0590 帰ってきたツンドラ魔導師
「よっぽどイクっちと相性が良かったみたいね~♪」
遺憾!
ギャルビッチの言葉で隣に座るエマの身体がビクンと震えた。
魔乳司祭は何かを察して心を痛めていらっしゃる。
俺の魔力(子種)とヴィンヴィンの魔力が異常に相性が良いのは事実だ。
何故か俺を愛してくれている年増女のエマには結構なショックなのだろう。
「摂取し続けたイクっちの魔力が臨界点突破みたいな~♪」
もうやめろー。
エマのライフがゼロになってまうやろー。
「くっ、エロ助はエマ様にも同じだけ魔力を与えていた筈なのに・・・」
「私もお兄ちゃんの魔力を取り込んだら魔法戦士になれるよね!」
「ヴィヴィっちとイクっちは相性抜群だけどレイっちどうかな~♪」
遺憾!
またハートブレイク司祭の身体が震えていらっしゃる。
この話題は危険だ。何か別の話題に持って行かなくては。
「ヴィンヴィンさん、この二日間どこに行っていたんですか?」
「ちょっとドラゴンを狩りにね」
ドラゴンスレイヤー!
なんかサラッと言ったけどこれ凄いことなんじゃないの。
竜退治ってちょっと行ってくるなんてレベルじゃないんじゃないの。
誰かリアクションしてー。プリーズ。
「馬鹿なっ、ドラゴン狩りだと!?」
「すっごーい!」
「イクゾー様の婚約者でありながらなんて無茶なことをするのですか」
「ドラゴンのシッポはとても美味しいのデス」
「スーパー・ヴィヴィっちでもさすがにドラゴンはないっしょ~♪」
おおっ、やっぱ相当な無茶をやったみたいだな。
現地で何があったのか知らんが、無事に帰って来てくれて良かったよ。
「大袈裟よ。ダンケルトの小竜を相手にしただけなんだから」
「フン、血や土で汚れてないということは直ぐに逃げ帰って来たようだな」
あ、確かに魔導師のローブが綺麗なままだわ。
「えー残念。今度は私も一緒に行くよ!」
お兄ちゃん、ロリピュアには危険なことして欲しくないなぁ。
「命があっただけでもラッキーって感じでしょ~♪」
だな。五体満足なだけで勝ちだろ。ドラゴン相手なら。
しかし、当の本人はそんな皆の声なんてどこ吹く風で茶を飲んでいたりする。
ふふふ、ドラゴンからシッポを撒いて逃げてきたことを恥じているのかもな。
「そんなことより、お土産のドラゴンのシッポ肉を早く食べるのデス」
な、何だってーーー!?
ドラゴンのおみやって、まさか買ってきたんじゃなくて狩ってきたんか?
ガチで竜殺しになってきたんかっ。
「ローラ、その袋の中身は本当にドラゴンなのか!?」
「私が肉を見間違うわけがないのデス」
「じゃあ本当にヴィーはドラゴンバスターになってきたんだ。すっごーい!」
「イクゾー様の魔力との相性がそんなにも凄かったのですね・・・あぁ・・・」
「ヴィヴィっち、狩ったドラゴンの本体はどうしたのかなぁ?」
それだっ。竜の鱗とかで最強の鎧や盾が作れるんじゃないか。
不帰の森まで行ってクエストしたい俺としては喉から手が出るほど欲しい!
「頭と胴体は全て吹き飛んで消えてしまったわ」
そうきたかー。
圧勝だったんですね。瞬殺だったんですね。
だから、ローブが全然汚れてないんですね。
「あっちゃー、どうしてそんな勿体ないコトしちゃうのよ~?」
「仕方ないわ。膨れ上がった魔力をまだ上手く操れないのだから」
「不完全な状態で竜殺しってどんだけ~♪」
「この二日間ずっと訓練していたのだけど、もう少しかかりそうだわ」
なるほど。特訓のために家を出ていたのか。
誰もいない山奥で人知れず修行するヴィンヴィンを想像すると何かオモロー。
「だけど竜退治のクエストは成功ってことで良いのかな~♪」
「成功報酬はシャイロック銀行の口座に振り込ませたから確認しておいてね」
「了解♪」
ドラゴン倒したらいくら貰えるのかちょっと気になるわー。
「このドラゴンの肉はまだ獲れたてなのデス。どうやったらこんな短時間でダンケルトから帰ってこれるのか不思議ですネ」
闇エルフの肉ソムリエぶりが果てしないな。肉探偵にでもなるといいよ。
それはさておき、竜殺しのVIP待遇で超高速船にでも乗って来たのかな。
「飛んで帰って来たわ」
ユー・キャン・フライ!
そっかー、ヴィンヴィンにも生えたんだな。リア充ウイングが。
「と、飛んだだとっ?」
「ヴィー、貴方の風術はそこまで進化したのですか?」
「私のマジックブーツが役に立ったんでしょ~♪」
「でもさすがに疲れたわ。そろそろ休ませてもらうわね」
そう言うと竜殺し魔導師は優雅に立ち上がって歩き始める。
なにやら別れがたいものを感じた俺は思わず声をかけていた。
「ヴィンヴィンさん・・・あ、いやその、お休みなさい」
「それ、もういいわ」
「え?」
「これからは『さん』を付けずに名前だけで呼びなさい」
うおおおおおおおおおおお!!
呼び捨てが許されたぞ。下僕から二階級特進したなこれ。
「じゃあ、おやすみ」
ヴィンヴィンは余裕の笑みを見せて自分の部屋へと下がった行った。
残された俺たちがいるリビングには、嵐が去った後のような静けさがしばし続いたが、レイラちゃんの寝息で再び日常が動き出す。
ピーナがレイラを部屋に運んで行き、ティアは大浴場へ、ローラは渋々ドラゴン肉を冷蔵庫へと収納しに行った。俺はエマと束の間の二人きりだ。
「エマもお風呂に行ってきなよ。1時間後に部屋に行くからね」
もちろんこれは、レッツ妊活という意味だ。
免罪符を買ったんだから婚前交渉は神の名において許された。
産めよ増やせよ地に満ちよ。という訳でやるべしやるべし。
正しくそれを理解した魔乳司祭は頬を染めていそいそと大浴場へ向かった。
さて、俺も部屋に戻って時間まで宿題をやるか・・・
「何をやっておるのだお前は!?」
うわっ、ビックリしたなもう。おどかすなよピー助。
「何を怒ってるんだお前は?」
「ヴィーのことに決まっている。順序を弁えろと言っておいたではないか!」
「ヴィンヴィンの体があんなことになるなんて誰が予想できる。不可抗力だ」
「くっ、とにかく一刻も早くエマ様に子宝を授けるのだぞ」
「言われずとも承知している。その為にある情報が欲しい」
「何だ?」
今月は自然に任せようと思っていたが、そうも言ってられなくなった。
俺は現代知識チート『オギノ式』を使うことに決めた。
なろうポリシーに抵触する関係で一部ストーリーが変更されいています。
オリジナル版が読みたい方は以下でどうぞ。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054921176881/episodes/16816452218635584203




