蟲人間との戦い
「ギジャアァァァァァッ!」
形容しがたい鳴き声を上げながら、蟷螂人間が俊敏な動作で腕の刃を振り上げながらレオリアに向かう。
二、三歩ほどで数メートルの距離を駆け抜けて間合いを詰めてくるが先程は察知が遅れて先手を取られた故に斬られてしまったのだ。ハッキリと黙視した上で正面からならば充分にレオリアが対応できる速度である。
鋭い鎌が振られた瞬間に手甲を斜めに構えて斬撃を受け流すレオリア。
受け流してから間を置かずに反対側からも鎌が迫るが、それも難なく手甲で防ぎきると懐に飛び込んで遠慮ない蹴りを腹に喰らわせる。
ドゴッ!と重い音が鳴り、蟷螂人間がよろめくーーが、体勢を崩したのはほんの一瞬ですぐさまに鎌での反撃を仕掛けてきた。
体を覆う甲殻は思ってた以上に硬く、蹴り付けた際は重厚な金属鎧のような手応えを感じたので防御力も並以上にあるようだ。
「ジャギャララララララッ!」
「ちぃっ! 油断、できねぇなこりゃ!」
上からの袈裟斬りや横薙ぎのみならず、左右から両の鎌を鋏のように迫らせたりと普通の剣士では出来ない軌道の斬撃による攻撃はいずれも変則的な動きにスピードもあって、武器を持った相手との戦闘も慣れているレオリアでも一時も油断できないものだった。
それらの攻撃を捌く中で隙を見てカウンターで反撃するレオリアを、ショコラ及びエルフォルトは彼から少し距離を置いた位置に留まって戦況を見ていた。
「レオくん……」
「堪えてよ、ショコラ。今の状態じゃ、あたしらが下手に援護したら却って邪魔になるから」
ナイフを構えて助太刀したそうにしているショコラを間延びした口調を止めて冷静な顔つきになっているエルフォルトが思い止まらせる。
今、あの蟷螂人間はレオリアと非常に密着した状態で接戦している為に近すぎて大威力の魔術が放てないのだ。威力を抑えて精密な狙いを付けるのも出来ることは出来るが、流石にエルフォルトと言えども目まぐるしく立ち位置が変わっては誤射の危険もあって慎重にならざるを得なかった……奥の手である毛髪を鉄の鞭のように操る術も伸ばせる距離には限度があるので、必然的に近寄る必要がある為にあの速度に対応できなければならないので今は使えないでいた。
同じ理由でショコラも蟷螂人間の素早さに対応できないことから歯痒い思いをしつつも参戦できずにいる。
正確には鎌の軌道こそ何とか捉えられるのだが、それに体がついていけるかというのは別問題なのだ。目で追えても反応が間に合わなければ切り刻まれる結果に終わってしまう。
蟷螂人間も意図してか知らずか、レオリアと付かず離れずの距離を保ちながら戦っており、援護のしにくさに拍車を掛けさせていた。
ショコラとエルフォルトが見守る中、振られる鎌の刃を潜ってレオリアが何度か手甲による正拳突きや膝蹴りを繰り出すが頑丈な甲殻もあってか然程に効いていなさそうだった。
(単純な打撃じゃ、こいつには効果が薄いか……ならっ!)
右斜めから振り下ろされた鎌の腕を避けて間接を押さえたレオリアはそのまま逆方向に捻るように力を掛ける。
ーーゴキンッと確実に折れた音が響き、蟷螂人間が苦痛の叫びを上げた。打撃技でなく間接技を使ってみたが見た目は虫っぽいものの、骨の作りなどは人間と似通ってるらしく有効打となった。
そして折れた腕の痛みを誤魔化すように耳障りな奇声を上げて、片腕の鎌をやたらめったらに振り回しだした。
無論、そんな狙いも何もない攻撃がレオリアに当たる訳もなく、避けつつ鎌の射程内から抜けたレオリアは再度身構える。
ひとしりき暴れると顎をガチガチとより激しく打ち鳴らして、こちらを見据える蟷螂人間。また一層に怒ってる様子だが、片腕を使えなくさせたのでこちらに分が向き始めたのは確実だ。
距離も取れたし、エルフォルトの魔術による援護も使えるだろうと考えていたレオリアだったがその思考は思いもよらない事態を見て中断された。
「ギシュルル……シャギャァッ!」
何と、蟷螂人間は折れた方の腕を残った片手の鎌で躊躇いなくバッサリと切り落としたのだ。肩から僅か先だけを残して切り離された腕はボタリと下に落ち、切り口からは青紫色の血液と思われる体液が吹き出て非常にグロい絵面となる。
「えぇっ!?」
「なっ! 自分で腕を切りやがったっ!」
「うわ、グロいわね」
これには三人とも度肝を抜かれて驚愕した。恐らくは折れて使えないのなら邪魔なだけだと判断したのだろうが、それにしたって自分の身の一部を切り落とすような真似を一切の躊躇なくやるとは理性のないモンスターでもやらない所業だろう。
それにこれだと片腕が失くなった分だけバランスも悪くなるだろうし、その前に出血多量で貧血に、いや死ぬ危険だってある筈だがどうやらこいつはそんなことを厭わずにこちらを殺すつもりのようだ。
正直言って、このような捨て身紛いのことまでする野生のモンスターなどショコラと出会う前から旅をしていたレオリアでも遭遇したことはない。
(やっぱり、こいつは何者かによって調教でもされた個体なのか?)
そうでもなければここまで戦闘意欲旺盛な気質なのが説明できないが……考察する間もなく、片腕から血を吹き出させながら再びレオリアにへと向かおうとしてきた。
「おっと、今度は簡単に近付けさせない、よっ!」
その前にエルフォルトがすかさず炎の魔術を放って足を止めさせた。迂闊に近寄らせるとレオリアでしか対応できなくなるので、一気にケリをつけようという腹積もりであった。
「〝アース・アロー〟」
「ギギャアッ!!」
土魔術で生成した鉄矢に匹敵する土の矢、それらを蟷螂人間の脚部にへと飛ばして床に縫い付けるように串刺しにした。
これで先程のように至近距離まで潜り込まれることはなくなった。
止めに同じく土魔術で作り上げた巨大な土塊を蟷螂人間の上にへと出し……そのまま下に落として重力も加えた質量攻撃を敢行。
足を縫い止められたままでは回避もままならず、悪足掻きか落下してくる土塊に向けて鎌を振るうがそれで阻止できる筈もなくーーグシャリと肉が潰れる音と血が放射状に撒き散らされて半分潰れた頭部だけを残して蟷螂人間は沈黙した。
その惨状にショコラは顔を青くさせる。こうスプラッタな死に様を見てしまったらそうもなるだろう。
「うえっ……エ、エルフォルト、容赦ないね」
「そりゃ~ね~、あたしらを殺そうとしてくる相手に遠慮なんかいらないっしょ~?」
「ま、まぁ、レオくんを傷つけた罪は重いし、襲い掛かってきたのは向こうなんだから正当防衛だよね」
割とえげつない方法をさらっとやったエルフォルトは実にあっけらかんとしたもので、ショコラもやり方には引いたが遠慮する必要はないというのには同意する。さっきも言ったように襲われたから抵抗したのであって、別に後ろめたく思う必要はないのだから。
その無惨な亡骸をじっと見ているレオリアはやはり見たことも聞いたこともない姿に引っ掛かりを覚えていた。
ーー正体不明のモンスター、後から塞がれたこの部屋に最初から潜んでいただろうこと、そしていの一番に襲ってこずにクリスタルを手にしてから奇襲を掛けてきたことーー
これら一連の行動などを鑑みると、やはりこいつは何者かの指示の元に動いていたのではないかと勘ぐる。そうだとしたら長居は無用、早いとこ立ち去った方が良いだろう。
「二人とも、ここから早く出るぞ。目当てのクリスタルは手にしたんだし、いつまでも居とく必要はねぇだろ」
「それもそうだけど……何でそんなに急かすの、レオくん?」
「訳とかは途中で話すよ、これ以上のゴタゴタに巻き込まれない内ーー」
ーーザシュッ! 言い掛けた会話は肉を裂く音とレオリアに走った激痛で中断される。脛の辺りから起こったそれに身を崩しつつ、反射的に目を向けるとそこには半透明で動く何かが血を垂らさせているのが見えた。
(なっ、こいつって……あの蟷螂野郎の腕かっ!?)
一瞬はまさか土塊に押し潰されながらも生きていたのかと誤認したが、そういうことではなく半透明であるが腕のみが動いていることに気が付く。
そういえば、虫の中には神経節というので体の一部が千切れたりしても暫くは動かせることが出来るという話を聞いたことがあるが、まさかこいつも同じ芸当が出来るとは思わなかったレオリアは完全に不意打ちを許してしまった。あの時、折れた腕を自ら切り落としたのはこの為だったのかと今更ながらに気付く。
よりにもよって、機動力の要となる足に深傷を負ってしまったのは致命的だった。この傷では立って歩くのすら困難である。
「レオくんっ、このっ、よくも!」
「馬鹿っ! 下手に近寄るなっ、腕だけでも鋭利な鎌はあんだぞ!」
最愛のレオリアがまたもや傷つけられたことに激昂したか、ショコラがナイフ片手に腕に攻撃を仕掛けようとする。半透明になってはいるが、レオリアの血潮をこびりつかせてるので位置自体は把握できるものの、状態から地に伏せっているようなものなので攻撃手段が限られるのだ。
何より、ナイフぐらいでは多少突き刺したぐらいでは効かないだろうし、そもそも片腕だけとはいえ間合いは向こうの方が広い。
腕だけでも獲物の接近を感知できる器官があるのか、位置を微調整すると鎌を床に突き立てながら驚く程のスピードで這いずり動いた。
その俊敏な動きに思わず足を止めてしまったショコラに、その鋭い鎌先が靴ごと足先を貫こうとしたが、届くその前に幾つもの髪の束が動きを拘束させた。
「えっ、な、なにこれっ?」
「エルフォルトっ!?」
「細かい説明はあと。ショコラ、腕の付け根部分に思っきしナイフを突き立てて、その後は離れといて」
自身の髪を操って動きを封じているエルフォルトにショコラとレオリアは驚く。こんな特技があったとは知らずに目を剥いていたが、ショコラはすぐに我に帰って言われた通りにした。
甲殻はあるがその隙間から突き刺すことは可能で、力を込めて突き刺したナイフは柄の近くまで刃が埋没するがこれぐらいでは効かないようで、髪で拘束されながらも腕はまだ抜け出そうともがく。
そのナイフに向けて、エルフォルトが雷の魔術を放った。
バリバリッ、バヂヂヂヂィッ!
電撃が迸り、金属製のナイフを経由して内部から腕を焦がしていく。肉が焼ける音がして白煙が上がるまでの高圧を浴びせ続け、半ば炭化するまでになった頃には腕はピクリとも動かなくなった。
やりすぎな気もするが、ここまでやらなければならないと思ったのだろう。
実際、腕だけでもアグレッシブに動いたのだから用心するに越したことはない。
「ふぅ……ごめんね~、ちょっとナイフごとやっちゃったわ~」
「べ、別に良いよ、予備ならまだ何本かあるし。あぁっ、そうだ、早くレオくんの治療をしなくちゃっ!」
「任しといて~、大丈夫レオリア~? いま治すからね~」
「ま、待って、今度は私がやるから」
さっきは彼女の魔術に頼ったからか、ポーチから回復薬を取り出したショコラは足を負傷して立てないレオリアに屈み寄って深い切り傷で血が流れるそこに回復薬を掛けた。
薬が傷口に染みて僅かに顔が歪むがそれも一瞬であり、上等な回復薬の効果で深い裂傷は血の跡を残しつつも塞がっていく。
「悪い、あんたに手間を掛けさせちまって」
「そんなの気にしないでよ、最初だって私を庇う為に怪我させちゃったし」
「俺はあんたの護衛なんだから身を張って守るのは当たり前だ、それで別に気負うことないだろ」
「そういうのとは関係なしに心配してるんだよ、それともお節介だって思ってる?」
「いやそんなことはねぇけども」
「でしょ? レオくんにはいつも頼りっぱなしだからこれぐらいは私がやってあげないとね」
「そう言うなら別に良いんだけどよ……脚をやたら撫で回してる理由を聞こうか?」
傷口が塞がるや否や、太股の辺りに手を伸ばしてやらしい手付きで撫で回してることにレオリアが口をひくひくとさせながら問うと非常に良い笑顔で答えた。
「それはもちろんっ! レオくんの美脚を堪能する為だよっ、あぁ、このスベスベお肌に太股のむっちりした感触とかもう、もうっ、垂涎ものの極上な手触りで、うぇへへへへ♡」
ハァハァと荒い吐息をして、気持ち悪い笑いを溢すその姿はまさに変態のそれだった。レオリアはそれを一瞥してから、彼女の頭にアイアンクローを掛けた。頭蓋がミシミシと音を立てるが知ったこっちゃない。
「アダダダダダダっ!? ちょ、レオくん、ギブっ、ギブっ!」
「悪いと思ってんならセクハラはもうしませんって言え」
「も、もうしませんっ、しませんっ! 次からはちゃんとレオくんの同意を貰ってからやるよっ」
「……よーし、次は両手でやるぞ。歯ぁ食い縛れ」
「待ってぇぇぇぇっ! 私の脳みそがひりだされちゃうからぁぁぁぁっ!」
コントみたいな流れに遠くで蟷螂人間の腕を念入りに焼却していたエルフォルトがさも面白そうに眺めている。
(相変わらずおもろいわね~、ショコラももうちょっと自制すれば良い雰囲気になれると思うんだけどな~……まぁ、別に言ってあげようとは思わないけど~。今の方が面白いし~♪)
心中で性格の悪さを見せ、二人のやり取りを見物しながら腕を焼却し終えたエルフォルトはふと残りの部位はどうなったかと気になり、土塊で潰した本体の方に目をやった。
直径二メートルの土塊の下に青紫色の血液が飛び散り、僅かな肉片だけが散乱している。流石にあんなちっちゃい肉片が動くことはないだろうし、もし動けても大したことは出来なさそうであるがーーいや待て、確か半分潰れてこそいたが頭があった筈、それはどこに行ったのか?
ざわりと嫌な予感を感じ取ったのはエルフォルトだけでなく、背筋から嫌な気配を感じ取ったレオリアも同じだった。そしてそれはショコラも同じ、ただ彼女の場合は視覚から受け取った違いはあったが。
「っ!!」
ショコラの目に飛び込んだのはレオリアの背後から頭に向かって跳んできた物体、それは己の頭部の左から上辺りまでが潰れているのにも関わらず尚も生命活動を維持している蟷螂人間の頭だった。
顎の牙を開いて今まさに噛みつかんとしているのを見たショコラは、考える前に行動を移してレオリアを抱き寄せるようにして背で庇うようにした。
庇われる間際に背後から迫っていたそれを見て、それを自分の身で受けようとしているショコラにレオリアは思わず怒鳴った。
「馬鹿っ、何してっ……」
本来なら自分が庇うべきなのに守られてることに憤慨して、退かそうとしたが何をしようにも時間がまるで足りない。
視界の端でエルフォルトも魔術を唱えようとしていたが、距離も近いし詠唱の時間も足りず焦った顔つきになっていた。
そのままショコラに食いつかんとする蟷螂人間の頭の牙がショコラの背中にまで数センチまで迫った時ーーパァンッ!とどこからか聞いたことがない乾いた音が鳴って、それと同時に頭が弾かれたように飛んでショコラからずれた位置に落ちた。
見ると側面から何かが突き抜けたように大きな穴が出来ており、時折頭がぴくぴくと動くも今度こそ絶命したかのようだった。
「えっ? な、なに今の音はっ?」
「向こう、からしたね~」
ショコラを退かして、すかさず音のした方向……エルフォルトが指摘した入ってきた出入口付近を見るが明かりで室内が照らされてよく見渡せる状況でありながらも、扉の付近には誰も居なかった。
「……助けてくれたってことで良いのか?」
「何とも言えないね~」
釈然としないが、姿を眩ませた相手をいつまでも気に掛けても仕方がない。エルフォルトの魔術で蟷螂人間の死骸を完全に焼却させると、一行はさっさと神殿から離脱するべく動く。
……無事に済んだのを確認した人影は、扉から離れて足早にその場から去り始める。
「ーーこれで貸し、ひとつですわよ。レオリア」
フッと片手に持った武器……魔導銃の銃口から立ち上る煙を吹き消してホルスターに収めた女性ーートレジャーハンターのアスタロッサは笑みを浮かべながら暗い通路の闇にへと消えた。
その後……薄暗い神殿からまだ明るい空の下にへと出てきて、ショコラは大きく背伸びをした。途中で破廉恥な女トレジャーハンターに出会ったり、奇怪なモンスターに襲われたりとあったが、お目当てのクリスタルを持ち帰れたのだから成果は十二分である。
ただ、その喜びとは裏腹に若干悲しそう……というか痛そうな目をしている。原因は頭にこさえたでかいタンコブである。
蟷螂人間が最後の足掻きにと飛び掛かって、レオリアを襲おうとした時に咄嗟に自分の身で庇ったのだが、行動が軽率だとレオリアにこっぴどく叱られて拳骨をお見舞いされたのだ。
時間が経った今でもまだ痛むが、確かに咄嗟の判断だったとはいえ我が身を呈して守るというのはいただけない判断だったのかもしれない。自己犠牲というのは物語の中では映えるが、現実でやっては守られた方に何とも嫌な気持ちをさせてしまうのだから……ショコラとしてはもうレオリアに怪我をさせたくないという気持ちが前面に押しでてしまったのもあるが。
「しかしこの辺鄙な場所に来て色々とあったなぁ……まさか、あんな激闘するまでになるとは予想もしてなかったぜ」
「それはあたしも同感だよ~。でもま~、クリスタルは手に入ったんだし結果オーライじゃない~?」
「そうそう、このクリスタルがこれからの道標になるんだから順風満帆の気配がするよ」
ポーチから取り出したクリスタルをうっとりした顔で眺めるショコラ。旅に出てから本格的な手掛かりに出会えなかったが、とうとう運が向いてきた兆しを感じて気分は上向きである。
「綺麗な輝き……これからの旅を祝福でもしてくれてるようじゃない。よーし、待っててよ、あと五つのクリスタル達! 私が全部集めて秘宝にまで辿り着いて見せるよ!」
クリスタルを高々と掲げて意気揚々と歩くショコラだが……その後ろを歩くレオリアの表情は曇った顔つきだった。
最たる原因はやはり、森で遭遇したメイジゴースト、そしてあの見たこともない昆虫モンスター、いずれもこんな平和そうな地には似合わない強さに凶悪さであった。
まず思い浮かぶ可能性はすなわち……何者かが持ち込んだということ、それも恐らくはクリスタルの奪取を防ぐ為の意図的にである。
これが一個人のやったことならまだマシだが、ある程度の規模だった組織絡みとなると厄介さは段違いに跳ね上がる。
(こういう悪い予感は外れて欲しいんだがな……最悪の場合、あいつには諦めて貰う必要があるかもしれねぇ)
レオリアはそう算段を立てていた。いざという時はショコラの意思に反してでもクリスタルを捨てさせることも考えながら。




