構想
新年一発目です!2017年も宜しくお願いします。
「なぁ、ウェイド。色々と考えてみたんだが聞いてくれるか?」
ウェイドに特産となるものを考えてくれと言われた日の夕方、あまり王都の部隊を長期ポータリィムに滞在させるのも問題があると言われマサルは大急ぎで草案を纏めていた。
「あの…無理を言うつもりは無いのですが…。」
「いや、心配するのはわかるんだ。今のところ新しい事業が増えて将来的な展望も広がる一方、一時的にかなりの支出があるし負担だとは思う。ランスロットは何だかんだで優秀な男ではあるが、細かい金勘定までは流石に向いているとは言い難いしな…。」
「えぇ、ですからそこは本来なら私達文官がしなければならない領域で、貴方に任せっきりにして良いような物では無いのです。しかし、我々には…。」
「はいはい、落ち込むのはそこまでだ。別に俺は任せっきりにされるつもりも責任を持って全部やろうとも思ってないしな。だから俺の話はやらなきゃいけない事じゃなく選択肢が1つ増えたラッキーくらいに思っていてくれれば良いんだよ。」
「そうですよね、マサルがこの街に来たのはきっと神の思し召しでしょう。」
「ぶはっ。」
飲んでたお茶を思わず吹き出してしまうマサル。
「ど、どうしました!?」
「いや、ちょっとね…変な事思い出して…。」
その神様の思し召しを無視した結果だとは言えませんとも…。
「それよりも交易の特産だったっけ?」
「えっ?ええ…そうです。」
「やっぱり魚だと思って燻製とか酢漬けとか色々考えてみたんだ。けど、やっぱり俺のオススメは蒲鉾かな。」
「燻製に酢漬けに蒲鉾ですか?」
「まぁ、酢漬けは酢があるから何となく分かるよな?燻製は煙で燻して肉や魚を加工する技術なんだ。干物と同様に水分が抜けるし日保ちする様になるから持ち運びにも悪くない…燻す時の木の種類を変えたりハーブを混ぜたりすると薫りも味変わってくるから要研究だな。蒲鉾って言うのは比較的に煮たり焼いたりしても食べるのに向いていない魚をすり身にして蒸して固めるという加工方法だな。」
「やはり色々な技術があるのですね。では、さっそく習得出来そうな人材を…。」
「待て待て…主従揃ってせっかちだな…。」
「うっ…し、司令と一緒にしないで下さい。」
本気で嫌そうな顔をしないのっ!
「で、だな…魚の加工の方法をさっきは言ったけど俺としては無理に特産品の開発はしなくて良いと思う。これを言いたかったんだ。」
「しなくて良い?」
予想外の言葉に近くにあった椅子に座り考え込むウェイド。
「………………。」
「………………。」
「どういう意味でしょうか?」
「ふふっ…やっぱりランスロットとそっくりだな。納得してない時の顔が似すぎだよ。」
二人とも納得がいかないと眉を寄せて口を尖らせてから、まず1人で考え込むのだが、どうやら自覚がない様でそんなところもそっくりである。
「………………。」
「まずだな…無理に他の街に魚を加工した物を届けても保存日数はそんなに劇的に解決しない。むしろ下手なものを届けても魚への苦手意識を持たれたら将来的に損をするのはポータリィムだと俺は思う。この手の加工品は自分たちが美味しく食べる為にまず試行錯誤して質を上げる必要がある。」
「確かに、一度苦手に思われると交易としての商品にするのはとても難しくなりますね。」
「だから、むしろポータリィムはもっと長期的に大きくなった方が得なんじゃないかな?と思った訳だよ。つまり、沿岸都市から交易都市へと方向性を変えていけないかな?」
「交易都市ですか?」
「あぁ…煉瓦舗装の話をしただろ?今までは大きな都市と都市を繋ぐ街道も舗装されてなくて、数の少ない目印を頼りに危険な道のりを行かなければならなかった。これを改善し、物流と一緒に人の往来も活発にするんだ。」
朝議で規格を決めた舗装道路計画の話だ。
「人が増えれば物が増える…物が増えれば取引が増え自然と潤うという事ですね。」
「優秀過ぎて俺の言う事ないな…まぁ、そういう事だ。今は何もかもが無いんだから、俺たちが儲かる様に上手く道を作れば勝ちじゃないか?」
「そうですね…貴方が前々から内緒にしろって言ってた海路の開拓もありますしね。貴方はなかなかに悪い人ですね…。」
「そうそう、俺たちに今のところ負ける要素なんて無いんだ。もっと時間を使って足下を固めようぜ。」
「貴方がそれを言いますか?マサル…私には貴方が1番生き急いでいる気がしてならないですよ。」
「そうか?俺は楽しんでいるだけだぜ?」
「なら良いのですが…無理だけはせずご自愛下さい。」
その次の日、俺たちは自分の街に帰る為にポータリィムをたった。
明けましておめでとうございます。
今年もまったりマイペースに日々更新をしていけたらと考えていますので皆さま応援宜しくお願い致します。正月からもう眠くて眠くて猫とコタツで丸くなって読者している私ですが皆さまはいかがお過ごしでしょうか?




