↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元刑事、異世界で真実に辿り着く  作者: 月乃音


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/80

第80話 想像と違った

エドガーからパニーニをもらった、キース、ルト、チャドは驚いたが、一斉に頭を下げた。


「ありがとうございます」


落ち着いた声で答えたのはキースだ。


「俺たち三人は、このまま詰め所に行かないといけないので、こちらは後でゆっくり食べさせてもらいます」


「あ、ありがとうございます」


ルトが言葉につかえながらもお礼を言った。


「ごちそうさまです!」


「チャ、チャド!?」


「お前……」


ルトは驚き、キースは頭を抱えた。


「どうした? 出来たて美味いぞ?」


チャドは怪訝な顔をした。


「くく、気にしなくていいぞ。なぁ、エドガー」


「ああ、お前たちも食べながら詰め所に向かうといい。出来たてのほうが美味いからな」


「はい、美味しかったです!」


元気よく答えるチャド。

そのチャドの背中を、おもいっきり叩いたキース。


「痛いよ、キース」


「理由は歩きながら教えてやる。申し訳ありません」


キースはリックとエドガーに頭を下げる。


「問題ない」


「気にするな」


「ありがとうございます。では俺たちはこれで失礼します」


「ああ、聞かれたことを素直に答えればいい」


リックが安心させるように言う。

キースは頷き、ルトとチャドに声を掛けた。

三人はもう一度俺たちに頭を下げて、衛兵たちの所へ向かった。

一緒に移動するようだ。



「あの三人は、——いい子ですよね」


ステラがパニーニを頬張りながら言った。


「ステラ、食べながら話さないの」


ルナが注意をする。


「食べている時は黙ったじゃん」


モグモグしてる間があったけどね。


「もう、ステラったら」


呆れながら言うルナに、どこ吹く風のステラ。

そんなことを言いつつ、ルナもパニーニを口にする。

一瞬目を見開き、夢中で頬張る。

ルナさん、リスになっている。



「あはは、ルナは美味しいものを食べると、無口になるんだよ」


「そうなんだ」


「これ美味しいね! お客さんが教えてくれて、お店が休みだから買いに来たの」


「ええ、本当に美味しい。エドガーさん、私たちまでご馳走いただいて、ありがとうございます」


「ついでだ、気にするな」


「「ごちそうさまです」」


おぉ、ハモった。

双子だな。


「二人に聞きたい事がある」


リックが改まって質問した。


「なんですか?」


ルナが反応する。


「冒険者が行く食事処で、清潔な店を知らないか?」


顔を見合わすルナとステラ。

俺の要望にリックは悩んでいたようだ。


「ああ、お二人とも知らないんですね。冒険者ギルドの隣に食事処ができたんですよ。1年ぐらい前だっけ?」


ステラがルナに聞く。


「そのぐらいだと思うわ。あそこなら清潔ですし、冒険者ギルドと行き来できるように中で繋がっていますよ」


「食事の味はどうだ?」


エドガーが聞く。


「ボリュームもあって美味しいよ。お勧めは、お肉のトマト煮込み」


ステラが元気よく教えてくれた。


「レオ、そこでいいか?」


「うん! そこに行こう。冒険者ギルドも見てみたいし、ちょうどいいよ」


「二人とも助かったよ」


「どういたしまして」


ステラが胸を張る。


「お役に立てて良かったです。それじゃ、私達はこれで失礼しますね。エドガーさん、ごちそうさまでした」


ルナが丁寧にお辞儀をする。


「ごちそうさまでした!」


ステラも続いて、ちょこんと礼をする。


「二人とも、ありがとう」


俺が手を振ると、二人とも微笑んで手を振って去っていった。

二人を見送り、俺たちも冒険者ギルドへ向かった。


お店はすぐ分かったが、入口が閉まっていた。


「今日は休みか?」


リックが困った顔で言う。


「どうする?」


エドガーが俺に聞いてくる。


「せっかくここまで来たんだし、冒険者ギルドを先に見たい」


「そうするか」


エドガーが答え、リックも頷いた。

初の冒険者ギルドだ!

思わず身を乗り出した。


「ハハハ、そんなに楽しみなのか?」


エドガーに、おかしそうに笑われた。


「だって、本でしか知らないから」


「じゃ、本物をしっかり見て楽しんでくれ。楽しいかは分からないがな」


そう言いながらエドガーは冒険者ギルドに入った。


「……」


ギルド内を見渡す。

想像していた感じと違った。


「綺麗だね……」


俺がポツリと言う。


「どんな想像をしていたんだ?」


エドガーを見て、思っていたことを言う。


「ガヤガヤ騒がしくて、汗臭くて、昼間からお酒を飲んでる人もいて、お酒臭い感じ?」


「酷い想像だな、坊主」


突然、声を掛けられて前を向く。

誰も居なかった場所に、頬に大きな傷があり眼帯をした壮年の男性が立っていた。


「レオを脅かすな。なんで昼間から、ギルド長がいるんだよ」


エドガーが不機嫌そうに言う。


「ここは、冒険者ギルドだからな。居て当たり前だろう」


「仕事はどうした?」


「していたぞ。中断したのは、お前らが来たからだろ?」


憮然と答えるギルド長。


「なんでだよ?」


「お前らが二人が突然来たら、何事かと思うだろうが」


「……」


黙り込むエドガー。

ギルド長は俺をチラッと見る。


「お前がレオか」


かがみ込んで俺と視線を合わせて、じっと見てくる。


「ほぅ、肝が座っているな」


すっと、リックが俺達とギルド長の間に身をすべらせる。


「なぜ、レオのことを知っている?」


「なぜって、イザベラに決まっているだろうが。心当たりあるだろ?」


リックが眉間をもんで黙り込んだ。

イザベラさんには困ったもんだね。


「それで? ここに何しに来た?」


「隣の食堂に来たんだが、休みだった。せっかくここまで来たから、レオが冒険者ギルドを見たいと言ったから来た」


「ん? 食堂やっているぞ?」


「入口閉まっていたぞ」


「あいつら、また忘れているな。実はオープンしたての頃に、色々あってな、冒険者ギルド側からしか入れないようにしたんだ」


そう言って、ある方向を指した。

そちらを見ると、入口にメニューの看板が出ていた。


「案内を出しとけよ」


エドガーが突っ込む。


「何度も言っているんだが……、壊されるんだよ」


「ドアをなくして、壁にすればいいんじゃないの?」


俺の一言に、ギルド長が固まった。


「その手があったな…….。なんで誰も気づかなかったんだ? 坊主、でかした!」


ギルド長は食堂に駆け込んでいった。


「気づいてなかったんだね」


呆れて言うと、エドガーとリックも苦笑いして肩を竦めた。


「お~い! お前らここに来たんだろ? 奢ってやるから食ってけ!」



機嫌が良くなったギルド長に、ご馳走してもらった。

ステラさんお勧めの「お肉のトマト煮込み」とパンを注文した。

エドガーとリックは、その他にも、店員お勧めのメニューを注文した。



美味しかったけど、どれも肉料理だった。

サラダを頼めば良かったな。


食べ終わった後、冒険者ギルドで掲示板を見て、どんなクエストがあるかを見た。

お馴染みの薬草採取、魔物討伐、護衛があった。

面白かったのは、街の掃除やカフェのウエイトレスもあり、職業斡旋のようになっていた。



受付の人と話してランクや依頼のことを教えてもらった。

冒険者ギルドの仕組みは、地球の漫画とほぼ同じだった。



12歳から冒険者になれるようだ。

受付の女性に「後、数年たったら受付してあげる」と言われた。


俺は大人の対応をしたが、エドガーとリックは笑いを堪えていた。



登録したら、1日の勉強会と各自にあった戦闘の基本を教えてもらえる仕組みのようだ。

そこで試験を受けて合格したら、依頼を受けられるそうだ。



冒険者になって、異世界を旅して、世界を見てみたい。

そう思ってしまった。


その後、お約束の展開もなく平和に見学が終わった。

なんか肩透かしを食らった感じで、冒険者ギルドを後にする。




「この次は騎士の武具店?」


「それでもいいが、図書館は閉館が夕方だからな。ゆっくり見たいなら、先に行ったほうがいいと思うぞ?」


「そうだな。騎士の武具店なら、図書館の閉館後で問題ない」


「そうなの? なら先に、図書館に行きたい! 大きいの?」


「ああ、この国で一番大きいぞ」


「そうだな、貴重本は王宮に敵わないがな」


リックは本も詳しいのかな。


「本は借りられる?」


「持ち出しは出来ないな」


「そうなんだ」


「今日は好きなだけ読めばいい」


「うん」



色々と話しながら歩いて、目の前には大きな白い建物があった。


「え? ここ?」


「そうだ。大きいだろ?」


「豪華だね……」


美術館や博物館みたいだ。


「本は貴重だからな。その国の教養や文化などを知る指標にもなるんだ」


エドガーが説明をしてくれる。


「もしかして、国の財力の指標とかにも?」


「その通りだ」


リックが頷きながら答える。


「レオ、図書館に入ったら、声は小さめで、言葉は少なくな」


「分かった」


豪華な図書館に足を踏み入れる。

圧巻だった。

入口は広いロビーで、受付があり警備の兵士も立っていた。


次回11/4(水) 20時更新です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。