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Change Ring  作者: 桜香 辰日
第三話 ~引いて欲しくない時に限って風邪を引く~
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第三話 Ⅰ

 第三話開始です。

 風邪って引きたくない時に引いちゃうんですよねぇ……。

 お楽しみいただけたら幸いです。

 桜の花弁はなびらが全て散り、鮮やかな緑色が枝を染め、雨の日がだんだんと多くなって来たある日の事。

 朝、起床したエルは寝室を出、キッチンで水を飲んでいた。

 そこへ、ほど無くしてロウェンが寝室から出て来る。

「おはよう」

「ああ、はよ」

 エルが朝の挨拶をすれば、ロウェンも返してくれる。

 いつも通りの光景。

 しかし、今日は違った。

「………………」

 じっ……、とロウェンが観察しているかの様に見詰みつめてくる。

「何だ?」

 右手で首をさすりながらエルが問えば、

「エル、今日からお前、休みな」

 と断言され、固まる。

「は?」

 ポカン、と口が開いて我ながら間抜けだなと思う声が出た。

 そんなエルに同じ言葉を繰り返し言う事無く、ロウェンは続ける。

「朝食は食べ易いもんを後で部屋に持って来るから。大人しく待ってろ」

 言い残し、水を一杯飲んで寝室に戻り、制服に着替えて颯爽さっそうと部屋を出て行った。

 ガチャ、バタン。扉が開けられ、閉められる。

 思考停止したエルは、動くロウェンを、首を動かし追って見るしか出来なかった。

「え?」

 首を右手で触ったまま、しばらくエルは突っ立っていた。


 ピーポン、ピーポン。

 三分後……。


(座ろう)

 思考停止からようやく復活したエルは突っ立ったままである事に気付き、リビングのソファに腰を落ち着けた。

 ロウェンに何故なぜ、あんな事を言われたのかは理解している。

 ただ、理由がバレた事に驚いただけだ。

 そして、たったそれだけの事に思考停止する時点で、相当ヤバいな、と今更ながらにエルは思う。

 本当に今更いまさらだが、今日は結構、いやかなり物凄く、体調がかんばしく無い。

 少し前から調子が悪いな、とは感じていた。

 でも、今まで隠せていたから気付かれないだろう、と思っていた。

 でも、何故か今日バレた。

 ビックリ。みたいな?

 ロウェンが朝食を持って部屋に戻ってくるまでずっと、エルはソファでぼーっとしていた。

 お読みいただき、ありがとうございます。

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