第二十六話 施設からの脱出 前編
「ふう、ここまでか」
俺は取りあえず、爆薬十個に回復薬を五個ほど作った。
しかし、あいつは何故あそこまで進化の秘薬で人を消そうとするんだ......
もし、本当に消すなら薬ではなくアイツの事だから兵器を持ち込むのも簡単なはずだ。
なぜ兵器ではなく、わざわざ薬を使うのだろう?
考えていても何か変わるわけでもないし、今はここから出ることだけを考えなければな。
「さて、そろそろ出るか......」
俺はスマホを使い、元の空間に戻った。
良かった、まだこの部屋は大丈夫のようだな。
俺は部屋を確認して、少し安心した。
「え~と、確かここを出て右の通路の奥の階段で三階に行けるはずだ」
俺は、部屋を出て通路を通り階段めがけて走った。
途中、俺は何か気になるメモを見つけた。
だが今は急いで階段まで向かわなければ......
すると、階段の前で俺は走るのをやめた。
何故なら、目の前には羽の生えたユーリがいたからだ。
「やあ、遅かったじゃないか」
そうユーリは微笑みながら話した。
ここまで来て、まさか先回りされるとはな......
「そりゃ、ここは僕の施設だからね、先回りなんて簡単なことだよ」
また別の所に逃げるか......
いや、もうエレベーターが無いから残った道は確かここしか無かったはず。
とすれば、このまま奴と戦うか?
だが、スライムを出されても面倒だしな。
「色々考えているようだけど仕掛けさせてもらうよ!」
ユーリは、俺に向かい呪文を唱えて指の先を俺に向けた。
すると、指先から黒い影のようなものが現れて、やがて人の形になった。
「僕が相手しなくても、君にはこいつで十分だよ」
ユーリは、そういうと指で空間に亀裂を作り、何処かへ消えてしまった。
ユーリが消えると、いきなり影は俺を動き出した。
「くそっ!」
俺はコイツに触れるとヤバいと思い、その場から一時的に離れて近くの部屋に逃げた。
しばらくすると、奴は少しずつ歩くスピードが速くなったようだ。
何故なら奴の足音が少しずつ早くなったからだ。
まずいな......
さっさと階段を上ってこの階から離れないとな。
しかし、奴が嫌がりそうな物なんて持ってないぞ......
閃光弾みたいな物があれば奴に効きそうなんだがな。
考えていると、近くの棚で何かの素材を見つけた。
「うーん、何の素材だろうか?」
記憶にあるか探したら、一つ該当した薬があった。
どうやらこれは、発光草という草でこれと爆薬で俺が求めている閃光弾が作れるようだ。
しかし、何でこんなところに......
俺はあまりにも都合が良すぎると思った。
普通なら、こんなところにこの草は無いはずだ。
ということは、これはユーリの罠なのか......
「とにかく今はこいつで閃光弾を作らないとな」
俺は深く考えるのをやめて閃光弾を作った。
「後は、奴に上手く効いてくれるかだな」
すると、奴がその声を聞いていたのか、中に入ってきた。
俺はとっさにしゃがんで物陰に隠れた。
こうなれば、一か八かだ。
俺は奴が奥を確認しに行ったとき、後ろに回り込んでわざと音を立てた。
奴が振り向いた時、俺はとっさに閃光弾を投げた。
すると、奴に効いたのか目の前に奴はいなかった。
「き、効いたのか?」
俺は辺りを確認した。
しかしどこにも奴の影は無かった。
ふう、なら今なら階段まで行けそうだな。
俺は階段を上りながらまた考えていた。
それはさっきの素材の事についてだ。
やはりあれは、最初からユーリが用意していたのか?
だがそれだとまるで、奴が脱出の手助けをしているかの様じゃないか。
「ああ、もう考えていると余計にわかんなくなっていくじゃないか」
俺はそう思っていると、いつの間にか三階に着いていた。
さあ、あと少しだ。
三回近く会談を上れば地上だ。
俺は気合を入れて次の階段へ向かった。
次回「 施設からの脱出 中編 」
どうも、黒密Ξです。
今書きながらネタを考えております。




