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「杖持たず」の旧式魔術師 〜機械音痴は手動の魔術で時代を追い抜く〜  作者: 最上 虎々
第四章 鬼の仮面

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第四十三話 オーガマスク

「ここがカルドール先生の研究室……いろいろありますね」


 部屋の中には、様々な魔導具が所狭しと置かれていた。


 壁にもびっしりと、色々な魔導具らしきものがぶら下がっていたり、立てかけられていたり。

 彼は相当な魔導具マニアらしい。


「そこの席に座ってください。……スコット先生の話をしましょう」


「そうしましょう」


 俺は、いかにも社長イスといったそれに座る。


「さて、スコット先生のことですが……どこで知ったのですか?」


「……それを教えるには、アリスちゃん以外の最高位魔術師が絡むので、カルドール先生の階級を教えて欲しいんですけど……高位魔術師だったりします?」


「いえ。私は《《準》》高位魔術師なので……直属の最高位魔術師か、その上司から紹介して頂いた方の存在しか知ることができない状況になっています」


「ああ……じゃあ、改めてアリスちゃんから直接教えてもらわないといけないことがあってしまうと思います。でも、話せる範囲で話しますね」


「分かりました。それで大丈夫です」


 俺はクルピアちゃんのことをぼかした上で、アリスちゃんからオーガマスク案件について教えてもらった経緯を話す。


「……って感じです」


「そうですか。スコット先生とは、すっかりお知り合いなのですね」


「はい。俺が話せない最高位魔術師の人と、お知り合いみたいで。あ、そういえば、アリスちゃんと模擬戦したんですよ」


「模擬戦したんですか!?」


 カルドール先生が過去一の大声で飛び上がった。


「そんなに驚きます?」


「……コホン。驚きますよ。最高位魔術師に挑む学生なんて、聞いたことがありません」


「珍しいんですね、俺みたいなの」


「そもそも最高位魔術師の知り合いがいる一年生自体、年に一人いることすら珍しいですよ」


「そうなんですね。……ちなみに模擬戦はボコボコにされて終わりました」


「そこで勝ってたら驚きのあまり気絶してるところでしたよ。……さて、オーガマスク案件についてでしたね」


「そうでした、現状分かってることだけでも、教えてもらわないと」


「……現在、テレパシストーンを嵌めた鬼の仮面を被っている輩が王都周辺を徘徊していて、事件にもなっている。ここまではお話ししましたね」


「ですね」


「問題は、彼らが何故、そんなことをしているのかです。つい昨日、スコット先生が向かわせていた密偵が、情報を仕入れて来てくれたんですよ」


「密偵なんているんですか」


「ええ。最高位魔術師の手足は、多くて困りませんから」


 アリスちゃんの密偵曰く、奴らの目的は「鬼の力を使って、最高位魔術師である『クイナ・トドメキ』を誘拐すること」とのことである。


 誘拐してどうするのか、までは分からなかったらしいが、相手を最高位魔術師としている以上、パルグレフ魔術学院も無視できない敵ということきなるだろう。


 しかし普通に考えれば、最高位魔術師一覧や、それに関する資料に目を通す機会自体が珍しいものであり、仮に資料を読んでいたとしても、実在しない可能性がある最高位魔術師を狙うとは、考えにくいものである。


 ここまで出た情報だけで考えても、まず前提からして、奴らが「クイナ・トドメキ」の実在を確信できる情報を掴んでいるか、或いは彼女に直接会ったことがある人物が鬼の仮面を被った集団の中にいるか、どちらかは確定事項になる。


「なるほど……。カルドール先生は魔術師クイナに会ったこと、ありますか?」


「いえ。魔術師クイナの存在自体、スコット先生から教えて頂いたので」


「….…アリスちゃんに頼んだら会わせてくれるのかな」


 人前に姿を現すことが滅多に無いと書かれていたが、聞いてみるだけ聞いてみよう。


 守るべき対象がいるというのに、それが誰なのか分からないのでは、守れるものも守れないだろう。


 ……とは思ったが、護衛の方は近衛的な存在に任せておくつもりなのだろうか。


 人前に姿を現さないということは、慎重な性格なのだろうか。


 そうなのであれば、限られた信じられる仲間或いは部下以外の前に姿を現さないことにも納得できる。


「……現状、分かっていることはこのくらいです。他に何か質問はありますか?」


「大丈夫です。いろいろ、ありがとうございました」


「いえ。協力者が増えるのはありがたいことですから。それではまた、来週の講義でお会いしましょう」


 それから俺は、アリスちゃんとクルピアちゃんに魔術師クイナとカルドール先生の話をするため、たどたどしく通新端末を操作し、二人を俺の部屋へ集めるのであった。

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