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謎の魔獣

ポータリィムを出て早く街へと帰りたい為に馬車の荷を全てアイテムボックスを入れ、荷台に人員を詰め込めるだけ詰め込み数台の馬車と三輪戦車の隊列で進む一行。

その異様な強行軍には流石の盗賊や魔物も近付く事はなく初日を何事もなく進み、行程の1/3を進んだところでそれは現れた。


「魔獣だ!デカイぞ!」


「なんだアレは!?」


「…………かわいい。」


森から走る馬車の列に向かって飛び出してきたのはピンク色の白い翼のある象だった。それもサイズは普通のアジア象くらいあるクセにフォルムは子象といった感じでトタトタと走ってくる。


「先に行けっ!止まるな!」


マサルは馬車の隊列に向かい叫んで象と馬車の間に三輪戦車で突っ込んでいく。


「ぱおーん!」


「なにこいつ…めっちゃ可愛いんだけど…。」


ピンクの象が近付いてくると三輪戦車から降りてアイテムボックスにしまい、象に向かって大きく手を振りながら自身を主張する。


「頼むから突っ込んでくるなよ…くるなよ…くるなよっ!やばっ!?」


ピンクの象はマサルに当たる瞬間少し下方向に力を溜めてからかち上げるように頭を突き出す。思ったより伸びたスピードにマサルは避けきれず突進に左腕が巻き込まれた。


「ぐはっ!」


マサルを軽く5m以上吹き飛ばした象はどうしたの?と言っているかの様に首を傾げてマサルを見ている。


「こいつ…舐めやがって…。」


アイテムボックスから出したのはマダラグンタイバチの毒針…。


「さぁ、お注射のお時間ですよ〜ちょっとチクッとしますけど大丈夫ですからねぇ〜♪」


歩みよるマサルの満面の笑みの裏に何かしらの危ない空気を感じとり戸惑いジリジリと後退しだすピンクの象。


「はい、じっとして下さいねぇ。痛くないですよ〜♪」


音もなく毒針を持って近付くマサルと変な汗をかきながら怯え後ろ向きに下がっていくピンクの象…この時点で既に決着はついているのだがマサルの頭の中には先ほど自分を吹き飛ばした相手を

逃がしてやろうという考えはない。


「………………。」


「………………。」


「あっ、飛んだ!っ逃がすか!ていっ!」


毒針を象に向かって鋭く投げつける…1個、2個と皮膚に弾かれて落ちていくが3個目でお尻に刺さるのを見て更に何個も投げつける。


「このままじゃあ逃がしてしまう………仕方ない!必殺の大気操作(エアコントロール)からの小麦粉…からの爆破っ!」


空を飛び逃げていこうとするピンクの象のすぐ側を爆発させる。流石に直接狙うのは躊躇ったのだ。爆発の衝撃で目を回し、フラフラと落下していく象はもうすぐ地面というところで毒が効きだしてドシンと落ちて動かなくなる。


「さて、どうしてやろうかな…ふふふっ。ファンシーな生き物の癖に俺を馬鹿にしてくれたな…。」


無造作に近寄ると羽を1枚プチっと引き抜く。



******

【ピンファントの羽根】

夢を食べると言われる魔獣の羽根。この魔獣が近くにいると何故か夢をみない特性から、良い夢が見られるとこの羽根を使った枕は最高級とされている。

******



「誰視点の鑑定だよ…ドコで最高級なんだ?」


チラリと象を見ると麻痺毒で動けない身体を必死で動かそうとしている。


「さて………どうしようか………。」


捕まえると今度はもて余して困ってしまう。魔獣の目が「助けてっ」とキラキラ涙を浮かべながら

見上げてくる。


「くっ………こうしてやるっ!!」


お腹をこちょこちょと撫でてやると怯えていた目が気持ち良さそうに蕩けてくる。


「ほらほら、ここが良いんか!ここが良いんやろ!」


いつの間にか象を撫でる事に夢中になっていると。


「マサル………何をしてんだ?頭…大丈夫か?」


振り返るとそこにはザーグとクック小隊ばかりではなく、王都の部隊も全員が揃っていて笑いを堪えていた。


「えっと…だって…だって…こんなの殺せる訳ないやろぉ!」


みんなに見られていた羞恥に逆ギレするマサルだった。

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