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4:裏切り
「ねぇ萱野君…暗くなってきたし、そろそろ帰ろっか。」
瑠奈は周りの雰囲気がおかしいと感じて、早く校舎に入ろうと扉に向かって歩き出した。
――その瞬間、瑠奈は足を止めた。
突然一樹に、手首を握られたからだ。
一樹に手を捕まれた瞬間、体中を嫌なものが流れた。
少しずつ、心臓が速くなっていくのが分かる。
心が逃げろと言っているのも…
「かやの…くん……どうしたの?……手…離して…。」
それでも瑠奈は、語りかけるように話した。
相手はクラスメート。
――そんなはずない。
そう信じたかったから……