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セフィロスの館に行く途中に自分も走りたいとアイリーンが言い出したが、先に走り出した3人には追いつけず館に到着してしまった。
置いていくなんて酷いと怒るアイリーンは、セフィロスに
「後で一緒に晩飯の獲物を仕留めに行こう。」
と誘われ、機嫌を直したのである。
「よく来たね。遠慮はいらないよ。自由にしてな!」
辺境伯夫人……と呼ぶよりおかみさんと呼ぶ方が馴染みそうな、セフィロスの妻のハンナ=リッチフォースに迎えられ、クリスタは一度与えられた部屋で休む事にした。
クリスタのいる客間はとてもシンプルで、ベッドと机とハンガーラックの付いた棚が1つあるだけ。
ハンガーラックに着てきた上着をかけ、ベッドにゴロンと横になる。
「そうだ!手紙!!」
マシューから渡されたベンヴェヌードからの手紙を読もう。
ベンヴェヌードからの手紙を取り出すと、あの時の事が思い出される。ベンヴェヌード達と出会ってからもうすぐ3年。あれから一度も会っていなければ手紙も出していない。
《前略マシュー=ラフォレーゼ様。よぉ、親友。一度も連絡をくれないなんて薄情じゃないか?まぁオレもマシューの事は言えないけどさ。》
案の定手紙の冒頭は互いに連絡をしなかった事から始まった。
《オレは今騎士を目指して日々鍛錬をしている。マシューはラフォレーゼ領主になるんだろ?首都の高等部に進学した兄貴から高等部でマシューに会ったって聞いたんだけど、マシューはオレと同い年だろ?兄貴に高等部で会ったのはクリスタじゃないのか?って聞いてもクリスタがマシューで、マシューがクリスタでってよくわからないんだ。だからお前に直接聞く事にした。》
「お前に直接聞く事にした?」
《兄貴からお前達家族がリッチフォース領に行くって聞いたから、オレも今から行く。ガドリン領から遠くないしな。久しぶりの再会楽しみにしている。ベンヴェヌード=ガドリンより》
手紙によるとブルーノが高等部でマシューに出会ってから様子がおかしいから、その理由をリッチフォース領まで聞きに来るどの事。
直接聞く事にしたと言うのは、ベンヴェヌードが直接ここまで聞きに来る……と言う事なのだろう。
それにしても3年前に出会ったあれだけの美少女が実は男だったと知ったブルーノのショックは大きいのではないか。
「でも久しぶりにベンヴェヌードに会えるんだ。」
どんな顔して会えば良いのかはわからないが、親友との再会は純粋に嬉しい。
いつ来るんだろう……と思っていたらクリスタの部屋をノックする音が聞こえた。
「クリスタ様、ガドリン領からお客様がお見えです。」
きっとベンヴェヌードだ。今から行くと言う文面通り手紙を出すのと同時に家を出たのだろう。
この世界では手紙は小さなゲートを通って、詩織の世界で言う郵便局に即日届く。
そこから配達員が配達するわけなのだが……まさか読み終わるのと同時にベンヴェヌードが来るとは。
「今行きます。」
どんな顔して会えば良いのかわからぬまま、クリスタはベンヴェヌードのいるエントランスへ向かった。




