44
良家の子息令嬢が正式に社交に初めてデビューした人の事をデビュタントと言うのだが、クリスタの世界では社交界にデビューするのは14〜16歳の間。
そのデビュタントとなる前、中等部では学校行事として年に1回社交界をイメージした生徒会主催の華やかで豪華なパーティーが催され、新入生はその学校行事で(仮)デビュタントとなる。
実際にデビュタントになる時に恥をかかないようにと練習の為の行事だ。
学校行事であるからもちろんアルコールはないが、ダンスを踊る為、親以外の異性のパートナーが同伴しなければならないと決まっている。
この学校行事ではパーティーで3年間好きな人とパートナーとなると親密な仲になれると言うジンクスがあり、実際に結婚した事例もあるらしい。
だからか、
皇子であるアルトゥールの妃の座を狙う女子の目つきはまるでハンター。
多くの女子が何とかアルトゥールのパートナーになろうと瞳をギラギラさせてアルトゥールにアピールをしている。
初めの内はたくさんの令嬢に囲まれてモテるオレ様すげぇ的に鼻を高くしていたアルトゥールも、どこにいても現れる令嬢達にうんざりしているようだ。
それでもアルトゥールは第2皇子な分、王位継承者であるアルトゥールの兄よりかはマシである。
アルトゥールの兄とクリスタの見目麗しい兄のマシューは同じ学年でクリスタ達とは入れ替わりで卒業しているのだが、兄達のパートナー争いはもっと熾烈極まりなかったと言う。
パートナーは在校生や教師、もしくはOBやOGでも学園に通った事のある人物であれば構わない為、在校生だけでなくOGまでもパートナーの座を奪っていた。
昔から、家に行く・家族に迷惑をかける行為は厳禁でなければ、きっと初等部時代のクリスタもマシューのパートナーの座争奪戦で何かしらの被害を被っていただろう。
結局マシューのパートナーはアルトゥール兄弟の母である皇后が、アルトゥールの兄のパートナーはクリスタとマシューの母がパートナーとなった。
親は駄目でも卒業生である兄姉なら可なので、クリスタはマシューがパートナーになると決まっているのだが、アルトゥールには兄はいても姉はいない。
学校行事の一週間前になり、群がる令嬢に恐れを成したアルトゥールがアルトゥールの母である皇后と第一皇子である兄に連れられてクリスタの屋敷に来たのだった。
クリスタの母と皇后は親友同士らしく、仲が良い。
その親友である皇后からの直々の頼みにクリスタの母が笑顔で了承しまったので、クリスタのパートナーはマシューではなくアルトゥール。
週1日の勉強なしの日と冬の長期休みに旅行へ連れて行ってくれる条件で受け入れたクリスタだったが、正式なデビュタントになる時はマシューにパートナーになってもらおうと心に誓った。




