説明してほしい
大した事じゃないが、事後説明されると、辛い事ってありますよね?
聞こえた悲鳴の場所に辿り着くと、マドリブと知らない女性2人に、怪我を負い血を流して倒れている女性が2人居た。
「マドリブ、加勢する!」
「頼む」
マドリブ達を襲ったのはオーク5匹だ。
俺はラピスにマドリブ達の護衛を頼み、ガイはその間にオーク共の前に突っ込む。
「おらぁ!」
「ピィー!(頑張れ、お兄ちゃん!)」
「のじゃ」
「は!」
「ふっ!」
「喰らえ!」
「雷矢」
今更、オークが俺達の敵になる事はなく、サリア達は見学しながら、あっさりと討伐した後はマジックバッグにオーク共を仕舞い、マドリブ達の下に行く。
「アニタ! バネサ! しっかりしろ!」
「回復魔法を使うが良いか?」
「頼む」
「分かった。回復魔法」
とりあえず、2人の傷は全て治療した。
「ん……」
「あ……」
「アニタ! バネサ!」
「マドリブ……」
「確か、私は……」
「良かったー!」
その後は、お互いに自己紹介したのだが、意外と言ったら失礼だが、彼女達はマドリブの恋人で冒険者パーティーだった。
狩人系のアニタに、戦士系のバネサに、魔法使い系のピセラに、僧侶系のフリダになる。
「改めてお礼を言うわ。ありがとう」
「助かったわ、ありがとう」
「マドリブには、良い店を沢山教えてくれたから気にするな」
「マドリブ」
「フリダ」
「……良いかしら?」
「……分かった」
「ありがとう、マドリブ」
「何だ?」
フリダの話はこうだった。
フリダには5歳下の妹「アラナ」が居るが、事故で大怪我を負い苦しんでいる。
フリダは妹を助ける為に、第3位階の治療魔法を修得したが、完全治癒には至らずにいる。
そして、少しでもアラナの怪我を治そうとフリダは冒険者になった。
一般的には知られていない薬草とかも知り、改善に向かったが、改善しただけだ。
完全に治すには、神殿に行き、司教以上に治癒魔法をお願いするしかなく、それには法外な治療費を請求される。
そんな時に、出会ったのがマドリブな訳で、話し合いの結果、フリダがマドリブのパーティーに入る事を条件にマドリブ達は、資金集めに協力する事になった。
やっぱり最初は、マドリブの悪党面から警戒をしていたが、次第にマドリブの内面の良さに惹かれていき、今ではマドリブのハーレムの一員になった。
で、本題が、フリダが俺にアラナの治癒をお願いされた訳だ。
「どう思う?」
「妾はライの判断に従うのじゃ」
「私もライの判断に従うわ」
「ワン!」
「私もライ様の判断に従います」
「ニャー」
「ライ殿の判断に従うであります」
「ライがリーダーだ」
「ピィー!(助けてあげて!)」
マドリブ達は、静かに真剣な顔で、俺の返事を待っている。
「完治するか分からないが良いのか?」
「勿論よ! 少しでもアラナの苦痛を取り除きたいの」
「分かった。案内してくれ」
「分かったわ」
……案内されたのは、領主館だった。
「マドリブ?」
「すまん! 後で説明する」
「……分かった」
案内されたのは、2階の東側だった。
扉を開けると部屋は、如何にもな少女の部屋と言えた内装だった。
「あの子がアラナよ」
アラナと言われた少女は、顔を含む全身が包帯だらけで、横になっていた。
「お姉ちゃん……」
「ただいま、アラナ。今日は私達の友人を連れて来たのよ」
「初めまして。友人のライって言うんだ」
「同じキサラなのじゃ」
「レイよ」
「ワン!」
「リンです」
「ニャー」
「ラピスであります」
「ガイだ」
「ピィー(サナだよ)」
「初めまして。アラナです」
「俺は、お姉さんに回復魔法を掛けて欲しいとお願いされたから、少し触れても良いかな?」
「お姉ちゃんの無理を聞いてくれてありがとう。どうぞ、私に触れてください」
「分かった」
「ん!?」
触れた時に、調整した魔力をアラナの全身に流して身体の状態を調べたが、中途半端に治療した為に、骨が歪んでいる。
これでは、命に関わる事は無いが、動く度に痛みが走り大変だろうな。
それに、包帯の隙間から見える肌には沢山の傷跡が見える。
これでは、生まれの身分に関係無く、誰にも相手にされない可能性が高いな。
……一体、どんな事故に遭えば、こんな大怪我をするんだ?
「ライ、どうだ?」
「アラナは、治るかしら?」
「……確かに、完治するには神殿なら司教以上になるだろうな」
「ライ、ハッキリ言って!」
「完治出来るが、それなりに頂くぞ」
「構わない!」
「何でもするわ! だからお願い!」
他のメンバーも真剣に俺を見ている。
「完治祝いの準備でもしていろ」
「本当か!」
「……ありがとう」
そして、マドリブ達全員分の魔法誓約書を出して名前を記入して貰った。
勿論、内容は「秘密厳守」だ!
「完全回復」
「……え!?」
「アラナ……」
「お姉ちゃん……」
アラナは、自分の腕で起き上がり、自分の足で歩いてフリダに抱き着いた。
そして、動いた事で緩くなった包帯が重力に負けてズリ落ちた。
「アラナ、顔が……」
「え!?」
アラナは、姿見用の大きな鏡の前に立つと、そこには全身から傷跡が消えて、フリダに似た美少女が立っていた。
……その後は、2人を残して俺達は退室した。
そして、マドリブの指示でアラナの完治祝いの準備が始まり、俺達は応接室に移動した。
「ライ、済まない!」
「説明してほしい」
厳しくも温かいメッセージを待っています!
そして、星の加点をお願いします。




