ミニコラムの続きです。
春秋時代と戦国時代の区分は諸説あります。有力なのは晋が分裂して、趙・魏・韓の3国になった時です。紀元前475年の出来事です。
他の説として、孔子が記した歴史書「春秋」が終わった時代という説も有力です。これは、紀元前481年頃の出来事です。
この時期、魯は弱体化してましたが、特に何があったという年でもなかったので、孔子は「麒麟を得た」という締めくくり方をしています。
これは伝説の幻獣である麒麟が現れるといいことがある。国をよく治めた君主の前には麒麟が現れるといいます。つまり、吉兆であるという事です。
要するに、春秋の最後は孔子の願望のフィクションで締めたという事ですね。麒麟の御姿は、現代でも某有名なビール会社の製品のお陰で見ることができます。
国を安定させて麒麟を見たいという願望は現代まで受け継がれているんですね。例えば(たとえば)、2020年の大河ドラマの主題にもなりました。
中国だけでもなく日本でも乱世が起きると「平和な世になって国が正しく治まって欲しい」という強い願望が現れるのですね。その象徴が麒麟なのです。
なお。中国の道教には古くから陰陽五行思想という考え方があるのです。これは東西南北の方位ごとに対応する色と対応する幻獣がいるという事です。
「東は青色で青龍」「南は赤色で朱雀」「西は白色で白虎」「北は黒色で玄武」という順になっています。
しかし、それだけではありません。「中央は黄色で麒麟」という特別な配置があるのです。だから「黄色は中央を表すから特別な色である。だから黄色の服は皇帝しか着用をゆるされない」「五行説の幻獣はそれぞれ尊いが麒麟が最上位に位置する」というルールになっているのです。
孔子が最後に歴史書の春秋で「麒麟を得た」と書いたという事は「その後は安定した世の中になった」という意味なのです。
しかし、実際は春秋時代が終わると、戦国時代という血みどろの争いが繰り広げられる時代になります。戦国七雄という7つの国が相争うのですね。
どの国も名君や名臣が登場する時は隆盛するのですが、彼らが亡くなると国ごと衰退してしまいます。
最初に強国となったのは魏国でした。名将呉起の活躍などがあったからです。
その次は名将の孫臏の活躍により斉が台頭します。さらにその次は趙の武霊王が胡服騎射を取り入れ強国化します。
韓は弱小ながら、昭侯の時代に法家の思想家である申不害を宰相に登用し、変法を行いました。
その後には秦国が商鞅の変法により改革を成功させます。
結局、最後に生き残るのは、人に頼らない優れた仕組みを作った秦国なのですが、その仕組みも統一後すぐに破綻してしまいます。
じゃあ、最終的に勝ち残った王朝は?というと戦国七雄のいずれでもなく、劉邦という庶民が成り上がって作った、漢だったりします。
しかし、全ての王国は死んだが民衆はしぶとく生き残った。本当の勝者は民衆なのかも知れませんね。