勘違いをしただけじゃー!」
「往生際が悪いねー。ごめんなさいもできないんだ。私さっき言ったよね? 薬盛られて気づいたら魔物のお腹の中だったって。さて、ここで問題です。魔物のお腹の中にいた私が今ここにいるのはなぜでしょー? うふふ♪」
「ま、まさかお主、守り神様をーーー!?」
「白い大蛇のお腹を 中から切り裂いて外に出て来たんだよ? だって、あのままお腹の中にいたら私、死んじゃってたし」
「な、なんということをしてくれたんじゃーー!守り神様を殺したのかーーー!!」
ガヤガヤ。なんだって!? 守り神様が殺されただって! ガヤガヤ。嘘でしょ!? ガヤガヤ。この村はもーお仕舞いだーー! ガヤガヤ。
「だって私、白い大蛇に丸のみにされちゃったんだもの。悪い魔物は倒さないとね? あはっ♪」
「雪音ちゃん……」
ラピが何か言いたげだけど、私は口に人差し指を当てシーってジェスチャーをしながらウィンクする。ラピは黙ってうなずいてくれた。私は、私以外の旅人がこの村の村人達に騙され、生け贄として差し出されてないか確認したかった。村ぐるみでそんなことをしているとは思いたくない。だから、敢えて誤解を招いて煽るような言い方をしてる。そうすれば、そのうちボロを出すヤツが出てくるはずだ。ついでにそういう事実があったなら、それを善良な村人達に知ってほしい。そして死んでいった旅人を悼んであげてほしい。
「貴様のせいで、この村はもう終わりじゃーー! どうしてくれるんじゃーーー!!」
ガヤガヤ。そうだ! そうだ! どうしてくれるんだー! ガヤガヤ。そうよ、いつもみたいに大人しく守り神様に殺されてくれれば良かったのに! ガヤガヤ。殺せ! 殺せ! ガヤガヤ。あの娘を殺せ! ガヤガヤ。あの旅人を生け贄に差し出さなければ良かったのよ! そうすればこんなことには! ガヤガヤ。ガヤガヤ。
いつもみたいに大人しく、ね〜? これって、やっぱりこの村に来た旅人は生け贄にされちゃってるってことだよね?
「ハー。私は村長達のせいで私の人生が終わるところだったんだけど? それに関して私に何か言うことって ないのかな?」
「人1人の人生より大勢の人生じゃ! ふらっと流れついた旅人が1人消えたところで、この村の誰も困らんわ!」
ガヤガヤ。そうだ! そうだ! ガヤガヤ。いつもみたいに村の為に死んでくれれば良かったのによぉー! ガヤガヤ。守り神様を返して! この神殺しー! ガヤガヤ。待って! 村の全員がそう思ってる訳じゃ、きゃっ! うるせー黙ってろ! アイツを殺せー!! ガヤガヤ。殺せ! 殺せ!
私はラピを見る。ラピはとても悲しそうな顔をし、目を瞑って首を横に振った。私は周りを見渡す。そうだそうだ! と叫んでいる男や女がいる。殺せ殺せ! と言っている女や男がいる。文句を言ってるヤツラを全員ロックオンし、私はため息をついて、こう唱えた。
「氷の柩!」
ロックオンされた村人達が足元からゆっくり凍っていく。村長も当然凍っていく。
うん、みんな顔が真っ青だね♪ ゆっくり反省すると良いよ。




