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……成金屋敷だな

マヌケな誰かが居た。

 近辺の盗賊共を全て狩り尽くした翌日から3日間を休日に決めた俺達は、各々で休日を過ごした。


 初日は、俺はレイに駆り出され買い物の財布兼荷物持ちとして利用された。

 キサラは、俺とレイに少し離れて付いて来て、キサラに善良な市民チンピラから善意で全ての所持金を貰っては、屋台の肉串等を買い食いをしていた。

 ついでに言えば、その善良な市民チンピラには、特別な無料の宿泊施設に招待していた。

 リンは、野営中とかの料理の研究をしていたらしい。

 ラピスとガイは、タンクとしての技術を磨いていたらしい。 


 翌日は、皆で都市を散策する事にした。

 昨日とは違うルートで、しびらくは屋台の買い食いをしながら歩いていると……


「ひったくりだー!」


 向こうから、そんな声が聞こえたと思ったら、俺達の方に向って来る野郎と、それを追い掛けて来る銀髪の美少女だった。

 とりあえず……


「あ……がぁ、ぐふぅ……」


 すれ違う瞬間に、左足を出して前のめりになった所を、そのまま左足を真上に上げて野郎の両足を蹴り上げて仰向けに転がし、上げた左足を野郎の腹に軽く踏む。


「ありがとうございます」


 追い掛けて来た美少女が追い付きお礼を言われたが、その美少女は奴隷だった上に、かなり身体には傷跡が至る所に有った。


 更に、ちょっと遅れて肥えた成金を体現したオッサンが来て、美少女に近付くといきなり美少女を蹴った。


「このグズが! 私を走らせるとはどういうつもりだ!」

「ぐ、申しぎぃ……訳あがぁ……りません!」


 土下座している美少女が言っている台詞が不自然なのは、買い主と思われる野郎がずっと美少女を蹴っているからだ。


「ハアハア。私のバッグは何処だ?」

「こ、此方の……方が……」

「……ふん! それは私のバッグだ! さっさと返せ!」


 ムカつくな。

 仮に、このバッグが本当にこの野郎の物だとしても、感謝の言葉もなく、「返せ!」か。


「返しても良いが、幾ら払う?」

「なっ!?」

「それに、このバッグは本当に貴様の物なのか分からないしな」

「巫山戯るな! そのバッグは私の物だ!」

「証拠は?」

「しょ、証拠も何もない! 私の物だから証拠など、言う必要は無い!」

「それなら、貴様のバッグだという証明にならないな」

「このガキがぁ……」


 一応言っておくが、この場合のバッグの権利は、俺が有している。

 窃盗が成立し、一度でも角を曲がったりしたら、その瞬間にバッグや中身が入れ替えられている可能性が有るからだ。

 ちょっと納得いかないが、この世界では盗まれる方が悪い、となる。


「何が有った?」


 どうやら、誰かが呼んだのか、治安を守る衛兵が来たみたいだ。


「簡単に言えば、ひったくりが発生して、そのひったくりが、そこで寝ている野郎で、そのひったくりが盗んだ物がこのバッグで、持ち主が、あちらのオッサンみたいだが、持ち主だという証明が出来ていない、という状況だ」

「周りの者に聞く。今の話は本当か?」


 衛兵は賢く周りに聞いた。

 当然、周りの何人かは頷いた。


「と、兎に角、そのバッグを私に返せば終わる話だろうが!」

「そう言う訳にはいかない。周りの反応から見て、現状、このバッグの所有権はひったくりを倒した少年に有る。それでも、このバッグを返して欲しくば、持ち主たる証明をして、所持金の1割をお礼として渡す必要がある」

「そ、それは……」

「返して欲しくば、バッグの中身を言え」


 俺は念の為にバッグの中身を確認したが、思わず「馬鹿?」と漏らしてしまった。


「少年、どういう事だ?」

「中身を改めてください」

「あぁ!」

「分かった」


 衛兵がバッグの中身を確認すると、衛兵は静かにオッサンを睨んだ。


「詰所で話を聞こうか」

「ち、違うんです! バッグの中身は、あのガキがすり替えたのです!」

「周りの者に聞く。この少年がバッグの中身を入れ替えた所を見た者は居るか?」


 当然、誰も首を縦に振らない。


「悪いが、少年も来てくれ」

「分かった」


 奴隷である美少女も、ふらつきながらオッサンの後ろを付いて行った。

 ひったくり犯も、別の衛兵が連行した。


 詰所に移動して、オッサンへの取調べが始まったのだが、簡単に終わった。

 まさか、バッグの中身が、オッサンの犯罪を証明する書類等が入っていたのだ。


 ……馬鹿だと思うだろ?


 で、どうなったかというと、オッサンは犯罪奴隷となり鉱山労働送りになった。

 オッサンの財産は俺の物になったのだが、この場合は一時的な処置で、犯罪の解明に協力したという事で、財産から欲しい物を受け取り、残りは領主預かりになる訳だ。


 そのまま、衛兵の1人が領主館に行き、事情説明をして文官を連れて来る事になり、俺達は最初に来た衛兵と一緒にオッサンの家に行く事になった。


「……成金屋敷だな」

「……そうだな」


 オッサンの家は屋敷だったが、中に入ると、金銀を装飾に使った家具ばかりで、しかも、柱とかにも飾りが施されていた。


 ……悪趣味な内装だよ。


 最初の衛兵は俺達に付いて廻り、他の衛兵達は、屋敷に居る人達を1階の玄関ホールに集めに行った。


 とりあえず、武器や防具に魔道具を見たけど、全部が外見だけのゴミだった。

 宝飾品等も、レイが見たけど、7割は偽物だったし、残りの本物も、あのオッサンの手垢が付いているかと思ったら欲しいとは思わなかった。

 現金も、なぁ……


 ……残ったのは「人」だった。


 しかし、今回だけは、「あの人が欲しい」という訳にもいかない。

 内情はどうであれ、普通に働いている人もいるからで単純に「あの人が欲しい」とならない。

 まあ、例外も当然ある。

 それが、奴隷だ。


「お待たせしました」


 この都市の奴隷商が来て、この屋敷の奴隷は仮で俺の奴隷となった。


 俺達と最初の衛兵と奴隷達が応接室に入り、俺達は奴隷達に色々と質問した。




厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点をお願いします。

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