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011

遅れて申し訳ありませんっ。

 このイベントで、私の誕生日パーティーに族が入り、私が殿下を庇いナイフで刺され、傷物になってしまう。

 この責任をとり殿下は、エスメラルダと婚約を正式にかわす…。

 これでは私からは婚約破棄することも出来ないし、したところで私に批判が来るだけだ。

 殿下も婚約破棄すると責任がなんとかとか言われて出来ない。


 でも、殿下が怪我をするとそれはもっと困る。

 と言う事でまだ自分で魔法を使いたくない私はラルダに光の魔法で結界を張ってもらっていると言うわけだ。

 それにしても殿下はラルダの事が見えているはずなのに何も言って来ない。

 気にしていないのかな?


『エメ、悪い奴来たよ』


「分かってるわ。ありがとうラルダ」


 …もう来たのね。

 私は気を引き締め族が来るはずの窓を見つめた。


 一応習得しておいた水魔法の『探索』を発動しておく。

 この探索は指定した物や人が近づくと分かるようになる魔法だ。

 私はプラネットのゲームで得た族の知識を最大限に活用し魔法を使用していた。


 族は四人組のグループが8グループで計32人来る。

『探索』でもそのようになっているので間違いないだろう。

 厄介なのは言わずと知らず…魔法だ。

 何故かどのグループにも魔法を使える人材を一人は確保しているらしく32人中11人は魔法が使えると言う奇跡状態だ。

 まぁ、初級の火魔法や水魔法なので正直なところ自分だけで対処できるのだが。


『エメ、カウント。四、3、に、壱…ゼロ』


 バコンっと何かが爆発したような音がしてイベント通りに族が入って来た。

 一斉に11人が魔法を使い無防備になっている詠唱時間は他の人が守るというバランスのよいグループ戦略に衛兵や護衛は苦戦している。

 私は辺りを見渡し殿下を探した。


 私は殿下の元へ走る…3、2、1…。

 殿下に向かって来た森魔法で作ったと思われるいばらの矢を私は身で受けた。


「…っ」


 受けた腕に痛みが走るが結界のおかげで大した怪我にはなっていない。

 せいぜい衝撃による打撲程度だ。

 …青あざは出来るかもしれないが。


「…お前っ!」


「殿下、おさがりください。ここは危険ですので」


「お前はどうする!」


「…私はここに残ります」


「何故だ?お前も逃げればよかろう?公爵令嬢なのだから」


 もうめんどくさくなった私は殿下の周りに物理魔法どちらにも耐性がある結界を張り殿下がそこから出られないように精霊魔法『人払い』を使った。


「殿下も知っている通り私は魔力持ちです。それに…殿下には見えていらっしゃるでしょう?妖精もいます。少なくとも殿下より強いかと」


 それだけ言うと何か言おうとする殿下を無視して魔法をつかって族を気絶させていく。

 正直、中級魔法までしか使えないので大勢一気にとかは無理だがラルダのおかげである程度楽に意識を奪える。


「ラルダ、さっきので最後?」


『うん。テキノ気配もうシナイ』


 ラルダの言う通りもう私の『探索』には何も引っかかっていなかったので殿下の周りの結界と魔法を解く。

 周りはパニックに陥っていたので私が魔法をつかったことに気がついていない。

 敵も魔法をつかっていたからそれが逆に幸いしたのだろう。


 すると魔法が解けたことに気がついた殿下が私の元へ駆けてきた。


「お前、強かったんだな」


 第一声がそれかよとも思ったがその後に「怪我は?」とも聞いて来る辺り、一応心配してくれているのだろうか。


「いえ、どこも怪我していませんよ」


 私は微笑んでそう答えた。

 実際は結界を張っていたと言ってもいばらの矢が当たった手は思ったよりも痛いし足は運動不足のせいで捻ってしまっている。

 捻ったといってもせいぜい軽い捻挫程度だが。


「…嘘だな。少なくとも手と足は怪我しているだろう」


 …驚いた。

 上手く取り繕えている自信があったのに気がつかれるとは…。

 それに別に大したことになっているわけではない。

 まぁ、魔力が足りなくて倒れそうと言う点だけはヤバイかもしれないが。


「お前、側近は?」


「キールの事ですか?キールは…フランベリーラ子爵令嬢の近くにいますよ。ほら」


 私は右手方面にいるフランベリーラ子爵令嬢の近くを見るよう促す。

 そこには、おそらく私を探しているであろうキールの姿があった。


「行かなくていいのか?」


「ええ。じきに私を見つけるでしょうし。それよりも殿下の側近は?」


「壁で伸びている。しばらくしたら目覚めるだろうからほっといていい」


「そうですか…」


 するとキールがこちらに視線を向けた。

 …私に気がついたようだ。

 パタパタのはたしない音を立てて走ってきた。


「エスメラルダ様、ご無事ですか!」


「ふふ、無事よ。それよりも殿下を」


「おいっ」


「…………はい」


 キールは名残惜しそうな目で私を見てから返事をした。

 いくら私の側近であっても王子息である殿下の方が優先順位が先だ。


『エメ、いいの?アシいたいでしょ。歩ける?』


「平気よ?心配してくれてありがとね。ラルダ」


 一応婚約イベントは回避出来た。

 こうしてようやく、私の波乱の1日は幕を閉じたのだった。


ブックマークがまた増えました!

ありがとうございます!

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