不幸の先
激しい頭痛に襲われた俺はその場に座り込んだ。激しい痛みになぜだか思考ができない変わりに映像が頭の中に流れてくる。
盗賊が村を襲っている、縛られ集められる村人、別室に連れて行かれる女達、ご機嫌に宴を挙げる盗賊たち。
断片ずつであるがこれから起ころうと出来事が生々しく頭の中に流れていく。
「さぁ、今日一番活躍した、ぼくちゃんにご褒美をあげないとなぁ」
鼻の下を伸ばした俺がいる。村の住人は鬼の形相で俺を見ている。
「ほらよっと」
盗賊の手下が薙ぎ払った短剣がおれの太腿をざっくりと切り血が噴出す。
「酔っ払ってるんじぇねーか、この下手糞」
盗賊が笑っている、身の危険を感じてか床に這いつきながら外に出て行く俺。
「とどめ刺さなくていいのかよ」
「あの出血じゃすぐくたばるだろうよ、酒の変わりはもうねーのか」
盗賊共が下品に笑っている。
「よし明け方までにずらかるぞ、お前ら、油は見つかったか」
「ここに有りますよ、乾燥してるし、よく燃えそうだ」
盗賊の首領と手下が話している。
その後、集められた家に火を放つ盗賊たち
「もういい、止めてくれっ」俺は叫んだが頭の中に映像が流れてくる、気が狂いそうだ気分が悪い。
場所が変わっている、どこだここは、あぁ、この石畳の模様はこの近辺で一番大きい城塞都市カエカか、なにやら人が集まっているだ。
強制的に嫌な物語を見せられて、一時半狂乱になりかけた俺だが、これには参った。
絞首台におれがいる
「被告名、ロハッカ、村に逆恨みをして盗賊を村に招き・・」
法服を着た偉そうな老人が羊皮紙をなにやら読み上げている。
「死ねっ」
「人でなし」
民衆がおれに向かって石を投げている、
「もううんざりだ、勘弁してくれ」
俺は涙やら鼻水やらで、ぐしゃぐしゃになった顔に両手を当てる。
「これは君の未来の出来事だ、これでいいのかい」
頭の中に聞いたことの無い声が響く。
「いやです、許してください」
俺は泣きじゃくりながら、嗚咽の中から小さな声をやっと出し答えた。
「僕もこの村から死人をだしたくないんだ、約束でね」
「それに不作で君の家が借金を作ったのも僕が一部原因だし力を貸すよ」
なにやらこの声の主は人の家庭の事情に詳しいようだ。
たしかに、ここ数年の不作で村の全体が借金を作っていたようだ、父の会話を聞いたことがある。
「ほらこの剣を取りな、元々これは君たち人のものだ、受け取りなさい」
なんのことやら、きょとんとしていると、目の前に剣の柄が刺さっている。
「それは英雄が使っていた剣さ、僕は名誉ある生涯を遂げたと思っているが、彼は満足でないようだった、まぁ彼も人の為に使ってくれと言ってたし、君が使えばいいと思うよ、清い体なら使いこなせるはずさ、じゃあ力を使い過ぎて眠くてしょうがないから僕はこれで消えるとしよう、頑張って」
後半は本当にあくびを我慢しているよう声だった。もう映像が見えることも声が聞こえることもないだろう、頭がスッキリとしているのがわかる。
俺は深呼吸をして声の主の言うことを聞こと思った、あんな未来にしちゃ駄目だ、俺は涙を拭く。
「急にしゃがんでどうしたんだ」
盗賊の声で気づくと時間がたっていないのが解った。
やることは決まっている、この剣を使って未来を変えるんだ。




