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夏のタイムカプセル ―僕と魔法のハムの夏―  作者: Fos B


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番外編:【サンショウウオの姿焼きは、修学旅行のメニューには出ません】

修学旅行に行って帰ってきた日の夕飯の後、三陸のおじいちゃんとおばあちゃんはタブレットの画面の向こう、東京の僕とお母さんは画面のこちら側、4人で会話を始めた。

「おじいちゃんおばあちゃん、修学旅行行って帰ってきたよ。楽しかったよ!」

「おかえり。おいしいものたくさん食べれたか?」

おじいちゃんが僕に聞いてきた。僕は、

「今はアレルギーとか衛生面とかいろいろあって、夕飯も朝食もビュッフェスタイルなんだって。だから好きなものだけ取って食べたよ」

と答えた。それを聞いたお母さんが、

「えー、私たちの時は修学旅行と言えば、鍋とかすき焼きとかが多かったけどね」

と言うと、

「すき焼きって言えば豪勢だもんねえ。昔は特別な日のご馳走だったものよ」

とおばあちゃんがそう言うと、おじいちゃんもうなずいた。

「昔は牛肉、すごく高かったからなあ。今みたいに海外から輸入されてなくて、国産品ばっかりだったから、なかなか食べられないご馳走だったんだぞ」

「肉好きの僕としては、昭和では暮らせないかもしれない……」

僕が言うと、お母さんが笑いながら話し出した。

「日光と言えば、そういえば学生の時にみんなで旅行に行ったんだけどね。湯西川温泉ってところは落人で有名なところで、囲炉裏を囲って夕飯を食べたのよ。その時にサンショウウオの小さい串焼きが出たの。カリカリに燻製みたいになってて、でも形はそのままでね。その時、天然記念物を食べていいのかと思ったんだけど、種類が違ったの。小型のサンショウウオは昔からこの土地では貴重なタンパク源だったって宿の人に説明されて、食べるのに挑戦しようと思ったのよ。足のほんとに爪楊枝の先くらいの部位を食べたことがあるわ」

僕はお母さんに「どんな味がしたの?」と聞いた。

「ほんとにちょっとだったから、苦味しか感じられなくて、それ以上はちょっと食べられなかったんだけどね。丸ごと串に刺さったやつを食べた子もいたけど、『珍味って感じ!』と言ってたわね」

お母さんはそう言って懐かしそうに笑った。

昔の人には貴重なタンパク源だったんだなぁと思った。僕も天然記念物を食べたのかと思って一瞬びっくりしたけれど、違う種類と聞いてほっとした。

夏だけではなくて、思い出のタイムカプセルはどんどん溜まっていくなぁとしみじみ思う。秋口とはいえ、まだまだ暑い日だった。


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