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037 新しい生活

 魔の森を逃げ出した俺達は陸上戦艦の甲板上でいつものように農場生活をしていた。

だが、生活していく上でいろいろと問題が発生していた。


「ご主人様、牛の調子が良くないです」


 ナランによると、牛が体調を崩したらしい。

このままだとせっかく妊娠した母牛が流産してしまうかもしれないそうだ。

これはストレスだな。

北の帝国の陸上戦艦との闘いと、この移動生活が問題なのかもしれない。


「ナラン、牛がストレス――と言ってもわからないか――落ち着かない原因に心当たりはないか?」


「景色が凄い勢いで流れているからでしょうか?」


 なるほど。

景色を見えなくすればいいのかな。

放牧地の周囲に目隠しの柵か生垣を造ることを検討するか。




「クランド、目が回るにゃ」


 ミーナはミーナ自身が体調不良か。


「何か原因はわからないのか?」


 ミーナはしばし考えて言う。


「探知スキルがおかしくなってクラクラするにゃ」


 なるほど。


「ミーナ、探知スキルを切れ」


 するとミーナがすっきりした顔になる。


「治ったにゃ。クランド、凄いにゃ」




「クランド様、果樹園の木々が悲鳴を上げてます」


 新たに果樹園担当となったシャーロがそう訴えて来た。

元々果樹園担当だったニルはワイバーンが増えたため、そっちにかかりきりになっていてワイバーン専属になっていた。

どうやらエルフであるシャーロが木の精霊と会話して苦情を受けたらしい。

木となるとなんだ? 日光か?


「シャーロ、もう少し詳しく、何が良くないのか精霊に聞いてくれ」


 シャーロが目をつぶり精霊と交信しだした。


「光の方向が逆に動いたり変だそうです」


 なるほど。

つまり、農場が乗っている陸上戦艦が動いていて、たまに進路変更があるから問題が発生しているんだな。




「主君、馬が」


「ターニャ、みなまで言うな。謎は解けた」


 俺は一呼吸置くと対策を発表した。


「陸上戦艦の移動は夜間のみとする。

おそらく全ての異常は陸上戦艦が動くことによる風景の流れや日光の差し込む向きの変化が原因だ。

これを夜間にすれば景色も見ずに済むし、日光も関係なくなる」


「「「「おおーー!」」」」



(あるじ)様、気持ち悪い」


「サラーナ。問題は解決したぞ。これからは陸上戦艦の運行は夜間のみにする」


「すっぱいものが食べたい……」


「それなら果樹園にレモンが」


 その時ターニャがハッとした表情をすると俺の発言を遮った。


「主君、サラーナ様は妊娠したのではないですか? おめでたですよ。おめでた」


「ん? すっぱいもの? 悪阻(つわり)か! よくやった! サラーナ」


 俺はサラーナの体に負担にならないように、そっとサラーナを抱きしめた。


「えへへ♡」


 サラーナも嬉し恥ずかしそうだ。


「こうしちゃおれん。進路変更だ。しばらく森の中で隠遁生活だ!」


 陸上戦艦を隠せるような森をみつけ、その中心の木を切り倒し着陸させる。

そして『結界魔法』と『隠蔽魔法』をかけて艦と農場の姿を隠した。


「子供が生まれるまで、ここで隠遁生活をする」


 俺はアリマを呼ぶと、食料の備蓄状況を聞きだした。 


「野菜、主食の穀物、調味料は2年分以上のストックがあります。

肉はオーク肉が1日1体分ありますが、毎日は飽きるので違う肉や魚が欲しいところです」


「そうだな。魔の森や港街に転移して肉や魚を調達しよう」


「主君、あとは安全面をどうするかです」


 確かに。子供が無事に生まれるまで、北の帝国の奴らからここを守る術を手に入れなくてはならないな。


「魔導砲塔を早急に直す必要があるな」


 他に武器が無いのか後でシステムコンソールを問い詰めよう。




「だんな様、気持ちが悪いです」


 慌てている俺の前にアイリーンが具合が悪そうにやって来た。


「まさかアイリーンも!」


(わたくし)、馬車とか乗り物に酔いやすいのです」


「「「そっちか!」」」


 俺、リーゼ、ティアと勘違いした三人が同時に突っ込んだ。

俺の移動農場は緊急停止することになった。

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