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制服


「伏谷ぁ……」

「何?」

「俺もうお前女の子にしか思えんわ」

「いきなり何!?」


週末、那美に構われまくりつつも自宅でのんびりとした時間を過ごし。


週明けの月曜日、休み時間にいきなりそんな事を言われた。


言い出したクラスメイトは、今日から着用となった女子制服の僕の姿を上から下へとざっと見まわし、


「……だよなぁ?」


隣にいる別のクラスメイトと頷きあう。いや、だよなぁじゃなくて。


「説明になってないんだけど」

「説明いるか?」

「いるでしょ」


ジト目を向けてそういってやると、彼はポリポリと頭を掻きつつ答えた。


「だってなぁ……先週まではズボンだったからアレだったけど、制服姿になるともう完全になぁ……」

「それは否定できないけどさ」

「顔が女の子っぽいだけならまだしも体も女の子なわけじゃん?」

「それも否定できないけど!」

「だとしたらもう女の子としか見えないじゃん」

「……いや、将来的にそう見られるようになっていくのは仕方ないと思ってるけどさ。早すぎない? 男の時の僕記憶にあるでしょ?」


まだ一週間だよ?


「どうせそういう風に見るようになら別に早くてもいいんじゃないか?」

「そういう問題?」

「まぁ顔がそのままだったらそう思えるかもしれないけど、顔も完全に別物だし」

「大体伏谷も悪いんだぞ」

「なんでさ」


問い返すと、発言主のクラスメイトは視線を下に降ろす。


「伏谷さぁ、朝からずっとスカート気にしてるじゃん。ちらちら確認してさ」

「それは仕方ないでしょ。慣れないもの穿いているんだから」


僕の人生の中でスカートを穿いた事は少なくとも記憶にある限りは一度もない。この姿になってからは……実は那美に着せられて服屋や自宅では着せられてたけど、不特定多数の目に付くような場所では初めてだ。


それでまぁ……スースーして心もとないのもあるし、何よりも、


「動くとヒラヒラして落ち着かないんだよ……」

「別に男の意識なら、スカートがひらめくくらい気にしなくてもいいんじゃね?」

「男だって、パンツ丸見えになってたら嫌でしょそれは」

「……そりゃそうか」


女子と感じる恥ずかしさの種類は違うかもしれないけど。


「でも、その仕草が割と性癖に刺さるんだよ……恥ずかしがりやの女の子がちょっと頑張った格好しちゃったけどやっぱり気になる的な」

「人で妙な幻想を見ないで貰える? というか当人の目の前で言うのやめようよ」


その気持ちがちょっと分かってしまうのがアレだけどなー。一応僕も男だからそういう仕草がちょっとくるのは解る。ただそれが自分が対象になるのはお断りだけども。


「っていうか、お前今どんなパンツげふっ!?」

「セクハラ……というかそれを越して変質者の発言だぞそれ」


あれな発言を仕掛けた奴の後頭部を、別のクラスメイトが思いっきりはたいた。顔は呆れ顔。でもナイス判断だったのでサムズアップを送ると、笑顔でサムズアップを返してきた。


うん、聞かれたからってどう答えろって話だよ。白い可愛い奴(那美セレクト)穿いているって答えろっていうの? 痴女だよそれじゃ。まぁ当人も冗談半分で行ったんだろうし、開けっ広げな性格してるなら普通に答えたかもしんないけどさー。


「まぁこのアホは放っておいてだ。俺からも一つ聞いていいか? あ、真面目な話だぞ?」

「あ、うん。真面目な話なら。何?」

「お前さぁ、魔術使えるようになったんだよな。だという事は昇格目指すよな?」

「それは……勿論」

「だとしたらさ、現場実績どうする? 相手決まってたりするのか?」

「あー……」


Dランク以降から昇格するには、パトロールなどで現場実績を積む必要がある。だけどDランクだけでは現場に出れないから、上位ランクで現場に出ている誰かに組んでもら必要があるわけで、CやBと組むわけだ。CやBは主体で現場出れるけど、一人でのパトロールは推奨されていないため、大体は同ランクや下位ランクと組んで巡回するので。


「決まってないんだったら、ウチの……」

「ああ、それは束本に頼もうと思っているんだ。本当は姉さんに頼みたいんだけど、姉さんはパトロール出ないから」


恐らくは誘いをしてくれるつもりであった言葉を途中で遮り、そう告げる。気持ちはありがたいんだけど、彼の所属してるグループは割と大人数だ。なので、ありえない。


大人数、しかも半分くらいは知らない面子の中であんな恰好できるか!


とりあえずAランクな事もあり個人行動も多い束本さんに頭を下げよう。前も一緒に行ってくれたし、魔術を満足に使えない頃から気軽に声かけてくれてたから大丈夫なはず。


被害は最低限に抑えないとね……


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