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お湯を掘ろう

前話の命名で街の名前を付けたプロセスを見ても誰にも伝わらないとか…どうやら作者の頭のネジは少しおかしいらしいですね。

そういえば昔から数学とかでも答えが先に出て、そこに至る工程の式が全くわからないなんて事が多かったですね。まぁ、授業聞いてないんだからわからないですよね。

街の命名が終わった翌日からクックの弟ことジョーと棟梁ナッシュ率いる大工たちを引き連れひたすらに家を建てる事40日あまり…必要数は揃い街中がそれらしく見えてきた反面、流石に疲れが見えてきている住民一行。


本来ならば家は大工が作るものなのだろうが、やはり最近まで小さな集落に暮らしていた獣人たちは助け合いが基本で、住む家がまだない人がいる、結婚して新しい家が必要な人がいるとなると張り切って手伝いを申し出てくれ街中の人が協力しあいお祭りの様に一致団結しての建築ラッシュとなったのだ。


始めこそ大工たちも素人が建築に携わる事に嫌な顔をする者もいたが、棟梁のナッシュが「これから教わって世話になるのはこっちだと言うのに何て態度だ!」と一喝し、獣人の子供たちにすら知らない事を聞く時には頭を下げる姿に職人たちの態度はみるみるうちに変わっていった。


勿論変わったのは人族ばかりではなく、その真摯に物を学ぶ姿勢は獣人たちの中にも広がり街全体に活気が生まれたのであった。



一方マサルはというと…。


「なぁ…ゼラフィティス…300mそろそろ行った?まだ?」


「マサル、あんまり急かすな。もう15cmってところかな…………ほらほら、行くぞ行くぞ!」


神殿の裏手で隠れる様にして、魔法を司る神ゼラフィティスと共同開発した魔道具を使って温泉掘りに勤しんでいた。


「なかなか面白いから私は良いんだがマサルは家造りの方は手伝わなくて良いのか?」


「技術ってのはね、どんどんバトンを渡していってこそ価値があるんだよ。」


「………本音は?」


「………飽きた。」


そう、実はマサルは作業からこっそり逃亡して何もしないのは落ち着かないので温泉掘りの為に魔道具を開発し始めていたのをゼラフィティスに参加したいと声をかけられ今に至るのである。


「にしてもこの魔道具は便利だな…魔力を込めて地面に落とすだけで穴を掘ってくれるとは…。」


「しかも球体で岩なんかがあっても軌道がずれないから綺麗な管状に穴が空いて後々の工事が簡単という施工の事まで考えられた見事な設計…そしてゼラフィティスの考案した自壊の効果で穴の中で魔力切れの魔道具が詰まったりしないという…井戸も温泉も堀り放題の便利道具!」


「めっちゃ高いけどね。」


「まぁ、これ1個使って穴掘るなら300人くらい雇って穴掘らすわってくらい高いけどね。」


1個辺り約50mが掘れて現在7個目が使用されているが2人は決して気にしない。なにしろ材料は自前調達なのだ。


「で、聞いてなかったけどどうやってこの魔道具を思い付いたんだい?なかなか独創的だよね…普通穴を掘るならドリルとかを思い浮かべるじゃないのかい?」


「あぁ、それはワームを見て思い付いたんだ。ワームって地中の中を移動するだろ?でも掘ってる訳じゃなくて地面が避けているみたいに見えたんだ。」


「なるほど、ワームか…確かにピッタリだな。」


「…おっ、そろそろ貫通するんじゃね?」


「なにっ!本当だ!どうすれば良い?」


遂に温泉のところまで魔道具が到達する事に気付いて2人は静かに盛り上がる。


「下に完全に貫通する前にこのパイプを中に入れて温泉の通る菅にするんだ。パイプとパイプの繋ぎはネジで連結するようになってるからはめ込みながら取り敢えずどんどんパイプ通しておこう。」


「おう!楽しみだな!私がパイプを繋げていくからマサルはゆっくり地下に入れていってくれ。」


「了解っと………ほいっ…丁度のサイズも良いし綺麗にストンと落ちないのかどうかだけが心配だな。よしっ、慎重に気をつけて…っと。」


慎重にどんどんパイプが空けた穴に埋め込められていく…。すると……コポコポコポコポコポっ!とパイプに水が下からせりあがってくる音がパイプを通して聴こえてきた。


そこに…タイミングが悪くアデリナが現れた。


「マサルっ!こんな所にいた!みんなを手伝わないで何をしてるの!…って…どちら様?」


「………ゼラフィティス様。」


「っ!ゼラフィティス様ってまさか………。」


「どうも、はじめまして…って、ヤバい!!」


「「えっ?」」


その時、パイプを通ってきたお湯が地上へと吹き出した。


「「「あちっ!あち!あち!あち!っ…。」」」


飛沫が少しはねただけでマサルとアデリナは少しの火傷を負ってしまう。


「ちょっと!アデリナ逃げろ!マジでヤバいから!ってアチっ!」


マサルがアデリナを退避させている中、ゼラフィティスはパイプをあらかじめ湯を通す為に用意した水路へと繋げる。


「アデリナ……マジでタイミング悪いな……。」


こうしてアデリナの神様の初対面とヴィンターリアへ温泉が繋がった記念日が出来たのであった。


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