26(また別のお話)
生まれた時から恵まれていた。
お金
みんなが美しいと褒め称える容姿
勉強なんかしなくたって、欲しいって言えば何だって手に入れる事が出来た。
でも、つまらない。
簡単に手に入るものは飽きるのも早かった。
全てに飽き飽きしていた時
「なぁ、あの子美人だよな。」
と、私以外の誰かを褒め称える声が聞こえた。
「あんな美人見た事ねぇよ。」
イラッとした。
私以外が褒め称えられるなんて気に入らない。
あの顔が醜く歪んだらどうなるんだろう?
「どうしてこんな酷い事するの?」
あぁ!面白い!
あの悔しさに歪んだ顔っ!!
このつまらない日常に、こんな面白い事があるなんて!
あいつの周りの人間を奪った
好きな男を奪った
冴えない男が残ったけど、今のあいつにはそいつだけ
持ち物を奪ってやった
服を破いてやった
水をかけてやった
見て、あいつのみすぼらしい事。
超ウケる。
でも、何か物足りない。
あいつのもっと大事な物を奪ってやりたい。
「恨みでもあるの?」
ううん、ない。
ただ楽しいだけ。
うふふ、うふふ!
次は何してやろうかしら?
………
あの冴えない男が彼氏?
みすぼらしくなったあいつにはぴったり!
でも何で?
何で幸せそうに笑うの?
あいつの周りに奪ってやった奴らも戻ってる。
悔しい
悔しい!
どうしたらあいつをどん底に付き落とせるの?
もっと大事なものを壊してやれば良い?
あいつの大事な物って家族だって!
可愛い妹がいるんだって!!
それを壊してやったらどんなに楽しいのかしら?
あいつが妹への誕生日プレゼントに選んだ本を奪ってやった。
ゲームの攻略本?
これ知ってる。
すぐ飽きたやつだ。
あいつ、泣きそうな顔でコピーを本みたくしてた
ウケる。
パパに頼んであいつの家族を潰す手筈は整えた。
あいつの父親の名前で金を借りさせてやったんだって!
今頃あいつの家族がどうなってるかしら?
あいつを、あいつの妹をボロボロにしてって言っておいたけど、どうなった?
うふふ、うふふふふ!
あぁ、楽しい!!
あいつから奪った本を眺めながらニヤニヤしていたら、世界が真っ白に埋め尽くされた。
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