表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は寄生体(エリクシール)である  作者: おひるねずみ
第二章 エルキア王国編
33/42

第三十二話 二度目のレベルアップ

 狙い目は、ステータスが低いアクビの方だ。

 力を抜いて自然体で歩き、手の届く範囲の三倍程の距離になった所で、アクビにボディチャージする。

 そのままアクビは受け止めるが、俺は体当たりの勢いを利用し、体を捻って両腕をハンマーの様に使い、アクビの耳元に目掛けて思いっきり振り切った。

 アクビはヨロヨロと二歩下がり、俯けに倒れるが、片割れのボッゴラが俺の隙を見逃さなかった。

 横に回り込んだボッゴラが、俺の横腹に右ストレートをお見舞いし、その痛みが全体に広がり、脳まで浸透した。

 痛みを振り払うが、ボッゴラが腰に飛びついた反動で地面に倒れてしまい、簡単にマウントポジションを取られてしまった。


「へへっ、ボコボコにしてやるぜ」

「やってみろ! 屑が!」


 売り言葉に買い言葉で、ボッゴラに唾を吐きかけ挑発した瞬間、怒涛のラッシュが俺に向け、開始された。


「エリクお兄ちゃんに乱暴しないでぇ――――――!」


 アリスの悲痛な叫びが洞窟内に木霊するが、虚しく響くだけだった。

 周りの捕らわれた人達も揃って声を上げるが、モヒカンが脅しをかけ、瞬時に静まらせていく。

 ボッゴラが調子に乗って俺を幾度なく殴っているが、後ろから忍び寄ったリナの渾身の一撃を貰い、ボッゴラに隙が出来る。

 だが、俺の体は重りが巻きついたように、身動きが取れない。

 ボッゴラの睨み殺す視線が、リナに向けられ、俺へのマウントポジションを解除し、ボッゴラがリナを殴りつけた時だった!


「おい! 誰がその女を殴っていいと言った! 商品に傷をつけるんじゃねえよ! 他の奴なら構わねえが、その女には手を出すな! お頭がブチ切れるぞ!」

「ス、スイマセン、アニキ……」


 モヒカンの罵声に、ボッゴラが委縮していた。

 どうやら、こいつ等にとってリナは特別な存在の様だ。


「ボッゴラ! そこのダウンしてるアクビを連れて、とっとと牢屋から出ろ!」


 モヒカンの命令で二人が牢屋から退出したのを見計らい、モヒカンが牢屋の鍵を閉めた所で倒れている俺と目が合った。


「お前、その状態で手下の一人を倒すなんてやるな。どうだ? 俺達の仲間にならないか? 仲間になるんだったら歓迎するぜ?」


 無精ひげを擦りながら、薄気味悪い顔をして、語り掛けてくるモヒカン。

 正直、ボコられた後だから胸糞悪い。


「女性に乱暴を働く様な奴らの仲間になんて、死んでもなりたくないね」

「カアァー。いい、いいなお前。気に入ったぞ! 他の奴同様、明日から調教してやるから覚悟しろ!」


 モヒカンが捨て台詞を吐き捨て、アリスを連れながら牢屋から離れて行った。


 上半身と頭に激痛が走って、息をするのも辛く、しばらく動けそうも無い。

 フゥー、とりあえずEPを使う場面を見られずにすむ。

 もし使用して傷を癒す場面を見られたら不振に思うからな。

 絶対に俺の事を利用するに決まってる。

 取りあえず、リナを助けないと。

 ボッゴラに殴られてから、今まで反応が無い。

 リナの治療するついでに、強さも確認してみよう。


 名前:リィナベル・V・ウィンディー♀

 種族:人間

 職業:不明

 レベル:45

 ランク:Fクラス

 HP:51/80↓

 MP:240/240↓

 STR:36↓

 VIT:30↓

 INT:95↓

 MND:90↓

 状態異常:気絶


 状態異常がある時は表示されるのか。

 矢印は、ステータス低下中なんだろうな。

 あれ? 職業不明? 今の状態があやふやだから、元の職業が表示されないのかも知れない。

 俺のステも確認して見よう。


 名前:エリクシール♂

 種族:液体人間

 職業:不明

 レベル:99

 ランク:Eクラス

 HP:42/265

 MP:70200/70200

 EP:174/200

 STR:48

 VIT:47

 INT:95

 MND:100098

 スキルポイント:70


 おうふ、無名の王様が不明になってる。

 これは、あれか! 状況次第では奴隷にもなるって事か! ヤバイ、マジヤバイ! 多分、今が瀬戸際だ。

 このまま助けが来なければ、奴隷に落ち、救援が来てくれれば王様になる。

 すげぇ……極端すぎる……神様絶対楽しんでるだろ、コレ。

 いや、そんな事より、この場所を知る事が最優先事項だ。

 スキルの中に現在位置が分かるスキルがあるはずだ。

 頼むぞ! スキル検索。MAP! するとスキル名が脳内にぞろぞろと検出された。

 結構あるな……これがそうかな?


 バシップスキル『マッパー』必要スキルポイント10

 現在位置の特定、通った事のあるMAPの記憶。東西南北が表示されるようになる。

 迷子の人の心の友。必須スキル。


 あったぜ! 迷うことなく習得!

 次に、この場所はどこだ! マッパー様、お願いします。

 すると、脳内にマップ画像が表示され、現在位置が判明する。

 おお……見える、見えるぞ!  ヒベルズ廃坑B2X2Y5。

 大きさX1~6、Y1~6。


 あ、はい。本当に、どこだろうねココ? だが! 全て予定通りだ。

 俺が知りたかった情報も記載されていた。

 俺がここへ連れて来られた道筋が、綺麗にMAPに描かれている。

 これを辿れば、外に出られるって寸法よ! 手段を増やす事で、逃げれる確率が上がるはずだ。

 

 よし、次に今は傷を治す事にしよう。

 リナの方に回復霧ヒールミストを飛ばして、どうやって治療したのか分からない様にしておき、自分自身は細胞を活性化させ、自然治癒力を今可能な極限の状態まで高めて回復に努めた。

 観察して見ると、回復霧の方に包まれたリナは緑色の発光を放っているが、俺自身は発光していない。まるで何事も無かったかの様に傷が完治していく。

 回復霧が肌に触れた場所から、効能を発生させている間、緑色の発光を発生させているのかも知れない。

 俺自身は体内に原液があるから、光が漏れ出さないのかも知れないな。

 自分自身に使用しているのが分からないなら、場合によってはドンドン使って行こう。


 自分の傷が治った所でEPの消費量を見てみると、たったの三しか減っていなかった。

 最初のリナに飛ばした回復霧で二、細胞活性で一。

 予想以上に、エコロジー過ぎて泣けてきた。

 これなら半分位までなら使用しても、全然大丈夫そうだ。


「う、う~ん。あれ? 痛みが消えてる?」


 治療が終わり、数秒したらリナが意識を取り戻し、上半身を起こして頭の痛みが無い事に驚いてる。

 そして、もっと驚く場面を見たのか、俺を観察して目を大きくしていた。


「エリク! アナタ、殴られていた箇所の傷跡が見当たらないんだけど!? 魔法も使えないのに、いったい何をしたの!?」

「それはですねって、ちょ、目に毒なのでそれ以上近づかないで下さい」

「今さらでしょ! さっきまで散々見ていたくせに!」


 勢いよく近づいて来るリナ。

 揺れてる部分があり、本心は眼福なのだが、それは言わないのがお約束。

 本当の事を問いただそうとしているリナを、誤魔化せそうにないのでネタ晴らしする事にした。


「にわかに信じられない話だけど……傷や痛みも消えてるし、信じる事にするわ」

「誰にも言わないで下さいよ。死活問題になるので……本当に頼みます」

「エリクの弱みを握った気分ねぇ、少し気分がいいわ。心配しなくても大丈夫、傷を治して貰った事でチャラにするから、他言はしないわ」


 俺の感なんだが、リナの事は信用できそうだ。

 雰囲気を和ますためにワザと、ああいった言動をしてる気がする。

 同じ牢屋に入った仲間だ、隠し事をしても仕方ないな。

 全てリナに話そう。


「リナ。俺の考えた作戦があるんだけどさ、何も言わず従って欲しい。もしかしたら、ここから逃げれるかもしれない」

「ふ~ん。面白そうね、あたしに聞かせてくれるかしら?」

「ああ、全部話すよ」


 俺はリナに考えている作戦を打ち明けた。

 リナは食い入るように聞き、時折、疑問に感じた事を説明してと、催促してくるが「なるほど」と頷き、俺の作戦に理解を示してくれた。


「作戦は分かったわ。今は、何もせず待機してればいいのね?」

「ああ、下手に動くと、どう転ぶか解らない。今日一日は、ジッと耐えよう。途中で変更するかもしれないが、そこは臨機応変に」


 作戦をリナに伝え終え、俺は今やれる事を思考する。

 EPを使って、鍵穴に水を入れ水を固体化させる事が出来れば、脱出は用意だろう。

 問題があるとすれば、盗賊の数、規模の大きさだ。

 牢屋の外にある出入口付近には、看守が二人立っている。

 その二人は、手錠さえ無くなれば魔法で遠距離から攻撃が可能だ。

 リナは俺が睨んだ通り魔法使いで、二人くらいなら大丈夫と言ってくれた。

 その間に俺が他の捉えられた人を助けて、戦力を増強する。

 けどそれは最終手段であって、まだ決行する時ではない。


 今現在の時間は「十月二十四日十六時五七分」をまわった。

 酒場にいた時から五時間以上、時間が経過した事になる。

 今頃、ナーヤや兵士達が俺の事を探し回っているだろう。

 もしかしたら、探索隊が編成されて国の周辺も探している可能性もある。

 パラチやナーヤに連絡したいのだが、遠すぎるのか脳内会話をする事が出来ない。

 恐らく、連絡できる範囲が狭いと考えられる。

 これも、実験して距離を把握しないといけないな。

 

 さて、今ある時間を使ってスキルを習得する事にしよう。

 俺は回復魔法のスキル習得した後に、考えていた事がある。

 0ポイントで習得できるスキルがまだあると睨んでいたのだ! というか、絶対ありそう。あの神様なら絶対やる! 

 0ポイントで検索すると、合計六個のスキルが脳内に表示された。

 どんだけ意地悪なの、あの神様は! あ、俺が不機嫌になったのでリナが不思議そうに顔を覗き込んで来る。

 貴方は関係ないんです。

 全て神様が悪いんですよ。 


「どうしたの? お姉さんに言ってみなさい」

「リナ。近くにいる事はいいんだけど、胸が当たってますので……ほんの少しだけ、離れてくれませんか?」


 クスクスと艶のある笑みでリナが微笑んでいる。

 妙に色っぽいな、だが、俺はこの誘惑に負ける訳には行かない。

 俺にはナーヤがいるんだぁぁー! 決して負けないぞぉぉー!


「あれぇ~? 普通なら、このまま押し倒されるはずなのに…………そっか、そっか。エリクには彼女がいるね?」

「ぶっ!? ちょ、直球すぎますよ……まあ、当たってますが……」

「ふふふっ、その様子ならまだ付き合い始めたばかりの様ね。もし、脱出できたら恋人枠に無理矢理入り込ませて貰うことにするわ」

「待ってください。そんな事されたら、俺が殺されてしまいます! 超強そうですから、リナもタダでは済みませんよ?」

「おい! うるさいぞ! 捕まってんだから静かにしやがれ!」


 看守二人が怒鳴りながら、牢屋に近づいて来る。

 牢屋の前に辿り着き、俺達の様子を見て更にイライラしていた。

 それもそのはず、リナが俺の後ろから抱き着き、誘惑しようとしているのだから。

 看守の一人が、今にもブチ切れそうになっていたが、もう一人の看守が肩を叩き。


「やめとけ。さっき、モヒカンの兄貴が怒鳴って警告しただろ。下手したら親分が切れるぞ? そうなったらお前、良くて半殺しか下手したら死ぬぞ?」

「うっ! そいつは割に合わねぇ……」

「分かったなら、怒りを抑えて持ち場に戻るぞ」


 冷静な看守一人が、怒り狂った看守を落ち着かせ、元の持ち場に帰って行った。

 看守二人が短気だったら、ボコられたに違いない。


「ハァ~、冷静な奴がいてよかったよ。盗賊にも、いろんな奴がいるんだな」

「そうねぇ……中には、なりたくてなった訳ではない人もいるから、複雑ねぇ。盗賊に身を落とす直前までに、救えればいいのだけれど世の中は残酷だから、うまくいかないわ」

「まるで、救いたかった人が盗賊になってしまった場面を、見て来た感じの喋り方だな」

「色々あるのよ、乙女の秘密だからエリクでも教える事は出来ないわ」

「そうか。訪ねたら失礼そうだから、聞くのは止めておくよ」


 色々と邪魔が入ったが、今の内にスキル習得をする事にする。

 0ポイントで習得できたのは次の通り


 バシップスキル『水圧上昇LV1』水魔法の威力が微上昇。


 バシップスキル『回復力上昇LV1』回復魔法の効果が微上昇。


 バシップスキル『水耐性』水の耐性を得る。


 バシップスキル『水中呼吸』水中の中でも呼吸可能。


 バシップスキル『水圧抵抗』水の中でも速度が落ちない。


 アクティブスキル『水魔法』水魔法が使用可能。


 見事に水関係ばかりだ。

 俺は遠慮する気は無いので、タダで貰える物は全て貰っておく。

 後は残りのスキルポイントを使用して、今後に有用そうなスキルを吟味して覚える事にしよう。

 習得可能のスキルを見ていると、よさげなスキルが沢山あって目移りする。

 どれにしようか迷っている所に、突然アナウンスが鳴り響く。


(パラチ様からの経験値のギフトが届きました。これによりエリク様のレベルが102上昇します。エリクがレベル201にレベルアップ!)


 ちょ!? パラチ君。君、エミリア姫の為に張り切り過ぎてませんか? S級の討伐に向かわせたけど、どんだけ派手に暴れてるの? 次のカンストまで、すぐだと思うんですが。

 アナさんもアナさんで、ひとつずつ報告するのが面倒なのか、端を折って報告したな。

 俺もアナさんの立場だったら、同じことをするだろうから、気にしたら負けだ。

 タイミング的にもバッチリだったし、狙っていたのかも知れない。 


 バシップスキル『氷結力上昇LV1』必要スキルポイント1

 氷魔法の威力が微上昇。


 バシップスキル『詠唱破棄』必要スキルポイント100

 詠唱無しで魔法を行使できる。


 バシップスキル『生物探知』必要ポイント10

 生命の場所を探知できる。範囲はMP依存。


 アクティブスキル『氷魔法』必要スキルポイント1

 氷魔法が使用可能。


 必要なスキルは、これ位かな。

 これからも役立ちそうだし、何よりもお金を必要としない所が良い。

 他にも欲しいスキルがあったのだが、お金を必要とした為、諦めざるを得なかった。

 盗賊共め、覚えてろよ! お金の恨みは恐ろしいぞ。 

 今頃、酒盛りの準備をしているに違いない。

 俺の持ち金、大金貨百四十九枚を手に入れたのだから。


 なので、逃げ出すには今夜がチャンスだろう。

 救出に来なければ、酔いつぶれた所を逃げる予定だ。

 今現在のステの確認もしないといけないな。


 名前:エリクシール♂

 種族:液体人間

 職業:不明

 レベル:201

 ランク:Eクラス

 HP:500/500

 MP:70404/70404

 EP:188/202

 STR:93

 VIT:92

 INT:158

 MND:100161

 スキルポイント:50

 

 バシップスキル

 『劣化版不老不死』『五感制御』『上限突破』『原液の共鳴』『脳内時計』

 『マッパー』『水圧上昇LV1』『回復力上昇LV1』『水耐性』『水中呼吸』

 『水圧抵抗』『氷結力上昇LV1』『詠唱破棄』『生物探知』


 アクティブスキル

 『回復魔法』『水魔法』『氷魔法』


 あ! ステータスの増え方は予想通りだけど、ランクがEになってる。

 今なら寄生が成功するかもしれないから、ちょっと実験して見るか。

 

 俺はEPを使い霧噴出させて、怒り狂っていた方の看守に寄生し、操れるかを試してみた。

 結果は、少し動きを鈍らせる位で、全身支配には程遠かった。

 看守が不思議がっていたので、早々に切り上げる事にする。

 バレる事は無いと思われるが、警戒されたら都合が悪い。


 次に試すのは生物探知だ。

 脳内で生物探知をONにすると、脳内マップ上、複数の生物が固まったり、転々と存在していたりと、大まかな位置取りが表示された。

 細かく転々と生物が固まったりしている場所があるが、恐らくこれは人では無く、小型の生物だろう。

 細かい点と俺自身やリナと比べると小さすぎる。

 推測するに蝙蝠あたりか? そうすると人の大きさをした〇マークが五十以上、存在するのが分かった。

 牢屋にいる人数は、俺を合わせて二十一人。

 その中で戦えそうなのは三人といった所だ。

 盗賊がさっき戦った奴らばかりなら、遠距離で魔法を連射すれば行けるかも知れない。

 実質、俺一人でどうにかなるかも。

 いやいや、油断は禁物だ。

 盗賊の頭が、どれ程の力を持っているのか分からないからな。

 今は、大人しくして爪を隠しておこう。

手錠は魔法だけ封印しているだけで、EP消費するスキルは使用可能になっています。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ