第四十六話 幻
「なあ、何でリアンはそんなに塔の事を知っているんだ?」
俺は、気になっていたことをリアンに聞いた。
すると、リアンから思ってもいない答えが返ってきた。
「......わからない、ただあの塔の中に入ったらいけないことだけは覚えているの」
もしかしたら、リアンと塔は何か関係がありそうだな。
にしても、まだつかないのか。
港を出てすでに五時間ぐらいは経過していた。
本来なら四時間で着くはず、なのにさっきから塔は見えているのに全然近づけていないような......
しかも目の前が、霧がかかっているように見えるし。
「なあリアン、何かこの辺り変じゃないか? 変な霧も出てるし」
「え、霧なんてどこにも出てないわよ」
「え!?」
そんなはずは.......
俺は目を擦り、もう一度辺りを見渡した。
しかし、目の前には霧が漂っていた。
「駄目だ、何故か目の前がかすんでいる」
「大丈夫? 少しは見える?」
「ああ、足元はかろうじてはっきりと見える」
しかし、なんで俺の視界にだけ靄がかかっているんだ?
すると背後から、腕に針を、刺された。
「いたぁ!?」
俺はすぐ振り向くと、そこには杖のような物を加えた動物がいた。
視界がかすんでいるため何の動物かはわからなかったが。
「シン! 大丈夫?」
「ああ、それよりこいつは一体......」
「杖を咥えた狐にやられたみたいね」
狐?
しかも杖を咥えているなんて、まるで動物の魔法使いだな。
ってもしかして、こいつってユーリの手先か?
だとしたら、俺の視界が霞んでいるのもこいつのせいだろう。
「シン、離れて! こいつの相手は私がするわ」
「分かった」
俺は目の前の動物から離れた。
すると、少しだが視界が晴れた。
となると原因はやはりこいつだったのか。
その後、しばらくリアンが戦っている内に、視界が晴れてきた。
恐らく狐の魔力が残り少ないからだろう。
「これで!」
声と共に、リアンは石ころサイズの氷の礫を狐の杖に放った。
礫は見事に杖に命中して、狐が咥えていた杖は、ポキッと折れた。
すると、俺の視界は完全に晴れた。
それと同時に、狐もこれ以上は無理だと判断したのか、折れた杖を咥えてどこかへ消えた。
「ありがとう、リアン」
「気にしないで」
俺達は、少し休憩してまた塔へ向かった。
次回「 終局へ 」




