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087 艦隊戦4

 魔導レーダーによると、敵艦隊はボルダルの北、ガイアベザル帝国とリーンワース王国の国境を隔てる大峡谷まで撤退していた。

俺らはエルシーク、ルナワルド、ザーラシアで追撃したのだが、早々に打つ手が無くなってしまっていた。


「うーん。魔導砲を撃てば敵艦を撃破出来るだろうが、こちらも撃たれて相打ちだな」


 狭い峡谷では魔導砲を撃ち込まれたら敵艦は避けようがないが、逆にこちらも避けられないので、敵旗艦の魔導砲に撃たれてしまう。

しかも、魔導砲搭載の敵旗艦を守るように他の艦が単縦陣で盾になっている。

この敵艦4隻を撃って排除する前に、こちらの3隻が撃たれてしまえば相手の勝ちだ。

射線は固定、撃つためには撃たれる危険がついて回る。

こちらとしては敵旗艦の魔導砲の存在が攻撃を躊躇わせる抑止力となっていた。

しかし、敵艦隊も動けないので、お互い打つ手がなく膠着状態に突入した。

俺らは峡谷出口の北の要塞を放棄し、撤退するしかなかった。


 ルドヴェガース要塞では敵兵の捕縛や陸上戦艦の鹵獲作業が始まっていた。

城塞に突っ込んだ陸上戦艦はリーンワース王国の戦利品なので、リーンワース王国の兵士は大喜びしている。

一方、リグルド大破の原因を作った騎士たちは大目玉を食らっていた。


「おまえら何をした!」


 ブラハード将軍の怒鳴り声が作戦指令室に響く。


「我らは何もしていない。何も出来なかっただけだ」


 騎士が悪びれることもなく言ってのける。

でも何か触ったよな? 調べればわかるぞ?


「リグルド・システムコンソール、生きてるか?」


 俺は情報端末でリグルドのシステムにアクセスする。


『はい。予備魔導ストレージのエネルギーで基本システムは稼働しています』


「何があった」


 騎士の方をちらりと見ながら説明を求める。

自白するなら今だぞ?

視線を逸らす騎士たち。


『彼らは魔導通信機で遊んでいました』


「は?」


『私に命令したかったのでしょう。

そのうち艦内に声が響くのが面白くなったらしく、歌い始めました』


 俺は頭を抱えるしかなかった。

大事な通信機で遊んで肝心な通信を受けそこなったのか?

たしかに俺が機能制限をかけたのも悪いんだろうけど、触るなって言ったよな?


「それで大破とか、システムは何をやっていた?」


『艦内の緊急事態に対応しておりました』


 おいおい。初耳だぞ?


「緊急事態?」


『はい。機関室に侵入した者がおりまして、マニュアル操作が出来るバルブなどを弄り倒しまして……』


「まさか魔導機関を暴走させかけたのか?」


 俺は騎士の方を睨む。

一人の騎士が視線を逸らす。

ブラハード将軍の顔がみるみる赤くなっていく。


『ゴーレムを派遣し対応しましたが、その間艦の制御が疎かになっておりました』


「外部の脅威より内部の脅威の方が優先順位が高かったわけだな?」


『はい』


 魔導機関が暴走しかねないのに緊急回避をしたり魔導砲を撃ったりは出来ないわな。

まさかここまでやらかしているとは思わなかった。


「どうやら最大の敵は内部にいたようだぞ? ブラハード将軍」


「恥ずかしい限りだ。こいつらは王国有力貴族の子弟でな。

まさかクランド陛下に無理強いをしていたとは俺の耳にも入っていなかった。

この者たちには王国の資産を棄損した責任をとってもらう。

今後はリーンワース王国の資産だからと言って無理強いはさせないことを誓おう」


 まったく、リーンワース王国の貴族も信用ならない奴らばかりだ。

これが貴族制の弊害ってやつだろうか。

うちではそうならないように気を付けよう。

それとリーンワース王国にフルスペックの陸上戦艦を渡すのは危険だわ。

何より自爆が怖い。隣でやられたら、こっちまで巻き込まれる。



◇  ◇  ◇  ◇  ◆



 膠着状態とはいえ、無駄に時間を浪費していては、北の帝国に増援を迎える隙を与えることになる。

こちらも増援を得なければならないのだが、余剰戦力などなく、壊れた艦を修理するぐらいしかやりようがない。

俺は敵の陸上戦艦の残骸5隻分とリグルド、ザーラシアをインベントリに収納し第13ドックに転移する。


 どこで察知しているのかわからないが、セバスチャンが直ぐにやって来る。


「これはクランド様、お帰りなさいませ。

いかがなされましたか?」


「陸上戦艦の修理を頼みたい。ザーラシアを優先し、残りは早い順で早急に対処して欲しい」


 俺がドックに7隻の陸上戦艦を出すと、セバスチャンがドックの電脳とやりとりを始めた。


「はい。サーラシアは1日で修理可能です。

次にラーケン、その次にレオパルドが比較的早く直せそうです。

ただし、魔導砲の用意には3日かかりますのでご了承を」


「魔導砲は後回しでいい。それだとその2隻はいつ頃修理が終わる?」


 なるべく早急に数が欲しいからね。


「はい。重力制御機関の在庫的に……。2日、いえ1日半で終わらせましょう」


「頼む」


 これで明後日までには3隻が戦線復帰出来るはず。

問題は乗組員か。

リーゼやティアのような指揮経験のある騎士団長クラスが必要だな。


「他の4隻も修理を頼む。ああ、リグルドとそれ(・・)は魔導砲を搭載しなくて良い。

修理も一番後回しでいいぞ」


 面倒だからリーンワース王国の陸上戦艦は後回しにした。

ついでに魔導砲を渡すのは危険だからリミッターどころじゃなく無しにしておく。

それでも不十分か。


「この2艦は魔導機関への隔壁も追加で。勝手に侵入できないようにしておいてくれ。

残りの2艦は魔導砲含めて完全修理だ」


「はい。となるとリグルドから降ろした魔導砲が流用出来ますので、レオパルドに載せておきましょう」


「ああ、そうだな」


 キルト=ルナーク=ザールの所有なら魔導砲があってもいいからな。


「はい。それではザーラシア、ラーケン、レオパルドの3隻の修理が終わり次第、オライオン、パンテルを完全修理、ジーベルドとリグルドは隔壁追加で最後ということで宜しいですね?」


「それで頼む」


 それにしても、ドックに係留しただけで各艦の名前が把握されているんだな。

さて俺は第一陣の修理が終わるまで乗組員を選抜するか。

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