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041

前話に挿絵を追加しました!


この頃投稿早い…かな?

気もします。


それでは、四十一話です。

どーぞー!

 辛そうで、悲しそうで…哀しそうで…泣きそうで。

 そんな感情をごちゃ混ぜにしながらも、殿下は笑う。

 淡く、微笑む。


 コテージの暗さが、余計に殿下の顔に影を落とす。

 そのすがたは、どこかへ消えて行ってしまいそうで……儚くて…それでいて、美しい。


 …これをスチルにしたら…と言う、場違いなことを考えながら、私は殿下を見つめていた。

 《プラネット》には、公式スチルが存在しない。

 アバターを着せ替えたり、課金をしたりして、自分だけのスチルを作り上げることが出来る仕組みだった。


 なら、と、私は思う。


 私なら、今この瞬間、この時間を。

 スチルという箱庭に閉じ込めてしまいたいと。


「…殿下、カナリアって鳥をご存知ですか?」


「…知らないな」


 だから、私は問いかける。


「…とても、美しい声でなく鳥なのですわ。籠の中に囚われても、鳴き続ける。歌い続ける…私が一番好きな鳥です」


 ここは、ゲームではないの。

 生きているの。

 スチルなんて箱庭に、とらわれていい理由なんて、何一つないの。


 生きるとはそういう事。


 自分の目で感じて、見て、その全てを焼き付けて。

 美しいものは記憶という、とても大切な『心』になる。

 偽物の『きおく』なんてもの、私が絶対に許さない…いいえ、……そんなものに縛られないで…。


「…今の私たちのようではありませんか?」


「…何?」


 だから、紡ごう。

『心』が語る、その、世界の全てを。


「…私たちは、籠の中の鳥です。…それは、まだ、ほんの十年程度しか生きてはいませんが……でも、何かに手を借りないと生きてはいけない…そんな弱い存在です」


「…僕は一人でも生きていける」


「嘘ですね」


 私はピシャリと言い放つ。


「お金はあるのですか? 料理はできますか? 家事は出来ますか? 住むところはあるのですか? 働けるのですか?」


「……お金は…今着ている服を売るし、他の事も出来る」


「なら、言い方を変えます…………あなたは…殿下は………いいえ、ラガルハーネル・ザクロ・カーンドラネークル様。あなたは、一人という孤独に耐えれるのですか?」


「っ!…た、たえ…」


「怪我をしても、病気になっても、誰も助けてはくれず、泣いても慰めてはもらえない。仕事は休めば解雇されるし、そうなれば明日生きていくのも難しい…」


「…」


 殿下が黙り込んでしまったのを見て、私は次の言葉を紡いだ。


「…それで、いいのです」


「え?」


「私たちは、今はまだ子供です。大人の庇護にあって良いのです。…だから、少しずつ…大人になって…今度は自分たちが他人を守れる存在になっていけば良いのです」


「…他人を…守る」


「そうです。魔法だって…人を傷つけるのではなく、癒したり、護ったりするのに使えば良い。……アカリ様もそうしていらっしゃるそうですわ」


「アカリ嬢が?」


 思わず顔を上げた殿下を見て、私は改めてヒロインと悪役令嬢の違いを知ったが…、そんな事を知らない殿下は、私の次の言葉を待っている。


「…だから、殿下が王になった時、魔力持ちでも卑下にされない国にすれば良い。皆が守られて、幸せになれる国を作れば良い……私はそう思います」


「…そう、だな……エスメラルダ」


「はい?」


 名を呼ばれ、顔を上げる………!!

 その瞬間、唇の上に、何か、柔らかいものが…え! これ、キス?!

 私はヘナヘナと床に座り込む。


「…ぁぅ、」


 驚きすぎて口をパクパクさせている私の頭を殿下がふわっとなぜると、ふわっと微笑む。

 それを見た私の顔は、多分、ユデダコのように赤かった事だろう。


「…婚約者だと、ここまでしか出来ないのが口惜しいな……」


「、で、殿…下」


「戻るか?」


「……ぇと。その…」


 キスで驚きすぎて、腰が抜けました…。

 立てません、と、目で訴えると、殿下は少し思案したあと、私をお姫様抱っこして抱き上げた…。


 …て!


「殿下! 私重いのでやめてくださいませ!」


「…? 軽いぞ?」


「そういうことではなくてです、ね…」


 あれ…なんで眠く…。


「すまん、疲れただろう、寝ていてくれ」


 私が最後に見たのは、魔力で光る殿下の美しい魔眼と、慈しむように私に微笑む殿下の笑顔だった。

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