0300 ギルド保管庫に咲いたエーデルワイス
「全て承知で僕はアナタの不幸に挑みます。どうか逃げないで下さいね」
「誰が逃げるか・・・その挑戦、受けて立つ!」
チョロい。
アッサリと挑発に乗ってくれたわ。
よーし、これで挑戦の名のもとにイチャコラし放題だぜ!
「僕がグロリアさんの共犯者などではないと理解してもらえたようですから、お開きにしてそろそろ寝ませんか?」
「そうですネ。これ以上は肉がないと戦えないのデス」
お前は全然戦ってなかったろ。
「お邪魔虫のせいで素敵な夜が台無しだわ」
ピーナに嫌味を言いながらヴィンヴィンは意味ありげな目で俺を見てくる。
や、やっぱり俺の部屋へ夜這いに来たのか・・・
「ヴィー、二つの高度な魔法を同時に操るなんて・・・お前何があった?」
悔しさと驚きを声に滲ませながら自称不幸の女は問いかけた。
「年増女と違って私は伸び盛りなの。三日あれば成長するわ。一緒にしないでもらえるかしら」
ツンドラ魔導師さんはいつも通り容赦なかった。
でも本当はクエストから遠ざかってて放出できずにいた魔力が溜まりまくってたからですよね。
「くっ・・・」
毒舌女王様の言葉を素直に受け取ったピーナはまた臍を噛む。
しかし喧嘩するのは勝手だけど、それが原因でエマさんの足を引っ張るのは止めてくれよ。ホントよくこれでパーティー崩壊しないもんだ。
完全勝利したヴィンヴィンは満足して自室へと去っていった。
ローラはいつの間にか消えている。
ふぅ、俺も部屋に戻って寝るとしよう。
「エマさん、話は終わりました。もう寝ましょう」
「あぁ・・・結婚・・・お嫁さん・・・ウフフフフ」
虚実判決の奇跡で俺の気持ちを確かめてからずっとこんな調子だな。
でも切りがないんで夢想から帰ってきてもらいますよ。
俺は左手でお尻をキュッと優しくつねった。
「んんっ」
我に返ったエマさんが抱き着いていた体を離し恋に浮かれた目で俺を見つめる。
「僕のことをほったらかしにするなんて悪いお嫁さんですね」
「嬉し過ぎて夢心地になってしまいましたわ。どうかお許し下さいませ」
魔乳美女に甘えらえた俺は理性が飛びそうになるが、ピーナがまだ居たので何とか自制することができた。
「あ、そういえばピーナさんの部屋って僕と同じ二階ですよね?」
「そうでしたわ。それではイクゾー様が安心してお休みできませんわね。ピーナ、貴方はワタクシの部屋でお休みなさい。朝まで一歩も外に出てはいけませんよ」
「承知しました。朝までエマ様をお守り致します」
「それには及びません。ワタクシは二階の貴方の部屋で休みますので」
えっ、そんなご馳走を目の前にぶら下げるようなことされたら・・・
「いけません!その変態が襲いに来るに決まっています!」
絶対にそうなっちゃいますけど、エマさん良いんですか?
「それがイクゾー様の望みならワタクシは受け入れますわ」
マジで!
「主によってお婿殿の気持ちが証明されたのを貴方も見た筈です。これ以上の審議は不要どころか無礼ですわ」
気持ちは嬉しいけど抜け駆け禁止とかかいろいろルールあったよね?
「しかし・・・」
ピーナがまだ何か言おうとするのをエマさんが目で抑え付けた。
うーん、後々のことを考えたらここは自重したほうが得策だよなぁ。
ルール破りはメンバー間に溝を作って今後のパーティー活動に影響する。
明日のハーレムを掴むため今日の幸せは捨てよう。メッチャ残念だけど。
「エマさん、今夜はピーナさんと二人で1階にいて下さい。お願いします」
僕たちの未来の為にと目で訴えかけると直ぐに察してくれた。
エマさんのたちの部屋へと続くリビング正面のドアでお休みなさいませとお辞儀をしピーナと一緒に魔乳司祭は姿を消した。
翌朝、俺はこの家に来て初めて自分のベッドで目覚めた。
3月1日に入居して以来、三日連続でヴィンヴィンに夜這いを仕掛けたのだからそうなる。凍死を免れるにはそうするしかなかった。
今日は3月5日だ。
1ヵ月が6週間、1週間は6日のこの異世界では、明日の6日は休日になるらしい。地球の日曜日のようなものだ。
パーティ最後のメンバーであるティアは今日にでも帰宅する。
俺としては直ぐにでも話をしてキャラを見極め、明日の休日にパーティ全員を集めて今後のことを相談したい。
ていうか早くハーレムルートを確定させてエマさんと結婚したい!
そんなことを考えながら私服に着替えてダイニングへ向かった。
「皆さんおはようございます」ガチャ
まだ少し時間に余裕があったが朝食の席には全員が揃っていた。
深夜のピーナ襲撃騒動で寝不足の筈だからヴィンヴィンあたりは遅れると思ったのに。
そのピーナが主のように崇拝していたエマさんの隣ではなく向かい側のレイラちゃんの隣に座っていたのもちょっと意外だった。
位置的には長方形の大きなテーブルの短辺お誕生日席に俺、右手側の長辺にエマさん、ローラ、左手側の長辺にヴィンヴィン、レイラちゃん、ピーナという並びになった。
これって何か意味があるのかな?
ま、いずれ分かるだろ。今は他に確認することがある。
「エマさん、本日の皆さんの予定はどうなっていますか?」
「はい、今日も金庫室警備のリハーサルになりますわ」
「金庫室警備は週三日ということでしたよね?」
「ええ、明日の日曜日は銀行も休みになりますから、プレオープンまで月曜日と水曜日と土曜日という風に1日おきで警備の演習を行っていきます」
この国の暦にも曜日があったのか!
今まで誰も曜日のことを口にしなかったら無いのかと思ってたわ。
「この国の暦では曜日はどうなっているのですか?」
「月、火、水、風、土、日の六曜になってますわ」
へぇ、かなり日本の曜日と似てるな。
ここにも転生者の匂いがするが、調べるのは余裕が出来てからだな。
「日曜日は仕事が休みになるのですよね?」
「はい、そうですわ」
「エマは教会で仕事してるじゃないの」
ヴィンヴィンが突っ込みを入れてきた。
「あれは仕事ではありません。ご奉仕ですわ」
あぁ、俺も早くエマさんにご奉仕してもらいたい!
しかし、困ったな。
明日の休日は全員に集まってもらって家族会議をしたかったんだが。
まぁ、夜からでもいいか。
「奴らにはここで待機してもらっているのデス」
朝食を終えて皆は外出の準備のために部屋に戻った。
俺はローラに例の件で話が聞きたいから早くリビングに来て欲しいとお願いした。
今は速攻で着替えて来たローラと一緒に裏庭から続く森の中にいた。
ピューイ ピューイ ピューイ
大きくはないが良く通る口笛の音が森の奥へと響き渡る。
すると、ローラの足元に奴らが集まってきた。
「こ、これが滞納者の極悪人を一気に攻め落とす魔獣・・・ですか?」
「フフフ、驚きで声が震えていますネ。私の偉大さを褒め称えるがいいデス」
確かに驚きはしたが、悪い意味でだからな。
こんなので本当に大丈夫なのか?
俺が不安そうな顔でローラを見ると下半身デブ闇エルフは何か勘違いしたようだ。
「大丈夫デスよ。お婿様が活躍する場面もちゃんと作ってあるのデス!」
いや俺が心配してるのは決してそんな事じゃなないんだが・・・
しかし、この魔獣だけじゃなく、俺にも何かさせようってのか?
「僕は何をしたらいいんでしょうか?」
悪いが荒事なんて俺には一切できんからな。
俺には腕力もチートなスキルも無いんだ。どうにもならん。
そう案じていた俺に言い放ったローラの言葉がまた想定外だった。
「フフフ、お婿様には笛を吹いてもらいマス」
ポッポーーー!
ローラの申し出に唖然としていたらスチームカーのクラクションが鳴った。
エマさんが俺たちを探しているようだ。
俺たちは急いで正門の前に走って皆と合流した。
「イクゾー君、裏庭で何をやってたの?」
「ローラさんにこの国の動物を教えてもらってたんだよ」
「そうだったんだー。この国のリスちゃんやウサギちゃんたちも可愛いでしょー」
「そ、そうだね。見た目はとても可愛いかったよ」
だがその身に秘めた最終兵器が放たれた時はそんなこと言ってられんよな。
スチームカーを運転するエマさんの隣にはピーナが座っていた。
後部座席は二人掛けのシートが向かい合う形になっている。
俺の隣がレイラちゃん、正面にはヴィンヴィンがいた。
女王様は髪だけでなくお肌にも艶が出てきたように見える。
「何を見てるのかしら?」
「いや、昨夜の闘いは凄かったなと思い出してました。圧勝でしたね」
「そうね。こんな感覚は初めてだわ。今ならドラゴンですら倒せそうよ」
ドラゴンスレイヤーとはまた大きく出たな。
だけど、この天才魔導師なら本当に倒しそうな気がするから怖いわ。
「一皮剥けた女は言うことが違うのデス」
やめローラ!
「ゴ、ゴホン! レイラちゃんの次のクエストは決まったの?」
ツンドラ美少女が不穏な空気を出してるので無理くり話題を変えてみた。
「うん、リーゼちゃんの牧場の隣の農場を荒らす魔獣を討伐するの!」
「へぇ、それってどんな魔獣なんだい?」
「ツライグマだよ」
ア、じゃない、ツライグマですか。
まさか鳴き声は、ツライデス、じゃないだろうな。
「来週の月曜日に行ってくるから戦果を楽しみにしててね」
「うん、期待してるよ。あれ、でも月水土は金庫室警備じゃなかった?」
「来週からは6人揃うのだから、3人ずつで交代制にするのよ」
おおぅ、ツンドラ美少女さんが事情説明をしてくれたぞ。
何だかちょっとずつ心の距離が縮まってる感じがするな。
「そうなると月曜は誰が警備にあたるのですか?」
「エマとローラとティアよ」
ティアはたしかパーティのマネージャーだった筈だ。
「ティアさんはマネージャーと聞いてますが戦えるのですか?」
「ティアは魔道具使いだから戦えるよー」
魔道具使い!
また何とも異世界チックなジョブじゃないか。
一体どんな技を見せてくれるのか楽しみだな。
「それではワタクシたちは金庫室へ向かいます。お昼にまた食堂で会えるのを楽しみにしてますわ」
ギルドへ到着してエマさんとしばしの別れだ。
「はい、それまで僕はマスター室にいますね」
エマさんたちが階段を上っていくのを見届けて俺も歩き出す。
「入るぞ。ギルマス」ガチャ
「婿殿、きっと今日も来てくれる気がしやした。ですが、お連れさんがいるとは思ってやせんでしたよ」
お連れさん?
何のことだと怪訝に思っていたら早業で部屋のソファーに座ったローラが目に入った。
「ちょ、おま、いや、ローラさんいつの間に、というかどうして?」
「護衛なのデス」
「ちょっと言ってる意味が分からないのですけど」
「昨夜の件で不安になったエマさんを安心させるために私がこちらへ来まシタ」
うーん、まぁそういうことなら分からんでもない。
「それに例の作戦のために笛を入手しないといけないのデス」
たしか俺に大活躍させる用意として笛がいるんだったな。
ここは申し訳ないが、ギルマスにまた用立ててもらうか。
「ギルマス、このギルドの未来の為に笛が必要だ。金を貸してくれ」
「笛となると非常に高価になりやすんであたしには手が出ませんです」
笛ってそんなにするの?
クソ、この世界の常識を知らん俺には想像もしようがない。
「何か手はないか? 何処かから借りてくるとか?」
「なにせ高価な代物ですからなぁ。とても無理だと思いますです、はい」
諦めるの早っ。
もうちょっとお前もやる気出せや!
この作戦がハマったらドーンと金が入ってくるんだぞ。
「マスター、あそこに行けばあるんじゃないでスカ?」
ローラが人差し指を上に向けてチョンチョンと突き上げる。
「あっ、確かに保管庫にいくつか楽器もあったでやすよ!」
マジかっ。ローラGJ!
「この辺りでやすね・・・たぶん」
保管庫の中を案内しているギルマスが相変わらず頼りない。
「お婿様、ここに何種類か揃ってるのデス」
続けてGJだローラ。
直ぐに駆け付けて闇エルフが示す木箱を覗くと地球のと大して変わらない管楽器がそこにはあった。
これはフルートか・・・こっちはクラリネットに似てるな。
トランペットとホルンのような楽器まであるじゃないか。
これでイケる・・・・・・いや、ダメだ。肝心なことを忘れてた。
俺がこんな複雑な楽器を演奏できるわけないじゃーん!
どうすんだこれ?
ローラはそこまでちゃんと考えてるんだろうか。
恐ろしいが確認するしかないな。
「ローラさん、僕は楽器なんて演奏できませんけど?」
「またまたご冗談を。楽器を嗜まない貴族なんていないのデス」
くっ、そうきたかー。
俺は島国ジャパンの貴族っていう設定だったわ。
まさかそれがここにきて仇になるとは・・・
クソー何か他にないか?
カスタネットとかトライアングルとかさー。
木箱の奥をガサガサと探していると何やら非常に懐かしいものが目に映った。
こ、これは・・・まさか、アレじゃないか・・・!?
♪ テレテレッテレー 「ソプラノ・リコーダー」
全国の小学生が学校で習うという伝説の縦笛をゲットだぜ!
これなら俺でも何とかなるかもしれん。
ただ、ガキの頃から数十年も経ってるから吹き方も曲も忘れてる。
この世界の楽譜の読み方なんて分からんぞ。
そこから始めてたら時間がかかってしょーがないが・・・
ま、今はそれよりもこのリコーダーがちゃんと音が出るか確認するか。
ふむ、保存状態は悪くない。
ハンカチでリードの部分をちょっと拭いて口をつけた。
その感触で記憶の引き出しがガラっと開かれた気がした。
すると俺の体は勝手にあの名曲を吹き始めた!
♪ ピーポーポー ピーポーポー ピーポポーピポーピーポー
だけど何で吹けるんだ? ♪ ピッポポー ピーポーピー
いくらなんでも都合良すぎる・・・ ♪ ピーポポーピ ポー ポー
あ、この体が15歳だからか! ♪ ピーポーポー ピーポーポー
だからまだ体が憶えていたんだな。 ♪ ピーポポーピポーピーポー
何十年ぶりに聴いたエーデルワイスが俺の心に染みわたっていく。
吹き終えたあとは激しいノスタルジーで感慨に耽ってしまった。
パチパチパチパチ パチパチパチパチ
ローラとギルマスから拍手を頂いた。よせよ照れるじゃないか。
「やはり吹けたのですネ。お婿様も人が悪いのデス」
いや偶然だぞ!
ここにリコーダーが無かったらこの作戦終わってたからな。
やっぱりこいつの作戦は穴だらけで不安だわ。詳細を聞いて詰めておかないと。
「さすが婿殿、策略だけでなく音楽まで達者とは感服しましたです、はい」
世辞は要らんが、このリコーダーは絶対に要る。
だがこの世界では笛って高価なんだよな。
そもそも何でそんな高価な楽器が保管庫で眠ってるんだ?
ふぅ、ギルド保管庫の闇は深いぜ。
「この笛、悪いが持っていかせてもらうぞ」
「どうぞでやす」
軽いなー。
ま、今はその方が助かるから何も言うまい。
お目当ての品をゲットした俺たちはマスター室に戻った。
そして、ローラが滞納金回収作戦のシナリオを話すと、ギルマスに意見を聞き、俺が修正を加えていった。
作戦内容を最初に聞いたときは、計画が杜撰だわ、人の迷惑だわ、ギルドに弊害があるわでどうかと思ったが、このぐらいやらないと極悪人は懲りないだろうと考えて実行に移す決心をした。
ぶっちゃけ、面白そうだからやりたいというのが良心を凌駕した。
それに失敗しても俺の懐は痛まないしな。
まぁ最悪エマさんたちに流れ弾が当たらなければいいと思ってる。
その為には正体を隠す仮面でも用意しておくか・・・
4階の食堂でエマさんたちと一緒にランチを楽しむ。
すっかりお嫁さんモードの魔乳司祭がいろいろを世話をやいてくれる。
心が空を飛び回っているかの様に凄くウキウキしているのが伝わってきた。
どうやらエマさんにも生えたようだ。リア充ウイングが。
リア充カッターが岩を砕く日も近いだろう。
昼食を終えローラとギルマスとマスター室へ戻った。
滞納金回収作戦の詰めは午前中に終わりやることがなくなったので、俺が冒険者になった時の為にいろいろ訊くことにした。
「トノサマインコを捕獲したらいくら貰えるんだ?」
「5000ドポンでやす」
なるほど。分からん。
ていうかこの国の通貨を始めて知ったわ。
初日に着替えやブランデーを買った時もローラに肉のお土産を買った時も全てギルマス任せだったからな。
「ちなみに5000ドポンで何が買える?」
「4人乗りならスチームカーが買えやす」
クルマ!
マジでか。日本だと軽自動車が買えるような感じか。
となると100万円ぐらいの価値になるな。
まぁこの世界は何に価値があるのかまだ知らんけど。
とりあえずの目安として、1ドポン200円と考えておこう。
しかしトノサマインコ凄い高値付いてるな。
さすが絶滅危惧種だわ。さすがトノサマだわ。
「雄と雌のつがいで2羽捕獲できれば2倍の2万ドポンになりやすよ」
400万円!
インコ捕まえただけで年収貰えちゃうぅぅぅ。
はよ、はよう冒険者登録しないと。はよう不帰の森にいかんと。あわわわわ。
「お婿様は勘違いしてるデスよ」
「どういうことだ?」
ちなにみ、ギルマスへの横柄な口調を聞かれたのでローラにはもう猫を被らず普通に話すことにしていた。
「その依頼料はギルドに支払われる金額で冒険者が貰えるのは半分なのデス」
ハンブン!?
ギルマスぅ、ワレ何もせんくせに半分持ってくとかどーゆー料簡なんじゃー。
「ギルマス屋、そちも悪よのー」ギギギギギ
「誤解でやすよ! ギルドに半分と言ってもそこから税金やら保険料やらが消えていくんで2割ぐらいしか残りやせんから」
ふむ、確かにそうか。
仕方ないから今日の所は勘弁しておいてやる。
だが後からイカサマが発覚したらエマさんたちを移籍させてやる・・・
魔乳女神が迎えに来てくれたのでギルマスに別れを告げてギルドを後にした。
保管庫でゲットしたリコーダーは布袋に入れて持ち帰った。
レイラちゃんに中身を訊かれたけど、来週までの秘密で納得してもらった。
「あぁイイわよ、イクゾー君、とっても上手ぅ」
家に到着した俺は夕食までレイラちゃんにまた文字を教えてもらっている。
ただ今日は屋根裏部屋ではなくリビングだ。
レイラ先生も女教師バージョンではなく普通の私服だった。
「レ、レイラちゃん、今日はいつもの話し方でいいからね」
三等冒険者を目指してクエストを始めた合法ロリ戦士にあんな真似はもうさせれらないと反省したことによるリビングでの勉強会だったのだが、レイラちゃんは女教師がすっかり気に入ってしまいこんな事になっている次第。
「ただいま~」ガチャ
玄関のドアが開いて誰かが入ってきたようだ。
「あーティアちゃんの声だー!」
おおぅ、ついにマネージャーが帰ってきたか!
これで嫁候補の6人全てが揃った。
ここから俺のハーレムルート攻略が始まるんだ。
心してティアを迎えてやらないとな。
ティアが玄関ホールからリビングへ姿を現すとレイラちゃんが獲物に飛び付く野獣のように距離を詰めて抱き着いた。
「ティアちゃんおかえりー」スリスリ
「ちょっとレイっち~、アンタ重いんだってば。デカいの自覚しなよ~」
レイラちゃんが甘えてる間に俺はじっくりとティアの容姿を観察させてもらう。
そしてその目の覚めるような美貌を見て驚愕させられた。
プラチナグリーンに輝く髪。
妖しく光るエメラルドアイ。
まるで妖精のような白い肌。
そう妖精だ。
ティアの顔の特徴はライトエルフにそっくりだった。
この異世界では女性美の基準とされる光のエルフに。
俺はもうその人間離れした顔を見つめるだけの置物になっていた。
その美麗すぎる顔の完璧な位置に埋められたエメラルドアイが俺を射抜いた。
数秒の間、見つめ合う形になった女マネージャーは、その美貌を激しく裏切るような声色と口調で俺に言い放った。
「何さっきからガン見してんのよ? もうアタシに惚れたわけ~? ウケる~」




