第二話 Ⅰ
今年最後の投稿です。
めっちゃ短いです。
楽しんでもらえたら嬉しいです。
「遂に、やって来た…………」
それはファルベント魔術学院のとある部屋で、一番奥の席に座っている青年の唇から零れ落ちた。
時刻は、空が鮮やかな赤みの強いオレンジ色に染まる頃。
窓から差し込む夕日が逆光となり、青年の顔を見ることは出来ない。
明かりの無い部屋は薄暗く、青年の纏っている空気の重さを表している様に思える。
「負けることは許されないわ」
青年から見て右前方の席に座っている女性が、決定事項を確認するように言う。
こちらも部屋の薄暗さで顔が良く見えないが、シルエットからウェーブが掛かった長い髪をしていることが分かる。
彼女の口調には余裕が無く、自分に言い聞かせている様にも聞こえる。
「分かっている」
強い決意を秘めた声で、青年は女性に返した。
「これは戦争。一瞬でも臆すれば敗北決定だ」
女性の隣の席に座る女性が、落ち着きのある声音で述べる。
この女性は隣に座る長髪の女性とは対照的に短い髪をしている。
青年は返す。
「臆していれば俺は、俺達は今この場にはいない」
「ええ」
長髪の女性が同意を示す。
「故に、我々に負けは無い」
青年の言葉に続けるように短髪の女性が口を動かす。
背筋を正し、強い覚悟を感じさせる声音で言った。
「これは戦争だ。手加減などしない。勝つのは俺達だ」
お読みいただき、ありがとうございます。




