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さていろんな領へ行き、次の領で今回は一度王都へ帰る。もう無月が近づいてきているのだ。なんとか順調に進み、予定通りの領を回りきれたのは正直安心した。途中体調を崩すこともあったけれど、前と比べればとても改善された。リーロンパ先生って本当にすごい。
「次のジャンア伯爵領は確か……、温泉が有名なところでしたか?」
「ええ、そうです。
ここは我が国で初めて温泉を発掘した場所ですね。
温泉に入ることもできるでしょうから、ぜひこれまでの疲れを癒してください」
温泉か~。実はアランは入ったことがないけれど、ラルヘはあるんだよね。まだ皇都に行く前だけれど、住んでいたところにあったのだ。因みに、お風呂はもっぱら温泉に入っていたくらい身近なものだった。
「僕、温泉なんて初めて入ります。
アランも?」
「え?
ああ、そうです。
楽しみですね」
おっと、間違えていいえ、って言おうとしちゃった。アランはないんだから、ここはない、が正解だったのに。でも、シントも本当に入ったことがないのかな? ちらりとシントを見るととても嬉しそうだし、これは本当に入ったことないな。そういえば皇都では温泉なかったかも。
和やかな会話をしながら、馬車は順調に走っていく。ここの市場視察は別の人の担当だから、今回僕らは領に入ったら速度を落として領主の館を目指すことになっている。がくんと速度が下がったのを感じると、もう目的の領に入ったことが分かった。ここから視察の担当の人は逆に速度を上げているはずだ。
そしてしばらくして、視察に行ってきた人たちが再び合流できたら速度を上げてジャンア伯爵の屋敷に入っていった。
ここでも和やかにダブルク様と伯爵の会話が終わると早速それぞれの部屋へと案内された。これで夕飯までは少し自由だ。ひとまず荷物の整理をしたら休む! 休めるときはしっかり休め、とも言われてしまったからね。
「アラン様、どうやらここの温泉はいつでも入って良いみたいですよ。
客人用のところを開けておくから、と」
「そうなの?
夕飯をいただいたら入りに行きたいな」」
温泉が名物とはいえ、まさか伯爵邸で入れるとは! そんなに近くに館を建てたっていうのもすごいよな。まあ、なんにせよ嬉しいな。シントも誘って後で行ってみよう。
「夕飯の前に伯爵家のご令嬢と顔を合わせるのですよね?」
「あああ、そういえばそんなことを言っていたな」
「それでしたら、その前に一度お湯を浴びてこられるのもよろしいとは思いますが……」
そう言われればそうした方が良い気がしてきた。伯爵家のご令嬢と会うんだしなあ……」。
「シントも温泉はいるかな?」
「聞いてまいりましょう」
うん、シントが入るなら一緒に入ればいいよね。




