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「ヒュドールは、カッコいいな!」


水の魔法が欲しいと真っ直ぐな瞳で言うヒュドールを、ベンヴェヌードがニカッと笑って称賛している。


「オレはお前達を危ない目に巻き込んでるんだぞ。それでもカッコいいのか?」


「オレがカッコいいって思ったらカッコいいんだ!それに…。」


ベンヴェヌードは一度言葉を切ると気まずそうに視線を外した。


「ごめん。兄様だろ?兄様はオレを助ける為にあいつらに従ったんだ。」


あの時クリスタ達にブルーノがかけた水はヒュドールと敵対する人物の物。

ベンヴェヌードが人質に取られたのだろうと薄々感じていたが、やはりそうだ。 

 

「オレ、凍った湖がどうなったか見たくて。マシューのじー様が建物から出ちゃ駄目って言ったけど、みんなが朝ご飯食べてる間にバルコニーなら良いかな?ってバルコニーに出ちゃったんだ。」


そしたら捕まってしまった、と言う事だろう。


「本当にごめん。兄様の事も……ごめんなさい。」


「いや、オレがお前達を巻き込んだのがそもそもの原因だ。オレの方こそすまなかった。」


涙目になって謝るベンヴェヌードと、ベンヴェヌードに謝るヒュドール。

2人共に互いに対しての罪悪感からか何度も謝り合い、しょんぼりする男2人をクリスタはもどかしく感じた。


「ヒュドール、僕達は巻き込まれたとか言うのはなしだ。ラフォレーゼは困ってる人を見捨てない。ヒュドールが関わるなって何を言っても手を貸してる。ベンヴェヌードは好奇心旺盛なのは良いけど、言われた事を破った事は反省して!でもブルーノの事がなくても僕も言いつけを破って、外に出て君を探してた。それが友達だろ?」


ラフォレーゼの一族は祖父や父を見ている限りだが、人が良い。だから精霊にも好かれているのだろう。

その人の良さに、時折詩織の父の最期の言葉を思い出して胸が痛むが、思いやり溢れるラフォレーゼの祖父と父や詩織の父はクリスタの自慢の祖父や父達だ。

詩織の父の最期を思うと人が良い事が本当に正しい事なのかわからないが、クリスタも困ってる人に手を差し伸べられる人の良い人間になりたいと思う。


「もしこの先僕の身に何かあったら、今度はヒュドールが僕を助ける為に巻き込まれてよ。ベンヴェヌードだって来てくれるだろ?」


クリスタはまだ10歳で、生きてきた時間は詩織の記憶分を足しても父の年齢にも届かないが、その長いようで短い年月の間にも詩織の最期の時のように辛い事が起きたのだ。

その時に手を差し伸べてくれる人がいればきっと救われる。


「「もちろんだ!」」


クリスタの問いに2人が声を揃えてくれて、クリスタは嬉しくなった。

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