33
「ん?」
3人が笑っていると、近くの泉にいた精霊がクリスタの笑い声に引き寄せられたかのように近寄ってきた事にヒュドールが気付いた。
「マシュー、お前に精霊が寄ってきている。」
「えっ?どこ?」
精霊が寄ってきていると言われ、周りを見回すが見えない。
身体機能強化の魔法で視力を強化してみるが…、見えない。
「精霊はここだ。精霊が魔力が欲しいと言っている。」
ヒュドールが手で覆うように精霊の場所を教えてくれたが、やはりクリスタには見えてはいない。
クリスタは腕からベンヴェヌードの手が離れると、ヒュドールの手に手を添え、クリスタはそっと魔力を流し始めた。
「もっと強く。」
精霊からの指示をヒュドールが伝え、クリスタは黙って従う。
「そう、このまま続けてくれ。」
ヒュドールが精霊とクリスタの間から抜き取ると、クリスタの両の手の間にいると思われる精霊が輝き始めた。
精霊の輝きはまるでオーロラ。
美しく幻想的で……精霊から弾けた水滴がプリズムとなりクリスタの周りで発光している様子は、クリスタの銀の髪が光の宝石で飾られているかのように美しい。
「綺麗だ。」
その呟きはヒュドールなのか、ベンヴェヌードなのか。もしかしたら2人同時に呟いたのかもしれない。
無意識の内に言葉が溢れ出るほど、美しい光景が2人の目の前で繰り広げられている。
「魔力が…吸われてる?」
これまではクリスタが魔力を少しずつ送っていたのだが、クリスタは魔力を無理矢理吸い出されている感覚に陥った。
精霊の輝きが増せば増すほどクリスタの魔力は吸われていく。
魔力の供給を止めようとするも、精霊による魔力の吸引は止まらない。
それならば、と少しずつ送っていた魔力の量を一気に増やした。
「!!」
魔力を一気に送った事が原因か、精霊が一瞬強く輝くと光は緩やかに精霊に吸収されるように消えていく。
そして光が完全に吸収されると、そこには背丈30cm位の美しい女性の精霊がふわりと浮かんでいた。
「未来の風の主よ、ありがとうございます。私は水に住まう精霊……、お陰で消滅を免れました。」
恭しく頭を下げる精霊はとても優雅で柔らかな動きをしている。
「オレにも精霊が見えた!マシューも見えるのか?」
「うん、僕にも見える。」
どうやらこの精霊は魔力を与えたクリスタだけでなく、ベンヴェヌードにも見えるようだ。
「水に住まう精霊よ。消滅とはどう言う事だ?」
精霊が見えた事に感激する2人を横目にヒュドールがそう尋ねると、精霊はキッと敵意を込めた目でヒュドールを睨んだ。
「水の主の血筋の者は、そんな事も知らぬのですか?」
ヒュドールを責めるようなその視線は鋭く、嫌悪感を顕にしていた。
ブックマークありがとうございます。読んで下さる方がいると思うと、本っ当に嬉しいです!感激です!!




