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Change Ring  作者: 桜香 辰日
第二話 ~学校みたいな所には大体アレが存在している~
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第二話 ⅩⅦ

 第二話は今回で終了です。

 タイトルにある、学校みたいな所には大体アレが存在している、のアレは生徒会の事です。

 第三話は間を開けず、来週から投稿します。

 お楽しみいただければ幸いです。

 オレストは呟く。

「勝った……?」

 あまりにもあっさり終わり過ぎて、エルが勝ったという感じがしない。

「勝ったな」

 確認と実感を得る為に、エイレーネが答える。

「勝ったわね」

 クラリスの口調には驚きが混じっている。

 アーロンは驚きを隠せず、彼と同様に珍しく目を丸くしているキリルに話しかける。

「キリ、分かったか……?」

 幻術が使われたタイミングが。

 目を丸くし、フィールドに視線を向けたまま、キリルは答える。

「いや、タイミング所か、エル君が幻術を解くまで気付かなかったよ……」

「俺もだ」

 幻術とは別の魔術でエルはバルドを倒したとアーロン達は思っていた。

 幻術は、使っている事を気付かれても効果はあるし、幻術としての働きを失わない。

 が、その効果を最大限に発揮させるには、使っている事を気付かれない事という条件が必要となる。

 そして、幻術の使用が最もバレ易《やす》いのは敵が自分を見ている時、特に戦い始めは相手の集中力が高いのでバレる可能性が限りなく高い。

 理由は、魔方陣。

 人は魔方陣によって魔術を使用する事が可能になる。詰《つ》まり、どんな魔術を使うにしても、魔方陣は魔術を使う手段としてなくてはならない物なのだ。

 どれだけ速く魔方陣を展開し、魔術を発動させても、大きさや場所の差はあれど魔方陣は現れる。それは魔具や魔武器でも同じだ。

 簡単で単純な魔術なら、敵が見て取れない程《ほど》に魔方陣を速く、小さく展開する事も可能だ。 しかし、魔術の難易度や魔方陣の複雑さが上がれば上がる程、展開される魔方陣が現れている時間は長くなり、大きくなってしまう。序《つい》でに言うと、難しい魔術を速く小さく展開できる様になれるのかは努力次第。

 幻術の難易度は中程度。

 と言っても、これは使えるかどうかの位置づけであって、使い熟《こな》せるかどうかの位置づけでは無い。例え発動に長い時間を掛けたとしても、使えないとは言えないのだから。

 そう、幻想魔術は使い熟すのが大変で難しい魔術なのである。

 魔方陣の展開は誰でも比較的簡単に出来るのだが、次の魔術の発動・発現という行程《こうてい》に恐ろしい位に時間の掛かるのだ。これは魔方陣が現れている時間が長い事を示している。

 皮肉にも、魔術の使用に必要不可欠な魔方陣が、幻術にとっては最大の壁として立ちはだかっているのである。

 故《ゆえ》に、幻術を使用する際は、身を隠したり目眩《めくら》ましをしたりして自分を見えなくするか、敵の目を誘導して自分から視線を外させるかするのが常識だ。

 敵の目の前でいきなり使う等《など》、論外である。

 それを敢《あ》えて実行するのは、スイッチONモードのエルにとっては十八番《おはこ》であったりする。ジョルジオが悪魔と称するだけはあるのである。

「流石《さすが》だ」

 ウムウムと嬉しそうに何度も頷《うなず》くホメロス。

「凄いです」

 感心した様に呟くオルティア。

「ええ、本当に」

 右手を頬に添《そ》え、驚きを隠さずミズホが同意する。

「予想していたよりとんでもなかったな……」

 グウィードは、色々と今後の事を憂《うれ》いた。

 例えば、先輩としてのこれからを。

 例えば、この先に起こるであろう騒動を。


◇◇◇◇◇◇◇


「「アリエネェー」」

 ロウェンとマリアとジョルジオの解説を聞いた双子の感想。

「「パネェー」」

 因《ちなみ》みに、見て分かる通り、ほぼ棒読みに近い。

「「アクマだわぁー」」

「白い、ね」

「ジョルジオ。それ、今言う事じゃねぇから」

 トラウマを抱えていそうなジョルジオに、ロウェンが突っ込む。

「凄いなぁ」

 何だか瞳をキラキラさせているユウキ。

「…………」

 コクコク、とカイが無言で首肯する。

「素直ね……」

 ナディアとソフィアとは違う感想を述べる二人に、マリアは感心した。


◇◇◇◇◇◇◇


「「やっぱさ、こういう試合は全力で挑むべきでしょ」」

 試合後、ロウェン達とエルが合流すると、双子に開口一番こう言われた。

「ん? 挑んだぞ? 全力で」

 言われた事の意味を量《はか》り兼《か》ねてエルは単純に返す。

 すると、あぁそうなのね……、呆れた顔で二人に返された。

「ほらな。言ったろ?」

 ロウェンが言う。エルには良く分からないが、彼は何か知っているらしい。

「何なんだ?」

 エルはマリアに尋ねる。

「気にしなくて良いわ」

 アッサリ答えられた。

 気にしなくて良い、と言われてもまだ気になるので、ジョルジオとユウキとカイに視線を向ける。

 ジョルジオは肩を竦《すく》め、口の左端を吊《つ》り上げてさぁ? みたいな顔をするだけ。

 ユウキからは、これ以上追及出来ない曖昧《あいまい》な苦笑で返され。

 カイには、コクコクと頷かれる。……マリアの意見に同意らしい。

 仕方無い、非常に気になるが、諦めるとしよう。

 後ろ髪を引かれつつ、エルは忘れる事にした。


 序でながら解説しよう。

 双子の言った全力の意味は、正面から堂々と。

 エルの武器は銃なので難しいけれど、剣と剣の鍔迫《つばぜ》り合いみたいなのが定番だろう、と言いたかったのである。

 エルの全力の意味はそのまんま。

 全力。

 である。

 全力=全ての力。

 腕力、脚力、魔力、魔術、技術、頭脳、話術、罠、嘘、等のありとあらゆる力。文字通りの、全力。

 それを以《もっ》て挑んだ、と言ったのである。

 どちらも、間違ってはいない。うん。


 そして、序での序でに。

 この試合が発端となり、またもや見世物パンダ状態になり、エルがげっそりしたのは言うまでも無い。


 お読みいただき、ありがとうございます。

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