0360 個人面談 ギャルコティア編
「イクっちってやっぱり人間じゃなかったんだ~♪」
パーティー監督のティアの部屋に入って2秒で人間失格と言われた。
変態と言われるのは甘んじて受け入れる用意があるが、人間じゃないと言われるのはさすがに聞き捨てられない。俺の嫁になる者たちの沽券にかかわるからな。
庶民の俺でも一目で高級品と分かるソファーに妖精のように白い生足を組んで座る女監督に俺は問いかける。
「僕が人間じゃなかったら何だって言うんです?」
「鬼畜♪」
まったく意味が分からないな。
だがこのビッチにはビッチ故の思考プロセスがあるのだろう。
どうせお互い分かり合えんのだ。
下手に反論などするだけ無駄か。
「その称号は有難く頂戴しておきます」
「ホント鬼畜だよね~♪ 昨夜エマさんと一夜を過ごしておいて、翌朝には新成人になったばかりのレイっちにプロボーズなんて獣よケ・ダ・モ・ノ♪」
「エマの部屋に泊まったのは認めますが本当に何もしてませんから」キリッ
「まーだしらばっくれるの? 同じベッドで寝ておいてそれは通用しないって~♪」
ダメだこの女。
きっと甘酸っぱい恋愛なんてしたことがないんだろう。
それより、そろそろ本題に入らせてもらうぜ。
「ゴホン、次は僕からの話を聞いてもらえますか?」
「何かな~もちろんエロい話なんでしょ~♪」
コイツの頭の中はエロだけかい!
まるで鏡を見てるようで恐ろしくなるな。俺って傍から見たらこうなんかぁ。
いや反省はあとだ。今はギャルビッチの部屋に来た用件が先だ。
「ティアさん、僕と結婚してください」
「あはっ、アタシに求婚キター!鬼畜!ホント鬼畜の所業で超ウケる~♪」
「ちょ、酷いですね。なぜそこまで言われないといけないんですか?」
「エマさんとヴィヴィっちに合法ロリのレイっちまで喰い散らかしておいて、その挙句にアタシにプロポーズするとか鬼畜以外の何物でもないでしょ~♪」
む、そこだけ切り取ると確かに鬼畜になってしまうな。
まだ求婚の返事を聞いてないが話を先に進めた方がいいか。
「僕はエマとヴィンヴィンさん、レイラちゃんとも結婚します」
「えっ、嘘っマジなの!?」
「はい、既にその三人から承諾を得ています」
「そんなこと出来るわけないでしょ~♪ ちゃんと分かってるぅ?」
「ええ、僕は母国で貴族ですけど、この国とは国交がないので貴族の恩恵であるこの国の女性6人を嫁にする権利はありません」
「知っててエマさんたちを騙したんだ! ホント鬼畜よね~♪」
「エマは知ってます。僕は昨夜エマに教えてもらって知りました」
「てことは、ヴィヴィっちとレイっちは知らないんだ?」
「その点を指摘されなかったので、知らないのだと思います」
「酷いわ~結婚を餌に操を奪うなんて犯罪ですからねハ・ン・ザ・イ♪」
「いやだから、僕はまだ童貞ですから!」
「だけど、昼食の時のレイっちは完全にお嫁さんモードだったよね?」
「求婚してOKしてくれましたからね。でもそれだけですよ」
「パンツを脱がせといて言うセリフじゃないわ~♪」
くっ、ここはレイラちゃんの部屋の真上だから丸聞こえだったろうな。
だが今はこんな不毛なエロトークに付き合ってる場合じゃない。
「だから僕は、この国で貴族になります!」
「・・・本気なの?」
アレレ、呆れて馬鹿にされるか茶化されると思ったのにマジレスされたぞ。
「はい、本気です。その為にティアさんに相談に乗ってほしいんです」
「どうしてアタシなのかな?」
「エマが貴族社会に詳しいのはティアさんと言ってましたから」
「フーン、他に何か言ってたぁ?」
「他にですか・・・マネージャーとして貴族とも交渉するから自然と詳しくなっていったようだと言ってましたが、そのぐらいですよ」
「そう、ま、間違ってはないわね」
本当はそれだけじゃなくて、貴族たちと援助交際もやってるんだろ?
それがエマにバレてるかどうか気になってるんだな。
ギャルビッチだから仕方ないが、俺と結婚したら控えてほしいもんだ。
貴族のデカチンやテクニックと比べられたら溜まらん。EDは嫌だ!
「それで、僕はどうしたらこの国で貴族になれますか?」
「一番手っ取り早いのは戦争で大手柄を立てることかなぁ」
戦争!
そんなん無理ぃ、絶対無理。俺は戦争を知らない子供たちだぞ。
それに転生者なのにスキルを貰えなかったから無能オブ無能なんだ。
「残念ですが僕にはできません」
「だよねー。イクっちが戦場で出来るのは術士の女たち魔力を注入することぐらいでしょ~」
「その通りです。何か他の方法を教えてください」
「宮廷や上級社会で高位の役職を長年務めると貴族になれるわよぉ」
「それも難しそうですね」
「そうねぇ、高級官僚や裁判長になるには科挙や司法試験に合格しないとダメだからイクっちには無理っぽいし、なれても時間がかかり過ぎるわね」
「他に僕でもできそうなものって何かないでしょうか?」
ま、そんなもんある訳ないか。ちょっと貴族を舐めてたわ。
「あるわよ」
あるんかーい!
それを先に言ってくれよ。
「な、何でしょうかその方法は?」
「爵位をお金で買えばいいのよ♪」
世のなか銭ずら。
そういえば免罪符の時も痛感させられたわ。
ホントこの異世界は冒険者・教会・貴族全ての界隈が合理化されとる。
まぁお陰でハーレム婚達成に光明が見えてきたわけだが。
「僕が買います!」
金なら上手く立ち回りさえすれば俺でも何とかなるだろう。
「フーン、さすが異国の貴族様だね~」
いや、それはあくまで設定だけだから今の俺は文無しだぞ。
「・・・でも、お高いんでしょう?」
「そうねぇ、安くてもお城が一つ買えるぐらいはするかな~」
キャッスォー!
スチームカーぐらいなら何とかなるが城はさすがに無理だろー。
トノサマインコ何羽捕まえたらいいんだよ?
はぁ~絶望した。階級社会に絶望したっ。
「アタシが何とかしてあげよっか~♪」
何ですってー?
こらギャル子、お前何でそんなに金を持ってるんだよ!
やっぱり貴族たちと援助交際しまくってやがったかぁ。
あ、まさかマネージャーの立場を利用してパーティーの金に手を付けてるんじゃないだろうな。ピンハネで喰うメシは美味いかっ?
「どうしてそんなお金をティアさんが持ってるんです?」
「ヒ・ミ・ツ♪」
「いやでも、」その先はギャル子が言わせてくれなかった。
「エマさんの為に貴族になるんでしょ~」
「そ、そうです」
「だったら覚悟を決めて利用できるものは何でも利用しなさいよね」
その通りだな。
明らかにこのギャルビッチは毒まんじゅうだ。
その毒を嫁の一人にすると決めてるんだからその金も使わせてもらおう。
毒を食らわば皿までというしな。
「分かりました。ティアさんの好意に甘えます」
「好意じゃないよ取引だよ」
まぁそりゃそうか。
プロの交渉人やってるマネージャーだもんな。
で、どんな無理難題をふっかけようというんだ。
「僕はどんな対価を与えればいいのでしょう?」
「三か月以内にアタシを孕ませて♪」
エッッッッッ!
そんなん三か月どころか今月中にでも孕ませまんがな。
ちょっとこれ、条件が俺に都合良すぎやしないか?
期限付きだが一人子供を作るだけで貴族とか普通あり得んだろ。
絶対に何か裏があるはずだ。
「貴族にしてくれる対価にしては小さ過ぎませんか?」
「え~子供だよ、人の命を軽く見過ぎじゃないの~」
「ですが、いくらなんでも話が上手すぎますよ」
「何に価値があるかなんて人それぞれでしょ?」
そりゃそうだけどさ。
ギャル子にしたら貴族の身分よりも自分の子供が欲しいってことか。
どうしてそんなに子供を欲しがるんだろう・・・しかも三か月以内で?
ま、考えても仕方ないか。
今の俺はティアを信じる他に選択肢が無い。
お望み通り孕ませてあげようじゃないか!
「三か月以内の受胎完了、承りました。これで取引成立ですね」
「んふぅ・・・その好色な視線だけで孕んじゃいそう♪」
そりゃこんな話をされたら意識するっての。
それに何でお前、日本の女子高生の制服みたいなの着てるんだよ。
ギャル子のお前に似合い過ぎだろ。何で異世界にそんな服があるんだよ?
「その服、とっても似合ってますね。どこで買われたんですか?」
「どこも何も学校の制服だけど」
本当に制服だった!
ていうかお前、本物のJKだったのか?
それはきっと付加価値が付いて援助交際も捗ったことだろうな。
「ティアさんは学生でしたか?」
「まーね。親が心配して寄宿学校に放り込んだのよ」
「え、心配したって何をですか?」
「家庭環境が良くないからじゃな~い」
「家庭環境、ですか?」
一体どんな家庭で育ったんだろうな。
まぁこのビッチぶりだから推して知るべきか。
「自宅のそこら中で男女がくんずほぐれつだもの♪」ニヤニヤ
やっぱりかぁ。本人が気にしてなさそうなのが救いではあるな。
「ご実家は、娼館を経営されてるとか?」
「あはっ、まあそんなところね~♪」
なるほど。ビッチに歴史ありだな。
物心ついた頃から男女の営みを見聞きしてきたわけだ。
こういう性格になってしまったのも仕方ないのかもな。
さて、話があっちこっちに飛んだんでちょっと整理するか。
懸念だったハーレム婚成立のために貴族になる方法は爵位を買えばいい。
そのためのお金はティアが用意する。
俺はその対価として三か月以内にティアを妊娠させる。
あれ? そういえば求婚の返事をまだしてもらってないな。
「今さらですが、僕のプロポーズの返事は?」
「それも三か月以内にアタシを孕ませてくれたらOKしてアゲル♪」
そんなに子供が欲しいのか。一体どんな事情があるのやら。
それに寄宿学校の学生なのにどうやってこの仕事やってるんだ?
そのうえ子供までできたらライフスタイル崩壊するだろ。
ま、俺が心配しても仕方ないか。世慣れてるティアには余計なお世話だよな。
俺はまず俺のできる最善を目指さんと。
「三か月という条件ですが、今月中に孕ませてもいいんですよね?」
「もちろん♪」
「その場合はその時点で貴族の爵位を購入してくれるのですか?」
「妊娠が確認できたら直ぐにでも特権階級の仲間入りかな」
「分かりました。皆さんを待たせたくないので頑張ります」
ふむ、これであとはハーレム婚の了承も一応取ってくか。
「僕がパーティーメンバー全員と結婚することも承諾してくれますか?」
「異論はないわよ。むしろその方がアタシにも好都合だし」
「そうなんですか?」
「だってパーティー内で嫁と愛人に分かれてゴタゴタされるのはマネージャーとしても面倒だからねぇ。それに6人の嫁の中にアタシの知らない変な女が入るぐらいなら身内で固めた方がいいでしょ」
なるほど。さすが女監督だな。ギャルビッチなのによく考えてる。
よし、これで用件は全て済んだか。
貴族になる方法の相談でもっと時間がかかると思ってたのに嬉しい誤算だ。
お陰で時間が余ったからもう少しティアの人となりを探っておこう。
どうもこのギャルビッチは底が見えない不気味さがあるからな。
「伴侶に選ばれなかった時は愛人になるつもりだったのですか?」
「ていうか最初から愛人狙いだったわ♪」
愛人狙い!
こいつが言うと似合い過ぎだわ。
既にメチャクチャ納得してるけどお義理で訊いておくか。
「どうしてですか?」
「だってどうせ直ぐ飽きるのに結婚しても戸籍が汚れるだけだでしょ」
なるほど。これがビッチ理論か。さすが欲望に対して一本筋が通ってる。
でもこれ結婚しても直ぐに俺に飽きて離婚されちゃうんじゃね?
そして欲しかった子供だけ連れてバイバイなんじゃね?
「どうしてそこまで子供を欲しがるのですか?」
「ヒ・ミ・ツ♪」
「・・・そうですか」
本人が言ってる通り、何か秘密があるのは間違いないな。
冗談めかしてるが、娼館の家に生まれた娘なら人に言えない事情がいろいろあるんだろう。深く追求するべきじゃないか。
俺がもういいですと表情で伝えるとティアは初めて俺に真面目な顔を見せた。
そしてギャルビッチではなく交渉人の声色で俺に告げた。
「夫としてだけでく、パートナーとして認めてあげた時に教えてあげるわ」




