0610 エマ道場プロジェクト始動
「エマニュウエル道場? エマさん、新興宗教の教祖にでもなるつもり~♪」
3月13日の月曜日のお昼前。
牧場からギルドへ来た俺とエマとローラは、ギルマス室でラムンとティアを加えてエマ道場建設の相談を始めていた。
「ワタクシも今聞いたばかりですわ。イクゾー様、事情を教えて下さいますか」
「僕からエマへのプレゼントだよ」ニッコリ
「まぁ嬉しいですわぁ」
喜んでくれて俺も嬉しいよ。
愛する婚約者からの贈り物と聞いただけで幸せ一杯のエマは、事情なんてもうどうでもよくなり隣に座る俺に体を摺り寄せていた。
「婿殿、アタシも初めて聞きやした。説明してくだせえ」
いやお前には体力測定の時に言ったろー。
あ、エマ道場とは言ってなかったか。メンゴメンゴ。
「これから説明するよ。ここに集まってもらったのはその為だからね」
エマとティアとローラは何も知らんからちゃんと話しておかんとな。
「エマ道場はね、見所のある若手冒険者を支援するための施設なんだ」
「以前話してた青田買いのことでやしたか!」
「そういうこと」
「支援といいやすと、無償で訓練させてやるってことですか?」
「無償どころか日当を払うつもりだよ」
「あはっ、鍛えてあげるうえにお金までをあげちゃうとか、イクっち変態なうえにマゾだったのね~♪」ニヤニヤ
「駆け出しの冒険者はお金も時間も経験もないから、そうしてあげないと満足に訓練もできないんだよ」
「とても素晴らしいお考えですわぁ」
お褒めの言葉を頂いたので、熱いスキンシップで答えるとエマの顔が真っ赤に染まった。昨夜の妊活を思い出したんだね。ウフフフフ
「エマ道場では僕たちが考案した斬新な訓練方法で効率的に鍛えあげるよ」
「レイっちが裏庭でやってるのもその一つだったんだ~♪」
「あれは体幹トレーニングだよ。実際にその効果が戦闘に出てるってさ」
それ以外にもブートキャンプ的な特訓を課してやるつもりだ。
「道場に入門する若い男選びはどうするのかな~♪」
男選びじゃねーよ!
油断したらこいつの逆ハーレムになっちまうな。用心しておこう。
「冒険者名簿の体力測定データを使って潜在能力の高い者を選抜するよ」
「各部門トップ50を選出したリストはもうできてやすぜ」ムッフー
お、珍しくちゃんと仕事をしてくれたか。ありがたい。
「ご苦労様。そのデータで体術専門家のピーナさんに選抜をお願いするよ」
「ピーナならイクゾー様の期待に応えてくれるはずですわ」
うむ、俺も最愛の女の期待に応えてやらねば。懐妊的な意味で。
「剣士や盾士の他にも、素質のありそうな若手の術士と神官も招集しようと思うんだけど、これも何かデータがあるのかな?」
「術士には魔力測定、神官には修道試験をやっておりやす」
「じゃあそのデータで誰か適任者に選抜をやってもらおう」
「ティアちゃんにお任せよ~♪」
そういえばギャル子はこのパーティでスカウトを担当してたな。
レイラちゃんを見出したのもこいつだったわ。
術士は女ばかりだから任せても大丈夫か。
男の神官を侍らすようになったら、その時に対応しよう。
「実力だけでなく良識があるかどうかも判別してくださいね」
「了解ちゃ~ん♪」ニタァ
うーん、その好色そうな微笑みで既に後悔してきたわ。
「入門後に堕落する者は破門もありますからそのつもりで」
ギャルビッチ、頼むから有望な少年をつまみ食いして潰してくれるなよぉ。
「婿殿たちが鍛え上げた精鋭の冒険者が、大手ギルドに引き抜かれてしまうことへの対策はもうできてるんでやすか?」
これまで散々引き抜きで苦労してきたラムンが心配そうな顔を見せた。
「もちろんだよ」
「おおぅ、ぜひ聞かせてくだせー」
「ギルド移籍の際には、それまで与えた日当と訓練費を即金で支払ってもらう」
「日当は毒まんじゅうでやしたか! さすが婿殿ですなぁ」
言い方ぁ。
俺が悪人みたいじゃないか。エマの前なんだから言葉を選べよな。
「イクゾー様、ずっとギルドに縛り付けるのは少し可哀相なのでは・・・」
ほら見ろ。魔乳司祭が巨大な胸を痛めておられるじゃないか。
「大丈夫だよ。道場を卒業して6年活躍してくれたら移籍は自由とするから」
メジャーリーグ方式だ。フリーエージェントの権利を与えてやんよ。
「それでしたら聖当な取引ですわ。主も推奨なされることでしょう」
ですよねー。俺だって鬼じゃない。ギブ&テイクが基本だ。
ギルド専属冒険者を長く勤めてくれた者には年金支給だって考えてるぞ。
「でもさ~、ギルド的にその契約は不味いんじゃないの~♪」
「ギルドの制度に反する不当な契約として訴えられるかもしれやせんね」
「あくまでこれは訓練生と道場での契約だからギルドは関係ない」
「かぁぁぁ、さすが婿殿、ワルですなぁ」
だから言い方ぁ。
ほんとコイツは空気を読むことができんで困るわ。いつか切るべし。
「潜在能力があっても磨き上げる機会がない冒険者にとって凄く良い話だし、その契約に納得した者だけ入門するんだ。ワルなんてどこにもいないよ」
「イクゾー様は恵まれない若者にチャンスを与えてあげるのですわ」
そういうこと。チャンスをものにするかどうかはそいつ次第。そしてチャンスを活かして精鋭に育ったら俺たちの為に働いてもらうって寸法さ。フヒヒ
「エマは道場主として総監督になってもらうよ」
エマの名声を高めることが目的だからな。当然の人選だ。
「ワタクシに務まるでしょうか?」
「安心して。僕が相談役として主な運営は引き受けるからね」
「心強いですわぁ」
魔乳をピッタリ押し付けながらほんのりと艶めいた声で甘えるエマがエロス。
よし、そろそろお昼のエッチの時間にしようか。
「道場の建設費と運営費で大金が必要だけど大丈夫なのかにゃ~♪」
安心しろ。お前が管理してるパーティーの金など当てにしとらん。
「僕はこれでも異国の貴族だよ。多少の持ち合わせはあるさ」
「だよね~、メスピっちにもバイク買ってあげたでしょ~♪」
「僕の仕事を手伝ってもらってるからね」
「ちょっと酷くな~い、アタシには何もくれないの~?」
お前にはバイクじゃなくてバイブを買ってやろう。ムフ
でもこの異世界にはまだ売ってなさそうだな。電マ責めしたかったのに残念。
「ティアさんに似合うものを見つけたら買ってくるから楽しみに待っててね」
「すっごいの期待して待ってるわ~♪」ニヤニヤ
「私に似合うのは特上の肉だけなのデス」じゅるじゅる
「ローラさんの好みは重々承知してますからご心配なく」
牧場のリーゼちゃんと特上肉の定期購入契約も結ぶか。
夕方にチーズを取りに行くからその時にでも相談しよう。
「婿殿、エマ道場はどこに建てるんでやすか?」
おっと、忘れてた。たまには役に立つじゃないかギルマス。
「ウェラウニの地図はあるかな」
ラムンが自分の机から取ってきてテーブルの上に広げ、その一点に指を置く。
「ここがギルドになりやす」
ギルドに面した大通りを西に向かい町を出て徒歩10分の位置に俺たちの家がある。町と家の間の空き地で周りに民家がなく騒いでも大丈夫な場所が良い。
俺はその条件を満たした場所に指を置いてみせる。
「この辺が良いと思うんだ。午後から下見に行こうよ」
「お供いたしますわぁ」
「オッケ~♪」
「ガッテン承知でさー」
「いやギルマスはいいよ。仕事あるでしょ」
この世の終わりのようにショボーンとしてやがる。醜い。
まだソウスカンクの消臭依頼が全部終わってないんだ。キッチリ指揮をとれ。
「そろそろお昼のお肉の時間なのデス」
ローラの偏った意見を合図に俺たちは食堂に行きヴィンヴィンたちと合流した。
「あれ、あそこにいるのルー君かも」
パーティー6人と俺とギルマスで食堂のテーブルを囲みランチを食べ終わった頃、遠くのテーブルにポツンと座っていたルークをレイラちゃんが発見した。
あ、アイツとは失踪届の件で話を聞く必要があったわ。
エマたちにちょっと行ってくると伝えてから無能剣士の所へ向かった。
「ルーク、聞きたいことがある」
「イクゾーじゃねーか。どうした真剣な顔して?」
「ここだと話しにくいな。どこか静かな場所に移動しよう」
「マジかよ。朝の仕事で疲れてんだ。後にしてくれねーか」
コイツ、誰のために俺が気を使ってやってると思ってんだ・・・
「いいのかな、人がたくさんいるココで話しても?」
「な、なんだよ。俺には別に人に聞かれて不味いことなんてねーぞ」
ほぉ、あれだけ大胆なことをしておいてどの口がそれを言うんだ。
よし、良いだろう。お前の立場をたった一言でハッキリと分からせてやる。
俺はルークが驚愕で青ざめガタガタと震えることになる魔法の呪文を唱えた。
『都会でビッグになってやる』




