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旅する先生と、世界の教室  作者: 最後に残った形


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第62章 第3話:次の係が三行を受け取り直す部室――違う台本で読むタイミングを見る


 演劇部の部室には、いつもより少し厚い台本が置かれていた。


 表紙には、鉛筆で小さく題が書かれている。


『帰り道の二人』


 短い一人語りではなかった。


 二人の会話が続く場面だった。


 言葉の途中で、気持ちが少しずつ変わる。


 片方が強がり、もう片方が気づかないふりをする。


 声の温度が、台詞の途中で何度も揺れる。


 机の上には、係用ノートが開かれていた。


 表紙には、柊から見せてもらった札がある。


『準備前に読む三行』


* 台詞の場所を一つ見る

* 長くなりそうなら戻し時間へ置く

* 体験者へは短く返す


 その下には、前に一緒に見せてもらった跡が残っていた。


『係用ノートを準備前に読めなかった』


『忙しい時に理由を確認する余裕がなかった』


『係の返しが一度長くなり、体験者が少し迷った』


 次の係は、そのページを見つめていた。


 第61章で、柊は三行だけを渡さなかった。


 なぜ三十秒読むのか。


 なぜ迷ったら戻し時間へ置くのか。


 なぜ体験者へは短く返すのか。


 その理由が伝わるように、開けなかった跡も一緒に見せてくれた。


 今日は、その三行を、次の係が自分の担当する台本で使う日だった。


 部室の窓の外では、夕方の光が斜めに差していた。校庭からは、片づけの声が遠く聞こえ、床に置かれた椅子の影が長く伸びている。鏡の前には、白いテープで立ち位置が示され、机の上には戻し時間カードと、小さな札が置かれていた。


『迷ったら戻し時間』


 柊は、見せた側として少し離れたところに座っていた。


 莉央は時間表を持っている。


 真帆は部活ノートを開いていた。


 紬は、体験者役の反応を見るために、鏡の横に立っている。


 村瀬先生は、部室の後ろで静かに見守っていた。


 白瀬灯理は、窓側に立っていた。


 黒い上着に、使い込まれた革の鞄。


 灯理は、係用ノートの三行と、今日の厚い台本を静かに見比べていた。


 次の係は、体験開始前に、係用ノートの表紙を声に出して読んだ。


「台詞の場所を一つ見る」


「長くなりそうなら戻し時間へ置く」


「体験者へは短く返す」


 莉央が時間表を見て言った。


「三十秒で読めています」


 次の係は頷いた。


 短い台本なら、この三行だけで体の中に支えが残る。


 前に練習した一文の台詞では、体験者の一語とひと場所を受け取り、短く返せた。


 今日も、同じようにできると思った。


 体験者役の一年生二人が、台本を手に取った。


 一人が読み始める。


「――だから、別に待っていたわけじゃない」


 もう一人が続ける。


「でも、傘は二本持ってきていたんだ」


「たまたま」


「たまたま、二本も?」


「……濡れるよりは、いいだろ」


 短い沈黙が落ちる。


 窓の外を見ているような台詞。


 強がっているようで、少し照れているようにも聞こえる。


 体験者役の一人が、読み終えてから口を開いた。


「えっと、やさしい、です。『傘は二本持ってきていたんだ』のところと、『濡れるよりは、いいだろ』のところです」


 次の係は、少し迷った。


 三行には、台詞の場所を一つ見る、とある。


 体験者は、二つの場所を出した。


 どちらも大切に聞こえる。


 最初の場所は、行動が見える。


 二つ目の場所は、気持ちが揺れている。


 係は、返そうとして言葉を探した。


「やさしい、という一語が出たのは、傘を二本持ってきたという行動のところと、それをたまたまと言いながら、最後に濡れるよりはいいだろって言うところに、直接言わない優しさがあって……」


 言いながら、少し長くなっていることに気づいた。


 体験者役の目が、台本の二か所を行ったり来たりする。


 どちらを見ればいいのか、少し迷っている。


 机の上には、『迷ったら戻し時間』の札がある。


 次の係は、そこで言葉を切った。


「ごめんなさい。今は一つにします。今日は、『傘は二本持ってきていたんだ』のところを見ます」


 体験者役は、ほっとしたように頷いた。


「あ、はい。そこです」


 係は短く返した。


「そこに、先に用意していた優しさが見えました」


 部室の空気が少し戻った。


 けれど、次の係の胸には、小さなざらつきが残った。


 三行は助かった。


 体験者へ短く返すことも、戻し時間へ置くこともできた。


 でも、今日の台本では、体験者が複数の台詞を選びそうになる。


 係も、返す場所を一つ選ぶのに迷う。


 三行だけでは足りないというより、三行を働かせるために、自分の台本ではもう一つ、準備前に見ておいた方がよいことがある。


 最初の返しを一文で止めること。


 返す場所を一つ選ぶこと。


 複数出たら、今日は一つだけ、と戻すこと。


 次の係は、白瀬灯理を見た。


「先生、柊さんから見せてもらった三行は助かりました。でも、今回の台本は会話が多くて、体験者も係も見る場所が増えそうでした。三行を守るだけでなく、私の場では最初の返しだけ準備前に見る形へ置き直したいです」


 灯理は、次の係の言葉を静かに受け止めた。


 そして、問いを返した。


「うん。では、見せられた説明の手入れを自分の場で受け取り直すことは、見せられた三行を同じ時間で読むことなのでしょうか」


 見せられた三行を、同じ時間で読むことなのか。


 次の係は、係用ノートを見た。


 三行は、確かに助かった。


 台詞の場所を一つ見る。


 長くなりそうなら戻し時間へ置く。


 体験者へは短く返す。


 この三行は、今日も必要だった。


 けれど、自分の台本は、前の短い台本とは違う。


 会話が多い。


 感情が変わる場所が二つある。


 体験者が複数の台詞を選びそうになる。


 そこで、三行をそのまま守るだけではなく、この台本で迷いやすい最初の返しを、準備前に少しだけ見る。


 体験者への説明を増やすのではない。


 台本全体の理由を長く読むのでもない。


 係の中で、最初の返しを一文にするための小さな足し方だった。


 真帆がホワイトボードに新しい紙を貼った。


『説明の手入れを自分の場で受け取り直す』


 村瀬先生が言った。


「では、見せられた手入れと、自分の台本で見えた違いを分けてみましょう」


 次の係はペンを持った。


 まず、見せられた手入れ。


 柊が係用ノートを開き、三行を読んだ。


「準備前に読む三行」


「台詞の場所を一つ見る」


「長くなりそうなら戻し時間へ置く」


「体験者へは短く返す」


 次の係が書く。


『見せられた手入れ:準備前に読む三行。台詞の場所を一つ見る。長くなりそうなら戻し時間へ置く。体験者へは短く返す』


 次に、自分の台本。


 次の係は、『帰り道の二人』を開いた。


「会話が多い台本」


 紬が続ける。


「感情の変わる場所が二つある」


 莉央が言った。


「体験者が複数の台詞を選びそう」


 書く。


『自分の台本:会話が多い台本。感情の変わる場所が二つある。体験者が複数の台詞を選びそう』


 次に、同じように使うところ。


 柊が言った。


「体験開始前に三行を読む」


 紬が続ける。


「体験者へは一語とひと場所を頼む」


 次の係が言った。


「長くなりそうなら戻し時間へ置く」


 書く。


『同じように使うところ:体験開始前に三行を読む。体験者へは一語とひと場所を頼む。長くなりそうなら戻し時間へ置く』


 次に、足すところ。


 次の係は、少し考えた。


「準備前に、『最初の返しは一文で止める』を見る」


 真帆が頷いて書き写す。


 次の係は続けた。


「会話が多い場面では、係が返す場所を一つ選ぶ」


 紬が言った。


「複数出たら、『今日は一つだけ』と戻す」


 書く。


『足すところ:準備前に「最初の返しは一文で止める」を見る。会話が多い場面では、係が返す場所を一つ選ぶ。複数出たら「今日は一つだけ」と戻す』


 次に、足さないところ。


 村瀬先生が尋ねた。


「足すことで、入口が重くなりすぎないように、足さないところも決めましょう」


 次の係は、鏡横の短い札を見た。


『まず、感じた一語と、見た台詞の場所を一つだけください』


「体験者へ説明する言葉は増やさない」


 莉央が続ける。


「台本全体の理由を体験前に長く読まない」


 書く。


『足さないところ:体験者へ説明する言葉は増やさない。台本全体の理由を体験前に長く読まない』


 次に、まだ見るところ。


 真帆がペンを持って待つ。


 次の係は言った。


「三十秒で足りるか」


 紬が続ける。


「会話の多い台本でも体験者が迷わないか」


 柊が言った。


「係の返しが長くならないか」


 書く。


『まだ見るところ:三十秒で足りるか。会話の多い台本でも体験者が迷わないか。係の返しが長くならないか』


 次に、変える理由。


 次の係は、台本の会話部分を見た。


「会話が多く、見る場所が増えやすい」


 紬が続ける。


「三行だけでは最初の返しで迷いそうだった」


 柊が言った。


「体験者の入口は重くしたくない」


 書く。


『変える理由:会話が多く、見る場所が増えやすい。三行だけでは最初の返しで迷いそうだった。体験者の入口は重くしたくない』


 最後に、返す声。


 次の係は、柊を見た。


「三行は助かった」


 柊が静かに頷く。


 次の係は続けた。


「会話の多い台本では、最初の返し一文も準備前に見ると助かった」


 紬が言った。


「体験者への説明は短いままでよかった」


 書く。


『返す声:三行は助かった。会話の多い台本では、最初の返し一文も準備前に見ると助かった。体験者への説明は短いままでよかった』


 村瀬先生は、新しいカードの形を整えた。


### 説明の手入れを自分の場で受け取り直すカード


#### 受け取り直す時


* 次の係から説明の手入れを見せてもらった

* 整えた言葉と開けなかった跡を聞いた

* 自分の台本で試す

* 同じように使えるところがある

* 少し足した方がよいところがある

* 増やしすぎないようにしたい


#### 一緒に見ること


* 見せられた手入れ

* 自分の台本

* 同じように使うところ

* 足すところ

* 足さないところ

* まだ見るところ

* 変える理由

* 返す声


#### 説明の受け取り直し欄


* 見せられた手入れ:

* 自分の台本:

* 同じように使うところ:

* 足すところ:

* 足さないところ:

* まだ見るところ:

* 変える理由:

* 返す声:


 真帆は、今日の欄を清書した。


### 説明の受け取り直し欄


* 見せられた手入れ:準備前に読む三行。台詞の場所を一つ見る。長くなりそうなら戻し時間へ置く。体験者へは短く返す


* 自分の台本:会話が多い台本。感情の変わる場所が二つある。体験者が複数の台詞を選びそう


* 同じように使うところ:体験開始前に三行を読む。体験者へは一語とひと場所を頼む。長くなりそうなら戻し時間へ置く


* 足すところ:準備前に「最初の返しは一文で止める」を見る。会話が多い場面では、係が返す場所を一つ選ぶ。複数出たら「今日は一つだけ」と戻す


* 足さないところ:体験者へ説明する言葉は増やさない。台本全体の理由を体験前に長く読まない


* まだ見るところ:三十秒で足りるか。会話の多い台本でも体験者が迷わないか。係の返しが長くならないか


* 変える理由:会話が多く、見る場所が増えやすい。三行だけでは最初の返しで迷いそうだった。体験者の入口は重くしたくない


* 返す声:三行は助かった。会話の多い台本では、最初の返し一文も準備前に見ると助かった。体験者への説明は短いままでよかった


 カードができると、次の係はもう一度準備前の流れを試した。


 係用ノートの表紙を見る。


「台詞の場所を一つ見る」


「長くなりそうなら戻し時間へ置く」


「体験者へは短く返す」


 そして、今日の台本用に足した小さな一行を見る。


『最初の返しは一文で止める』


 莉央が時間を測る。


「今ので三十五秒です」


 次の係は、少し考えた。


 三十秒より少し長い。


 でも、台本全体の理由を読むよりずっと短い。


 莉央が言った。


「今日は会話の多い台本なので、準備前を五秒だけ足してもいいかもしれません。でも、毎回全部そうするかは次に見ましょう」


 真帆が記録する。


『会話の多い台本では三十五秒。毎回にはしない。次に見る』


 次の係は、体験者役へ向き直った。


「まず、感じた一語と、見た台詞の場所を一つだけください」


 体験者役が台本を読む。


「やさしい。『傘は二本持ってきていたんだ』のところです」


 今度は一つだけだった。


 次の係は、準備前に見た一行を思い出す。


 最初の返しは一文で止める。


「そこに、先に用意していた優しさが見えました」


 止める。


 体験者役は頷いた。


「わかりやすいです」


 もう一度、別の体験者役が読む。


「照れてる。『濡れるよりは、いいだろ』のところです」


 次の係は、少し笑ってから短く返した。


「そこに、優しさを隠す言い方がありました」


 止める。


 紬が頷いた。


「返しが一文で止まると、体験者が台本に戻りやすいです」


 柊は、係用ノートを見ながら言った。


「三行は残っていますね」


「はい」


 次の係は答えた。


「三行を変えたのではなく、この台本で働かせるために、最初の返しだけ見ました」


 村瀬先生が静かに言った。


「受け取った形を変える時、何を残し、何を少し足し、何を足さないかを分けると、理由が見えますね」


 部室の空気が落ち着いていった。


 鏡横の短い札は増えていない。


 体験者へ言う言葉は、短いまま残っている。


 係用ノートの表紙には三行。


 その下に、今日の台本用の小さな付箋。


『会話が多い日:最初の返しは一文で止める』


 机の上には戻し時間カード。


『迷ったら戻し時間』


 次の係は、部活ノートを開いた。


『今日の困り:柊さんから見せてもらった三行は助かったが、会話の多い台本では体験者も係も見る場所が増えそうだった』


『見せられた手入れ:準備前に読む三行。台詞の場所を一つ見る。長くなりそうなら戻し時間へ置く。体験者へは短く返す』


『自分の台本:会話が多い台本。感情の変わる場所が二つある。体験者が複数の台詞を選びそう』


『同じように使うところ:体験開始前に三行を読む。体験者へは一語とひと場所を頼む。長くなりそうなら戻し時間へ置く』


『足すところ:準備前に「最初の返しは一文で止める」を見る。会話が多い場面では、係が返す場所を一つ選ぶ。複数出たら「今日は一つだけ」と戻す』


『足さないところ:体験者へ説明する言葉は増やさない。台本全体の理由を体験前に長く読まない』


『まだ見るところ:三十秒で足りるか。会話の多い台本でも体験者が迷わないか。係の返しが長くならないか』


『変える理由:会話が多く、見る場所が増えやすい。三行だけでは最初の返しで迷いそうだった。体験者の入口は重くしたくない』


『返す声:三行は助かった。会話の多い台本では、最初の返し一文も準備前に見ると助かった。体験者への説明は短いままでよかった』


 そして、一文を書く。


『見せられた説明の手入れを自分の場で受け取り直すことは、柊さんが見せてくれた準備前に読む三行を同じ形で読むことではなく、会話の多い台本では最初の返しが長くなりやすいことを見て、三行を残したまま「最初の返しは一文で止める」を自分の場へ小さく足すことだった』


 次の係は、その一文を読み返した。


「三行を残したまま、小さく足す」


 その言葉が、部活ノートの中で静かに残った。


 見せてもらった手入れを受け取る時、同じ形で守りたくなる。


 三行を三十秒で読む。


 それだけを正しくやればよいと思いたくなる。


 でも、自分の台本には、自分の台本の違いがある。


 会話が多い。


 気持ちの変わる場所が二つある。


 体験者が複数の台詞を選びそうになる。


 その違いを見ないまま同じ形で守ると、係も体験者も少し迷う。


 だから、受け取り直す。


 三行は残す。


 体験者への入口は短いままにする。


 長くなりそうなら戻し時間へ置く。


 その上で、この台本に必要な小さな一行を足す。


『最初の返しは一文で止める』


 足しすぎない。


 説明を重くしない。


 でも、自分の場で働くようにする。


 夜、白瀬灯理は演劇部の部室を出た。


 廊下には、部活後の静かな空気が流れていた。窓の外では、校庭の照明が白くにじみ、遠くでボールを片づける音が小さく聞こえた。


 部室の鏡横には、短い札が残っている。


『まず、感じた一語と、見た台詞の場所を一つだけください』


 机の上には、係用ノート。


 表紙には、準備前に読む三行。


 その下に、今日の台本用の付箋。


『会話が多い日:最初の返しは一文で止める』


 次の係、柊、莉央、真帆、紬、村瀬先生が見送りに来た。


「白瀬先生、ありがとうございました」


 次の係が言った。


「こちらこそ、見せられた三行をそのまま守るのではなく、今日の台本で働くように受け取り直す時間を見せていただきました」


 灯理は静かに答えた。


 次の係は、係用ノートを手に持っていた。


「先生、三行は助かりました」


「はい」


「でも、会話の多い台本では、最初の返しが長くなりそうでした」


 柊が頷いた。


「三行を変えたのではなく、三行を働かせるために足したんですね」


 莉央が時間表を見せる。


「今日は三十五秒になりました。毎回そうするかは、次に見ます」


 真帆が部活ノートを閉じた。


「体験者への説明は増やしませんでした」


 紬が言った。


「入口は軽いままでした」


 村瀬先生は穏やかに言った。


「受け取った形を少し変える時、足さないところも決めると、手入れが重くなりすぎませんね」


 灯理は、部室の扉を一度振り返った。


 見せられた説明の手入れを自分の場で受け取り直すことは、見せられた三行を同じ時間で読むことではない。


 三行は大切である。


 台詞の場所を一つ見る。


 長くなりそうなら戻し時間へ置く。


 体験者へは短く返す。


 その手入れは、次の係の入口になった。


 けれど、台本が変われば、迷う場所も変わる。


 会話が多い台本では、見る場所が増える。


 体験者が複数の台詞を選びそうになる。


 係も返しの入口で迷う。


 だから、同じように使うところを残す。


 足すところを選ぶ。


 足さないところを決める。


 まだ見るところを残す。


 変える理由を書く。


 見せてくれた柊へ返す声を書く。


 そうして、三行は、ただ守る手順ではなくなる。


 次の係の台本で働く、小さな受け取り直しになる。


 灯理は、夜の廊下を歩きながら、もう一度部室を振り返った。


 次の係の部活ノートには、一文が残っている。


 見せられた説明の手入れを自分の場で受け取り直すことは、柊さんが見せてくれた準備前に読む三行を同じ形で読むことではなく、会話の多い台本では最初の返しが長くなりやすいことを見て、三行を残したまま「最初の返しは一文で止める」を自分の場へ小さく足すことだった。


 その言葉を胸に、灯理は静かな道をゆっくり歩いていった。

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