お湯を掘ろう2
「で、どういう事なの?…このお湯は?」
熱々のお湯がかかり、蒸気にむされてビショビショのアデリナが困惑を隠せない様子でマサルに聞く。無理もない、いきなり神様がいて熱湯に襲われたのだから。
「このお湯は井戸より深い場所の地下の水脈がマグマの熱によって温められたお湯だよ。」
「………で、これをどうする気なの?」
「前にも言っただろ!お風呂が欲しいって……あ、お風呂の他にも料理に使ったり色々と可能性はあるけどね。」
「………料理にお風呂……?その為にゼラフィティス様を巻き込んでこんな事をしてたの?」
ヤバい…アデリナはお怒りの様だ。完全にマサルがゼラフィティスを巻き込み作業していたのだと思っている。
「ちっ…違うぞ!アデリナ!これはゼラフィティスの方が一緒にしたいって言ってきたんだからなっ………なぁ、ゼラフィティス………って、いない!?」
既に怒られそうな雰囲気を察し一足先にゼラフィティスはもう逃げていた。
「ゼラフィティス様のせいにする訳?」
「いや、ゼラフィティスのせいというか…何も悪い事はしてないというか…何で怒られてるの?」
「な……何でって……日頃の行い?」
何となくで怒ってらっしゃった様だ。
「という訳でゼラフィティス聞いてるんだろ?来いよ…仕事は最後までしていけ。」
「家造りをほっといてココにいるマサルがそれを言うの?」
「…ちゃ、ちゃんとマサルは街の為の仕事をしていたぞ?」
虚空から現れたゼラフィティスが擁護の言葉をかける。目は「味方するから逃げた事はチャラにして」と語っているが良しとしよう。
「ゼラフィティス様がそうおっしゃるのなら…。…あ、お初にお目にかかりますアデリナです。」
「いや、君の事は神の皆が知っているよ。」
「えっ?」
「それも彼を皆が見てるからだけどね。」
目線でマサルの方を指すゼラフィティス…そこには何やら落ち込むマサルが…。
「………ビクティニアスとアイラセフィラとゼラフィティスだけじゃないのか………。」
「仕方ないよ、君は色んな意味でこの世界に貢献しているからね。まぁ、有名税だと思って諦めてよ。」
「マサルが世界に貢献………マサル………貴方は何者なの!?」
アデリナの異様なモノを見る目が痛くてゼラフィティスに視線で助けを求める。
「彼は間違いなく人だよ……ちょっと我々神の方の手違いで接する機会があっただけで、刺されれば血が出るし、酷い怪我をすれば死ぬ…そんな我ら神々の愛しき子供たちの1人だよ。」
「………で、友達で一緒に魔道具作ったりする仲間なわけ………納得しろとは言わないけど特別とは思わないでくれ。」
「誰しも誰かの特別だよ?」
「茶化すなよゼラフィティス、今はそういう事を言ってるんじゃないのは分かるだろ?」
「いえ、もう良いわ…わたしが悪かった。ちゃんと片付けして皆にちゃんと報告しといてね…わたしは着替えるから。」
「…お、おう…。」
立ち去るアデリナを見送る2人。
「で、仕事は最後までしていけって何をすれば良いのかな?」
「……………えっ?あぁ、この温泉の水質が知りたい。流石にこの鑑定のスキルも万能じゃなくてね…飲めるのか?何が混じっていてそれは安全なのか?など知りたい事を教えていってくれ。」
「そうだね、それはこの温泉が実際に使えるかどうかに直接関与する大事な情報だね。ちょっと調べてみるから彼女の言った様に片付けの方を頼むね。」
「了解、片付けは任しておけ………こうやって全部アイテムボックスに突っ込めば終るしな。」
「こっちもすぐ終るんだけどね。ほら、終わった。」
マサルはその場にある今要らない物を全てしまうと椅子を2脚出してそのうち1つに座る。
「で?」
「えっと…この温泉は当たりだよ。何て言うか…凄く君好みだと思うよ?」
「俺好みってどういう…。」
「この温泉は魔力泉って言って地下で地脈とかから魔力を含んだ水なんだよね。君の身体は魔力を吸収しやすいから身体の傷や体力、魔力なんかの回復にとても最適だよ。もちろん、普通の人でも傷の治る速度が上がったり良い事ずくめな効用だよ。」
「………飲めるのか?」
「もちろん!凄く身体に良いからオススメだよ。ただし、やっぱり飲み過ぎは良くないけどね。…温泉の水飲み過ぎたらお腹壊しちゃうしね。」
「まぁな………その辺りはちゃんと説明しとかないとな。意外と加減ってのはわからない人もいるからな。」
「取り敢えずは、この街に新しい名物が出来たって事で良いよね?」
「あぁ、これで暫く俺は休暇だ…温泉でまったり生活を満喫するんだ!」
利口にもそれはフラグだよとはゼラフィティスは口に出さなかったが、マサル自身も無理だろうなと思っているのだから仕方ないだろう。
「取り敢えず、ゼラフィティス…一番風呂に入っていくよな?」




