0160 下着じゃないから恥ずかしくないです
「ありがとうヴィンヴィン。これで凍死せずに済むよ。おやすみ」
翌朝、俺はまだ生きていた。
チュンチュンチュン、チュチュンがチュン!
小鳥の鳴く声で目を覚まし状況を思い出した俺は、凍死サバイバルを生き抜いたことへの達成感とあのヴィンヴィンの汗を舐めて飲み干したという背徳感で一種の興奮状態になったが、直ぐに自分に言い聞かせた。
まだだ。まだこのサバイバルは終わってない。
このベッドの上から脱出し無事に自分の部屋へ生還するまでが夜這いだ。
俺はスースーと柔らかな寝息をたてるヴィンヴィンを起こさない様にベッドから降り、既に明るくなっていた部屋を歩いてドアまで行くと、ドアに耳を押し当て廊下に人気のないことを確認した。そして音を立てぬようドアを開け廊下へ出て移動すると、ここでも聞き耳を立ててからドアを抜けてリビングへ入る。
ホッ、良かった誰もいない。
一息入れた俺は最後まで油断せずに自分の部屋へ戻った。
ふぅ、ひとまず夜這い大作戦は成功に終わったな。
だが、大きな禍根を残してしまった・・・
恐らくヴィンヴィンは俺がベッドに侵入したあたりから気付いていたと思う。
少なくとも抱き着いた時点でバレたのは間違いない。
それなのに、俺のなすがままにされていた。
きっと俺が決定的な行動に移るまで泳がせていたのだろう。
そして俺がヴィンヴィンの下着に手をかけて下ろした瞬間に・・・ガクガクガク
ただ、そういう展開にはならなかったとはいえ、あそこまで下劣な真似をした俺を見逃してくれた意図が分からない。
さらにまだ泳がせるつもりなんだろうか?
だけどもう絶対にお前の部屋に侵入なんてしないぞ俺は。
ともかく、今後のヴィンヴィンの出方を待つしかないか。
とりま今朝の食事の時にでも彼女の反応を窺うしかないな。
さて、まだ早朝だけどすっかり目が覚めてしまってる。
この部屋にいても仕方ないからリビングにでも行ってみるか。
私服に着替えて階下に降りてみるとリビングにはまだ誰もいなかった。
昨日エマさんとお茶をしながらイチャイチャした4人が座れそうなソファーにドカッと腰を落ち着ける。
そういえば今日の予定はどうなってるんだろう?
女性陣は仕事とか入ってないんだろうか。
皆が外出してしまうと俺はこの家に一人で留守番になるのかな。
せめて文字が読めればその間に情報収集ができるんだが・・・
そんなことをとりとめもなく考えるていると玄関のほうでドアが開く音がした。
こんな朝早くに誰か外出していたのか?
さらにガタガタッという音がしたあと、こちらに近づいてくる足音がしてきた。
誰だろう、まさか不審者ってことはないよな。
ちょっと身構えながら待っていると意外な人物がリビングへ現れた。
「あー、アレー様! おはようございます!」
朝から元気いっぱいのレイラちゃんだった。
「お、おはよう・・・」ゴクリ
思わず生唾を飲んでレイラちゃんの姿に見入ってしまう。
水着? レオタード?
一番近いのは競泳水着だろうか。
黒が基調で淵に赤のラインが入った水着姿をあっけらかんと晒したレイラちゃんが少し息を荒くして立っている。
「その恰好はどうしたのですか?」
「これは戦闘服です。庭で朝の稽古をしてました」
戦闘服!
この国では水着で戦うしきたりでもあるというのか?
なんて素晴らしい世界なんだ。
あまりの感動にもっとよく見せてもらおうとレイラちゃんに近づいていく。
「とてもカッコイイですね。よく見せてもらってもいいですか?」
「もちろんいいですよ!」ニッコリ
うーん、ホンマにええ子やで。
おおぉぉぉ、長身でスタイル抜群の水着姿は迫力満点だな。
爆乳の盛り上がりをちゃんとカバーしているので伸縮性は良さそうだ。
下のほうは割とハイレグ気味のドキワク仕様だった。
でも、レイラちゃんは平然としてるけど恥ずかしくないのかな?
「この格好を僕に見せても平気なのですか?」
「えー、だって戦闘服ですから。下着じゃないから別に恥ずかしくないです」
なるほど。戦闘服という免罪符が乙女を大胆にさせるのだな。
言われてみれば、地球の水着と下着も似たようなもんだったわ。
今度はレイラちゃんの背後に回って後ろから観察させてもらう。
バックリと背中から腰まで開いた部分は肌が露出しいくつもの汗が浮かんでいる。
ハッ、汗!
そうだ汗だ。
ヴィンヴィンの汗には魔力が混じっていてそれを摂取することで俺は救われた。
レイラちゃんの汗にもあの効果があるのか試してみたい。
「レイラさん、ちょっとだけじっとしててください」
そう言って俺は背中に浮かぶ玉のような汗をペロペロペロっと舐めとった。
「キャッ!」
レイラちゃんの巨体がピョンと跳ね上がる。
「すみません。だけどもう少しだけ我慢してください」
「え・・・・・・はい、アレー様が好きなだけ舐めてください」ポッ
うーん、どこまでもええ子やでー。
だが、背中の汗には特に効果らしいものはなかった。
仕方ない、脇だ、脇の下の汗を試そう。
20センチ以上の身長差があるので目の前にあるレイラちゃんの脇を舐めた。
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
「あややややややや、くすぐったい、くすぐったいですー!」
さすがに耐えかねたレイラちゃんが降参する。
うん、もう十分ねぶりとって飲み干したからこの辺で勘弁してあげよう。
ハァハァと荒い息をしているレイラちゃんの横で俺はしばらく自分の身体に変化が起こるかどうか待っていた。
無いな。
残念だけどレイラちゃんの汗には魔力が含まれてないようだ。
本当に残念だよ。
これでもうレイラちゃんの汗を舐める口実がなくなってしまった・・・
「レイラさん、ありがとう。とても為になりました」
「良かったです。あの・・・またいつでも舐めていいですからね」ポッ
大きな身体をクネクネさせて恥じらっていたレイラちゃんは、シャワーを浴びてきます待っててくださいねと言ってリビング右側のドアの向こうへ去っていった。
俺はまたもとのソファーに座り考えをまとめ始める。
レイラちゃんの汗では俺は救われない。
残るエマさんとローラの汗も分析する必要があるだろう。
神官のエマさんならかなり期待ができると思う。
逆にローラはああ見えてダークエルフだから魔力より精霊力になるんだろうか?
それが俺にどう影響するのか全く分からない。
闇エルフと性交した人間は死ぬらしいので下手したら汗も毒になるかもしれん。
その可能性がある以上、簡単に試すわけにはいかないな。
となると、まずはエマさんのほうからか・・・
「アレー様、お待たせしました!」
は、早い。
まだ3分ぐらいしか経ってないだろ。
レイラちゃんは足早にソファーまで歩いてきて当然の様に俺の横に座る。
真っ赤なミニスカワンピースから伸びた健康的な小麦色の長い脚が眩しい。
ほんと体のほうはメチャクチャ大人っぽくて色っぽいんだよなぁ。
だけど、この銀髪ロングストレートがよく直ぐに乾いたもんだ。
髪は洗わなかったのか他に何か理由があるのかしらんがとにかく不思議だ。
きっと童貞には分からない女の秘密があるんだろう。
「待っていてくれてありがとうございました」
「いいんですよ。僕もレイラさんとお話がしたかったですから」
「嬉しいですー」
「あの戦闘服は、女戦士が着るものなんですか?」
「そうですよ。でも、戦士に限らず冒険者の女性はよく着てますね」
「え、じゃあもしかするとエマさんも?」
「はい、エマさんは治癒のできる神官ですけど、前線で戦うこともできる神官戦士ですから」
エマさんのハイレグ競泳水着キタコレ!
早く、早く見たいっ。
6人揃った後の自己アピールタイムで絶対に着てもらおう。ムフムフムフ
「ちなみに素材は何で出来てるのかな?」
「ワイバーンの翼の皮ですよ」
「へぇ、それだと結構高いんじゃないですか?」
「そうですね。だけど戦闘服は大事ですよ。ちょっとした剣劇や打撃なら防いでくれますしお腹は急所ですから」
「確かにそうだね。僕もレイラちゃんには無事でいて欲しいし」
「あっ、今レイラちゃんって・・・」
「ゴメ、いや、すみません。ちょっとボケてました」
「いえ、いいんです。実際、私は成人になったばかりですから。子ども扱いは嫌ですけど、今みたいに親しみを込めて呼んでくれるなら・・・」
「ありがとう。じゃあ僕のことは、イクゾーって呼んでください」
「お名前じゃなくて家名で呼ぶんですか?」
「実は僕、イクゾーが名前でアレイドが家名なんですよ。僕の国では家名が先になるんです」
「えービックリですぅ。でも家名はアレーじゃなくてアレードなんですか?」
「はい、アレイドまでが家名になります」
「イクゾー・ド・アレーではなくて?」
「名前が先なら、イクゾー・アレイドになりますね」
「そうだったんですかぁ。貴族様だからてっきり家名の前にドが付いてるのだと思っちゃいました」
なるほど。皆それで勝手に俺が貴族だと勘違いしたのか。
「そういう訳ですから、これからはイクゾーと呼んで欲しいのです」
「はい、分かりました。だけど、その話し方も変えてほしいです」
「話し方?」
「私は同い年ですからそんなに気を遣わずにもっと気軽にくだけた話し方をしてください」
「そうですか、いや、そうだね。これからはそうするよ、レイラちゃん」
<レイラちゃん>の部分に思いっきり親しみを込めて言ってみた。
「うん! 私もイクゾー君って呼ばせてもらうね!」
あ、砕けた話し方をするのはレイラちゃんのほうもなんだ。
まぁその方が俺も楽だしレイラちゃんの新たな魅力が見れそうでイイよな。
ともかく、レイラちゃんとの距離がぐっと縮まった感じがする。
そう思ってたら、ササっと物理的に距離が縮まった。
レイラちゃんが俺の真横まですり寄ってきたのだ。
そして一つ大きな息をするとガバッと俺に抱き着いてきた。
あ、あの、レイラちゃん、体は完全に大人なんだから、その無邪気さは罪だよ、男を狂わせちゃうんだよ・・・
俺が悶々としているのにレイラちゃんは顔を寄せ頬ずりしてきた!
えーい、こんなんもう我慢できるかっ。
そう来るのなら俺だって好き勝手スキンシップさせてもらうぜ。フヒヒ
そしてムチムチの生足太ももに俺が手をかけようとした瞬間だった。
レイラちゃんが俺の欲情に冷や水をぶっかけるような言葉を発したのは。
「私・・・イクゾー君みたいな優しいお兄ちゃんがほしかったの」




