ダンジョンだと!
既存に無ければ、創れば良いよね?
「なる程な。確かにオークションなら捌けるかもしれないが、ユニコーンの角は、霊薬の材料であると共に、呪殺に使う材料でもある」
「あ! ……申し訳ありません!」
「いや、謝る程の事じゃない」
「……はい」
「だから、ユニコーンの角のままでは出品せずに霊薬に変えてから出品するとしよう」
「畏まりました」
「俺はいつもの場所に居るから何か有れば報せてくれ」
「はい、ライ様」
俺は、領主館の裏側に建てた鍛冶工房に向かった。
キサラに頼み込んで、俺が造った武器なら腰に差す事をやっと許して貰ったんだ。
いや~、長かったよ。
結構、最初の頃からだから3年以上は月日が掛かっている。
まあ、俺も半端な物は腰に差したくないから、あの時に「鍛冶師」のスキルの書を選んだ訳だけどな。
因みに、ガイは俺のダンジョンに造った錬金鍛冶工房に居る。
ガイには、ラピスやラグナから貰った「牙」や「爪」や「鱗」から武具を製作して貰っているが、完成するのはまだまだ先の話だ。
カン! カン! カン! カン!
「ライよ、そこはもう3回叩くのじゃ」
「分かった」
カン! カン! カン!
「ライよ、もう大丈夫なのじゃ」
「分かった」
スキルの書で必要最低限の知識と感覚は身に付けているが、やはり経験が必要みたいで、そこはキサラに教えて貰っている。
……やっと長剣が人並みに打てる様になったが、まだまだ日本刀は遠いなぁ。
翌日、領主館で書類整理をしていると、冒険者ギルドのギルドマスターが来た。
まあ、きちんと事前予約をしていたから大丈夫だけどな。
応接室で……
「初めまして。ライザック=フォン=アークレイドです」
「初めまして。冒険者ギルドのギルドマスター『ギラルド』です」
「そんなに畏まれなくても大丈夫です。確かに私は領主ですが、正式にはまだ公表していませんし、爵位を持っていませんから」
「ありがとうございます。それで、お時間を頂いたのは、この領地に2つ目のダンジョンが発生するからです」
「ダンジョンだと!」
「はい。実は……」
予想通りの展開だから、此方も演技込みで予定通りに話を進ませた。
「それでは、引率の冒険者を選抜を行いたいと思います」
「よろしく頼む」
「はっ!」
とりあえず、引率する冒険者に払う賃金や雑費用に1年分で大金貨3枚渡した。
ギルドマスターには、帳簿はつける様には言ってあるが、確認は年に1回で充分だろう。
ギルドマスターも、俺のバックにはアークレイド女公爵がいるのは知っている筈だしな。
さて、ギルドマスターが報告した事で、俺のダンジョンの位置が冒険者ギルド内での未発表状態となり、ダンジョンに近い街道に宿場を用意する事が出来る様になった。
早速、商業ギルドに使いを出して募集を掛けた。
リアンベルさんの方にも使いを出したから、近日中には動くだろう。
……俺のダンジョンが開通した。
実物のダンジョンを経験した事を活かし、前世のゲーム等から得た知識を加えて造った俺のダンジョンを、是非、現地の冒険者達には楽しんで欲しい。
一応、言っておくが、強さだけの偏った編成等では攻略出来ないからな。
領主館の代官には新しいダンジョンを実地で調査してくると言って俺のダンジョンに来た俺達は、周りを確認した後に、ダンジョン・コアの部屋、通称「司令室」に転移してダンジョン内の様子を音声付きのモニターで見ている。
「中々に、楽しめるダンジョンじゃねえか」
「確かにな。それにしても出来たてとは思えねぇダンジョンだな」
「確かにな。……しかし、ギルドマスターが見せた武器は何階層で、手に入るんだろうな?」
「予想だと20階層以降だろうな」
「まあ、そんくらいだろうな」
「やっぱりかー」
「5階層で鋼鉄の剣だからな」
「ライ様、如何ですか?」
「今の所は順調みたいだな」
俺達がモニターを見ていると、話し掛けて来たのは、俺のダンジョンの管理人だ。
勿論、普通の人族じゃない。
これも、側近作製で生まれた人化スキル持ちのダンジョンモンスターで本性は、魔皇竜で名前が「リナ」だ。
リナは、魔王ライザーの因子を加えて出来る限界まで強化したから、多分、勝てる冒険者が皆無だと思うぞ。
「ライ様! 来ていたのですね」
「ライ様、僕の出番は?」
「ゼラに、ゾラか」
この2人も魔王トリーアと魔王カッセルの因子を加えて出来る限界まで強化した。
本性は、ゼラが「ブラッドタイガー」で、ゾラが「バジリスク」でそれぞれのベースになっているから、2人は「魔皇紅蓮虎ゼラ」と「魔皇毒蛇ゾラ」となる。
リナが俺のダンジョンのラスボスで、ゼラがその1つ前で、ゾラがゼラの前の階層ボスだ。
3人の魔王をダンジョンに吸収させたら魔王に関わる能力とかが加えたダンジョンモンスターが造れる様になった。
因みに、ダンジョンのモンスター作製リストに無いモンスターでも、そのモンスターの身体で6割り以上を吸収させると、ダンジョンのモンスター作製リストに名前が上がる。
「そりゃあ、初日だからな。それにゾラ」
「何、ライ様」
「初日でゾラの出番が来ていたら、ダンジョンを造った俺は泣くぞ」
「ごめん、ライ様。僕はそんなつもりで言ったんじゃないんだ」
「分かっている、ゾラ」
「ありがとう、ライ様」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




