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水に住まう精霊のヒュドールに対して憎しみでも抱いているかのような目線をヒュドールは逸す事なく真っ直ぐ受け止めているが、精霊は何も話す気がないのか黙っている。
「消滅って、どうして?」
精霊の沈黙に耐えかねたクリスタが尋ねると、精霊はヒュドールに見せていた鋭い目つきを改め、柔らかで悲し気な表情をクリスタに向けた。
「…………水の精霊ウンディーネ様が水の主を見限られたのです。主を定めている精霊にとって主との絆は絶対。ウンディーネ様は己の存在を失つてでも主との絆を断ち切ってしまわれたのです。水の精霊なき今、我々水に住まう精霊は力を失うばかり。」
水の主と言うのはヒュドールの一族の事だろう。
精霊がヒュドールの一族との絆を存在を失ってでも断ち切ってしまうとは。
「それでも今はまだ我々水に住まう精霊が…海となり、泉となり、消滅するまで力を尽くして維持していますが、このままではいずれ水のない世界と化してしまうでしょう。力を使い果たした精霊は、せめてウンディーネ様のいらっしゃったこの泉で消滅の時を迎えたいとここに集まっています。」
この泉がかつて水の精霊ウンディーネがいた泉。
その泉をよく見てもクリスタには精霊の姿は見えないが、力を使い果たして消滅を待つ精霊がどの位いるのか気になった。
「水を失えば世界は乾き、崩壊するてしょう。四大精霊の一角を失うと言う事は世界の終わりを示します。ウンディーネ様を失ってからもうすぐ100年……我々水に住まう精霊の力も限界です。」
四大精霊とは火・水・風・地の4大元素の精霊の事だ。
クリスタに洗礼を施した風の精霊シルフも四大精霊である。
「何か手はない?」
「私の力ではどうにも……。」
ベンヴェヌードが精霊に問うが精霊は悲し気に首を降るだけ。
このままでは詩織の世界だけでなく、クリスタの世界も崩壊してしまうのだろうか。
でもクリスタは世界の崩壊も気にかかるが、今は消滅を待つ精霊が気がかりになっている。
クリスタは泉の側まで歩み寄ると、膝を付いて泉に手を差し入れた。
「どうか、もう少しだけでも。」
消滅を遅らせる事が出来るなら……。
「マシュー、オレも。魔法は使えないが魔力はある。」
ヒュドールもクリスタと願いは同じ。
クリスタはヒュドールの瞳を見て頷くと、身体に残る魔力を迷う事なく泉へと注ぎ込んだ。
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