プロローグ
一人の魔道士、そしてその弟子たる五人の魔女が栄華極める大帝国に対し反乱の烽火上げた、その時。――世界はまさしく、新たな世紀へ歩む道をしかと掴み取った。
帝国領土を我が物顔で容赦なく蹂躙することとなる、六体の恐るべき兵器――。
機械仕掛けの巨人、<ギガス・エクス・マキナ>。
伝説にすら現われ得るはずのない、あの想像を遙かに絶した存在たちの奇跡が如き出現、ともとして。
それは魔道士が復讐のためだけに創り出した、異界に伝わる数々の秘技が精緻な結晶。
神の鉄槌とも悪魔の死呪とも称される、凄まじき破壊の使者。
何よりその巨体僅か一目見ただけで、気づけば慄然たるものが全身に走り出している。
そう、どう足掻いたところで、その圧倒的脅威からはどこにも逃れようがない、と……。
決して避けること適わぬ、途轍もなく巨大過ぎる一つの天災であったかの如く。
人々の記憶に末代まで永久に、深く鋭く刻みこまれること、余りに確定的な。
――ワルプルギスの夜。
そして何よりも彼らの登場こそが、後世そう称されることとなる歴史上の一時代呼び招く画期、まさにそのものだったのだから。
恐怖と魔術で鮮烈に彩られた、大いなる暗黒時代への。
それも魔人たちによる限りなき復讐と裏切りの、その行き着いた最後の果てに。
ただ、どこまでも混沌と――。
かくて破滅の足音大地に轟き、輝かしき一時代が終わりゆく中代わりに始まり告げたのは、凄まじき大戦とば口とした、魔道士と巨人の壮大なる物語。
憎しみ、呪い、怒り、哀しみ。
それら全ての糸で昏く織り成された、余りにも運命的な劇。
だが、結末などむろん何一つとして確定していない、
神によって無責任に放り投げられた、たった一つの小さな賽。
それゆえかくなる舞台は真の筋道もなく徒に進み、
やがて果てなき血の応酬が延々と続くこととなるだろう。
ひたすら、最も力ある者が最後に勝者として生き残らんがため。
いかなる慈悲も、一切与えること、授かることなく。
そう、すなわちその険しき道のりこそが、最初に男が巨人作った時より、避け難く決定されていたことであった以上。
一人の魔道士の思惑など、遥かに遠く超え出でて。
それは神聖なる武勲詩か、あるいは邪なる呪いの歌か。
――いずれにせよ、どこまでも高らかに、世界へ届けんと鳴り響かせたまま。




