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デビュタントである1年生のドレスは白い色のドレスだと決まっている。
「このオレがパートナーなんだ。ドレス位贈るのは当たり前だろ?」
アルトゥールがクリスタのパートナーに決まった翌日、クリスタはアルトゥールに皇室御用達の服飾店に連れて来られていた。
学園帰りに拉致されたと言っても過言ではない。
「殿下の申し出はありがたいのですが、すでにドレスは用意してあるのです。」
学校行事は元々マシューと行くはずたったので、母とマシューとで選んだスカート部分の生地が二重になったオーバースカートのドレスをすでに用意してある。
スレンダーラインのスカートに上品なレースが重なった、可愛らしくも大人っぽいドレスだ。
「まずはこれを着てみろ。」
ドレスはあると言っているクリスタの声を聞いていないアルトゥールが選んだドレスはティアードのスカートがふんわりとした可愛らしいお姫様みたいなドレス。
しぶしぶ受け取ると、手の空いたアルトゥールは更にドレスを選び始めた。
「こちらへどうぞ。」
店主に促されてフィッティングルームへと向かう。
「伝令の魔法をラフォレーゼの家までお願いしたいのですが。」
「畏まりました。」
伝令の魔法とは言うなれば電話のように声を届ける魔法だ。
アルトゥールに無理矢理連れて来られた為、なかなか帰宅しないクリスタを家族は心配しているだろう。
アルトゥールの選んだドレスは生地も上質で着心地は良い。
可愛らしいリボンにふわふわのスカートはまだ幼いクリスタに良く似合っている。
クリスタが用意しているドレスはパートナーのマシューに合わせて少し大人っぽいデザインだが、アルトゥールの選んだドレスはクリスタの年相応のデザインだ。
控えていた店員に簡単なヘアアレンジとメイクをしてもらい、アルトゥールのいる部屋に戻る。
「お待たせ致しました、殿下。」
「やっと戻って来たか。いつまでオレを………。」
次にクリスタに着せたいと思ったバルーンスカートのドレスを手にしたアルトゥールは、クリスタの声に振り向くとアルトゥールはピタッと固まった。
「……可愛い。」
アルトゥールの口から溢れた本心に、この店に来てからクリスタに付き添っている店員が満足げに笑っている。
「確かに可愛らしいドレスですが…。」
出来れば用意してあるドレスが着たいと続けようとしたクリスタの言葉を遮り、アルトゥールはバルーンスカートのドレスを投げて寄越した。
「次はそれだ。」
『オレ攻め』の中でもこんなイベントがあったような気がする。
正式なデビュタントのパーティーでアルトゥールがパートナーになると、翌日皇室御用達のドレスショップに連れて行かれ、アルトゥールからドレスをプレゼントされるイベントだ。
たくさんの素敵なドレスを目の前あり過ぎてなかなか選べないヒロインに、アルトゥールはヒロインに似合いそうなドレスをいくつもドレス選んでくれる。
画面で見ていた時はウキウキしたけど、実際に何着も試着するのは正直大変なのである。




