眠りに落ちた。
俺は岩のてっぺんに立っている。
登りきりました。
時を遡る。
「さて、登るとしますか」と言葉こぼした後、少しでも上に行こうと、軽く飛び上がり、岩へ手をかけ、それを軸に身体を引き上げたら、岩のてっぺんに到達。
終了。
回想の所要時間は3秒でげす。
・・・って、あるかぁぁぁ!
今回のことは身体能力を確認するのが目的だった。
だから、登頂成功の有無は必要じゃ無い。
だが蓋を開けてみたらば・・・
なんですの?こりは?
解った事は"ワレ、人に非ず"って事ですかね。
だってさ・・・
ジャンプしたらさ。
軽くよ軽く。
したら、ビューンってなって、勢いが落ちてきたから、あ!待って待ってて思って手をだしたんよ。
で、気が付いたら、10メートルくらいな壁のてっぺんに手が届いちゃってて・・・
ヨッコイショッってしたらば、登りきってったんよ。
精神崩壊。
たぶん・・・ややだと思う。
・・・思いたい。
結論を言うと、垂直跳びで約8メートル。
身長1.7メートルに、手の長さで、概ね10メートルの壁の先端に迄届いてたって訳。
しかも、それは「ジャンプをしよう」と意識してではなく、軽い気持ちで飛び上がった結果でだ。
最前世の頃、確かに俺は同年代の平均運動能力より、若干高か目だった。
けど、これは異常。
前の世界でも能力の確認をした事は有る。
だけど、強化魔法をかけてでも、それほど異質と思えるものでは無かった。
なんで、これの結果が意味するのは、俺の知る世界全てを比べても格段に重力が低いか、あるいは身体能力そのものがおかしな事になっているかだ。
間違いなく後者。
だけど認めたくない。
目立たぬような生活をしようと、心に決めている俺。
この結果に、少しめまいを覚える。
ま、今はそれを考えても仕方無い。
俺は岩の中央へと向かう。
こんな端っこでは、何かのひょうしに転落しそうだもんね。
それに岩の表面がツルツルスベスベしているから。
で、そのツルツルな岩肌は、薄くだけど鏡みたいに成っている。
その為、意図せず鏡面反射で自分の姿を確認することが出来てしまった。
「さいですか・・・今回はこれでという訳ですか・・・」頭をかきながら呟いた後、大の字で仰向けに寝転んで空を見上げた。
空一面に輝く星が廻りに他の光源を有していない事をアピールするごとく光輝き、己れを主張している。
俺は今置かれた状況や今日有った出来事、そして何より眠気に負け、まぶたは重くなり目を閉じると、そのまま深い眠りに落ちた。




