表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/139

説明してほしい

大した事じゃないが、事後説明されると、辛い事ってありますよね?

 聞こえた悲鳴の場所に辿り着くと、マドリブと知らない女性2人に、怪我を負い血を流して倒れている女性が2人居た。


「マドリブ、加勢する!」

「頼む」


 マドリブ達を襲ったのはオーク5匹だ。

 俺はラピスにマドリブ達の護衛を頼み、ガイはそのあいだにオーク共の前に突っ込む。


「おらぁ!」

「ピィー!(頑張れ、お兄ちゃん!)」

「のじゃ」

「は!」

「ふっ!」

「喰らえ!」

雷矢サンダーアロー


 今更、オークが俺達の敵になる事はなく、サリア達は見学しながら、あっさりと討伐した後はマジックバッグにオーク共を仕舞い、マドリブ達のもとに行く。


「アニタ! バネサ! しっかりしろ!」

「回復魔法を使うが良いか?」

「頼む」

「分かった。回復魔法ヒール


 とりあえず、2人の傷は全て治療した。


「ん……」

「あ……」

「アニタ! バネサ!」

「マドリブ……」

「確か、私は……」

「良かったー!」


 その後は、お互いに自己紹介したのだが、意外と言ったら失礼だが、彼女達はマドリブの恋人で冒険者パーティーだった。

 狩人系のアニタに、戦士系のバネサに、魔法使い系のピセラに、僧侶系のフリダになる。


「改めてお礼を言うわ。ありがとう」

「助かったわ、ありがとう」

「マドリブには、良い店を沢山教えてくれたから気にするな」

「マドリブ」

「フリダ」

「……良いかしら?」

「……分かった」

「ありがとう、マドリブ」

「何だ?」


 フリダの話はこうだった。

 フリダには5歳下の妹「アラナ」が居るが、事故で大怪我を負い苦しんでいる。

 フリダは妹を助ける為に、第3位階の治療魔法を修得したが、完全治癒には至らずにいる。

 そして、少しでもアラナの怪我を治そうとフリダは冒険者になった。

 一般的には知られていない薬草とかも知り、改善に向かったが、改善しただけだ。

 完全に治すには、神殿に行き、司教以上に治癒魔法をお願いするしかなく、それには法外な治療費を請求される。

 そんな時に、出会ったのがマドリブな訳で、話し合いの結果、フリダがマドリブのパーティーに入る事を条件にマドリブ達は、資金集めに協力する事になった。

 やっぱり最初は、マドリブの悪党面から警戒をしていたが、次第にマドリブの内面の良さに惹かれていき、今ではマドリブのハーレムの一員になった。

 で、本題が、フリダが俺にアラナの治癒をお願いされた訳だ。


「どう思う?」

「妾はライの判断に従うのじゃ」

「私もライの判断に従うわ」

「ワン!」

「私もライ様の判断に従います」

「ニャー」

「ライ殿の判断に従うであります」

「ライがリーダーだ」

「ピィー!(助けてあげて!)」


 マドリブ達は、静かに真剣な顔で、俺の返事を待っている。


「完治するか分からないが良いのか?」

「勿論よ! 少しでもアラナの苦痛を取り除きたいの」

「分かった。案内してくれ」

「分かったわ」


 ……案内されたのは、領主館だった。


「マドリブ?」

「すまん! 後で説明する」

「……分かった」


 案内されたのは、2階の東側だった。

 扉を開けると部屋は、如何にもな少女の部屋と言えた内装だった。


「あの子がアラナよ」


 アラナと言われた少女は、顔を含む全身が包帯だらけで、横になっていた。


「お姉ちゃん……」

「ただいま、アラナ。今日は私達の友人を連れて来たのよ」

「初めまして。友人のライって言うんだ」

「同じキサラなのじゃ」

「レイよ」

「ワン!」

「リンです」

「ニャー」

「ラピスであります」

「ガイだ」

「ピィー(サナだよ)」

「初めまして。アラナです」

「俺は、お姉さんに回復魔法を掛けて欲しいとお願いされたから、少し触れても良いかな?」

「お姉ちゃんの無理を聞いてくれてありがとう。どうぞ、私に触れてください」

「分かった」

「ん!?」


 触れた時に、調整した魔力をアラナの全身に流して身体の状態を調べたが、中途半端に治療した為に、骨が歪んでいる。

 これでは、命に関わる事は無いが、動く度に痛みが走り大変だろうな。

 それに、包帯の隙間から見える肌には沢山の傷跡が見える。

 これでは、生まれの身分に関係無く、誰にも相手にされない可能性が高いな。


 ……一体、どんな事故に遭えば、こんな大怪我をするんだ?


「ライ、どうだ?」

「アラナは、治るかしら?」

「……確かに、完治するには神殿なら司教以上になるだろうな」

「ライ、ハッキリ言って!」

「完治出来るが、それなりに頂くぞ」

「構わない!」

「何でもするわ! だからお願い!」


 他のメンバーも真剣に俺を見ている。


「完治祝いの準備でもしていろ」

「本当か!」

「……ありがとう」


 そして、マドリブ達全員分の魔法誓約書を出して名前を記入して貰った。

 勿論、内容は「秘密厳守」だ!


完全回復パーフェクトヒール」 

「……え!?」

「アラナ……」

「お姉ちゃん……」


 アラナは、自分の腕で起き上がり、自分の足で歩いてフリダに抱き着いた。

 そして、動いた事で緩くなった包帯が重力に負けてズリ落ちた。


「アラナ、顔が……」

「え!?」


 アラナは、姿見用の大きな鏡の前に立つと、そこには全身から傷跡が消えて、フリダに似た美少女が立っていた。


 ……その後は、2人を残して俺達は退室した。


 そして、マドリブの指示でアラナの完治祝いの準備が始まり、俺達は応接室に移動した。


「ライ、済まない!」

「説明してほしい」



厳しくも温かいメッセージを待っています!

そして、星の加点をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ