第三十一話 久々の素材集め
「部屋が空いてて助かった~」
鏡牙に、もし部屋が空いていなかったらと聞いたら、どうやら外で野宿するつもりだったようだ。
といっても、交代で見張りをするとはいえ彼自身も取りたくない最後の選択肢だったらしい。
ともあれ、泊まる宿が見つかってひとまず俺達は安心した。
ちなみにレイズニアには、明日の九時に船が出るみたいなので、俺達はそれに乗ることになっている。
ここ、ネフドナからナテールまでの便は一日に一便しか無いようだ。
なので、俺達はこの港にある宿に泊まることにしたのだ。
俺は、ふと時計を見ると針は十七時を指していた。
「にしても、まだ夕食までに時間があるな」
なんか前にも似たような事があった気がする。
ここ最近面倒な事ばかりで、薬は作ってもあまり薬草師らしい事はしてなかった気がするな......
主に爆薬や麻痺薬に睡眠薬、どれも普通はあまり作る必要はないはずだ。
現に色々な薬屋を見てきたが、爆薬や麻酔薬は置いてはいなかった。
だが、寝つきが悪い人向けに弱い、睡眠薬は少し置いてはあった。
もしかしたら、城の中には武器として爆薬はあるかもしれないが、こちらも多くはないだろう。
おっと、考えている内にやろうとしている事を忘れるところだった。
一応、鏡牙に外に出ることは言っておくか。
「鏡牙、素材集めに行ってきてもいいか?」
「行くならリアンと一緒なら構わない、一人だと奴に狙われるかもしれないからな」
「分かった、ちなみに鏡牙はこれから何をするんだ?」
「ああ、奴への対抗策でも考えておくつもりだ」
「そうか」
その後、俺はリアンを呼んで港から少し離れた草むらで素材を集めていた。
「あっ!?」
「!?」
しまった、あの注文した筒を受け取るのをすっかり忘れていた......
流石にもう戻れないし、仕方ないからあきらめるか。
金貨二、三枚近くしたのに......
そう思っていると、リアンが話しかけてきた。
「急に大きな声出してどうしたの?」
「いや、注文していた筒を受け取るのを忘れていた事を思い出して」
やっぱり取りに戻りたい......
でも、そんなことしている暇なんて無いしな。
はぁ......
そう思い、ため息をつくとリアンが、ポケットから筒を取り出した。
「これの事?」
え!?
いつの間に取りに行ってたんだ.....
「リアン、君はいつ取りに行ってたんだい?」
「ナテールを離れる少し前に、あなた薬を作っていたでしょ? その時に思い出してね、もしかしたらシンは筒の事を忘れているかもしれないと思ってね」
本当にその通りで、俺は何も言い返せなかった。
リアンの言う通り、俺は薬の製作ですっかり筒の事を忘れていた。
「有難う、リアンが引き取りに行ってくれていなかったら、完全に筒の事はあきらめていたよ」
「ふふ、どういたしまして」
リアンは、微笑みながらそう答えた。
つい、俺はリアンにずっと気になっていた事を聞いた。
「変なことを聞くかもしれないけど、リアンってユーリの事好きだったの?」
そう聞くと、リアンは表情を変えて黙り込んだ。
やっぱりこの事を聞くのはマズかったか......
俺がそう思っていると、リアンが口を開いた。
「憧れだったの......」
「え?」
「私にとって彼は憧れだったのよ、彼みたいになりたいってね」
そうだったのか......
何だかずっと気になっていたから、それを聞いて安心した気がした。
「ところで、急にどうしてそんな質問したの?」
「いや、その......」
俺は完全に思考回路がフリーズした。
次回「 伝えたい思い 」
どうも、黒密Ξです。
待ちに待ったGWですね、でも私は初日にバイト入れてしまったのであまり実感は湧きません......
また、次話についてはまだネタが思い浮んでない状態です。




