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双鏡の君へー姿を変える幼馴染との恋と、残したい記憶ー  作者: ゆら。


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第六話 半歩ずれたままの通学路


琴葉「おはよう」


敦「おっす。おはよう」


それだけで、昨日の雰囲気は一回引っ込んだ。


並んで歩き出す。


通学路。見慣れた景色。


琴葉は、いつも通りなつもり。


——半歩、遠い。


琴葉「……ん?」


立ち止まらない。


理由も考えない。


ただ、歩幅が噛み合ってない感覚だけが、引っかかる。


敦も違和感。


敦は一度だけ琴葉を見る。


すぐ前を向く。


歩幅を少しだけ広げた。


理由は考えていない。


琴葉「……昨日、ありがとな」


前を向いたまま。


敦「ん。普通だろ」



それで終わる……はずだった。


「おーい!敦!」


背後。


元気すぎる声。


敦「……あ」


友人Aが追いついてくる。


友人A「なぁ敦、昨日さ」


敦「……?」


心臓、嫌な跳ね方。


友人A「女の子と一緒じゃなかった?」


——止まる。


音が一段、消える。


敦(終了)


隣の気配が止まる。


琴葉「……女の子?」


首をかしげる。


本気で分かってない顔。


敦(その顔やめろ)


友人Aは続ける。


友人A「距離、近かったよな。並んで歩いてて」


手で距離を作る。


友人A「くっつきそうで、くっついてない感じ?」


やめろ


琴葉「へぇ……」


口角、ちょっとだけ上がる。


琴葉「敦、そんな人、居たんだ」


軽い。


軽すぎる。


敦は琴葉を見る。


敦(お前だろ!)


目で訴える


——届かない。


琴葉は首を傾げるだけ。


友人A「しかもさ」


まだある


友人A「手、つないでたかと思ったわ」


敦「…………違っ」


一拍。


胸の奥で、昨日が再生される。


指。


体温。


一瞬。


……つないでたわ


虚無顔。


外に出たのは、遅い声。


敦「……いや、その……」


隣で、琴葉が一拍遅れて。


琴葉「……ふーん」


短い相づち。


空気が、すっと冷える。


敦(誤解だ)


琴葉「へぇ……」


少し考える間。


琴葉「……意外だなぁ」


にこっと笑って、前を向く。


敦(その顔やめろ)


歩き出す三人。


友人Aだけが賑やか。


——“普通”の朝は、

何も知らない片方と、

全部思い出してしまった片方のまま、


静かに崩れていった。



ここまで読んでいただきありがとうございます。


敵は外から来るとは限りません。


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