怒涛の冬のイベントラッシュ(4)
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年末のバーゲンで買った新しい服を着て、鳥居の下で愛斗くんを待っていた。
はあっと零れる息は生温かく、白いもやとなって空気中に溶ける。
夏祭りでも訪れた星華神社は、私たちの住む市のほとんどが訪れる定番の初詣スポット。
星華学園の同級生の姿もちらほら見かけ、向こうも私の姿を確認すると手を振り返してくれる。
「愛斗くん遅いな」
目の前を通り過ぎていく人混みの顔を眺めながら、愛斗くんの姿を探す。
愛斗くんを待っている。だけど、私の視線は無意識に冥加くんを探そうとしていた。
人混みの中で、冥加くんと同じくらい背が高い男性の姿を目で追ってしまう。
全くの他人だと分かっているのに、そう認識するたび、勝手に落ち込む。
「――ごめん、遅れた。けど、見つけたよ」
そうこうしていると、息を切らせた愛斗くんがやって来た。
「私を、見つけた?」
愛斗くんの言い回しが少し変で聞き返せば、彼はゆっくりと首を横に振る。
「――藤冥加だよ。あっちの木の下で待たせてる。一人みたいだから、行きなよ、ひかりちゃん」
「え、で、でも、今日は、一応、愛斗くんと初詣に来たわけだ、し。一緒に、三人で回ろうよ!」
思いがけない提案に、テンパってしまう。
視線を彷徨わせる。急速に喉が渇いて、声が掠れてしまう。
確かに、さっきまでは愛斗くんを差し置いて、冥加くんの姿を人混みの中に探していた。
でも、私は愛斗くんと約束をして、初詣に来たんだ。
いくらなんでも約束をした愛斗くんを放っておくなんてできない。
そんな私を愛斗くんは微笑ましげな目で見つめ、肩を竦めて苦笑してみせた。
「俺からのプレゼントだと思って、喜んで受け取ってよ。ほら、行きな。もたもたしてると、俺ほどじゃないけど、冥加を他の女にとられるよ?」
ぽんっと背中を押される。
「……っ!ありがとう、愛斗くん!」
他の人にこれ以上冥加くんをとられるのは嫌だ。
脳裏に夏祭りの時に見た梅野小百合の姿がよぎる。そんなのは一人で十分。
その一人でさえ、私は狂おしいほどに嫉妬しているのだから。
愛斗くんの綺麗なヘーゼルの目を見てお礼を言って、私は彼に促されるままに冥加くんが待っている方向へと走り出した。
「どういたしまして」
愛斗くんはやっぱり、恋愛の神様だ!
「……水沢鏡夜曰く、これがひかりちゃんと藤の最初で最後のデートらしいから」
苦しそうな顔で駆けて行く私の後ろ姿を見つめる愛斗くんには、気づかなかった。




